暑くなると毎年のように、車内にいた子供が熱中症で死亡するニュースが報道される。今年も6月に茨城県で、車内に残された2歳の子供が熱中症で亡くなるという痛ましい事故が起こってしまった。
梅雨も明け、買い物や外出など車で出かける機会も増えることだろう。そこで、子供と車内熱中症の危険性についてJAF(日本自動車連盟)に話を聞いた。
――夏の車内は暑くなりがちですが、実際どれほどの温度になるのでしょうか
JAFでは異なる駐車条件で車内温度はどれほどまで上がるのかを実験したところ、外気温35度の際、“対策なし・黒色”の車両では57度まで上昇しました。また、サンシェードを装着している車両でも最高50度まで上昇するなど、かなりの高温になることが分かっています。
危険度を表す数値として「熱中症指数」というものがあります。人体の熱収支に影響の大きい気温、湿度、輻射熱の3つを取り入れた指標で、暑さ指数ともいいます。これを同実験で計測したところ、エアコン停止からわずか15分で危険レベルに達しており、少しの間であっても熱中症の危険があると考えられます。
――子供を車内に置いたままにする、という事例は多いのでしょうか
2018年8月の1カ月間でJAFが出動した「キー閉じこみ」のうち、子供が車内に残されたままであったケースは246件ありました。また、このうち緊急性が高いと判断しドアガラスを割るなどしたケースは8件ありました。
JAF以外に消防や警察にご連絡される方もいるので、これがすべてではありませんが、少なくとも1カ月で250件近くの事例が起きています。
――車内熱中症を防ぐために運転者や保護者が気を付けることはありますか
絶対に車内に子供を残さないことが第一です。「寝ているのを起こすのがかわいそうだから」「少しの間だから」と油断せずに、自身が車から離れる際は必ず子供と一緒に降りるようにお願いします。
エアコンをかけたままであったとしても、何かのトラブルでエンジンが止まってしまうことも考えられます。「必ず子供と一緒に降りる」を徹底すると良いと思います。
――熱中症以外にも、車内で起こる可能性のある事故や危険なことはありますか
チャイルドシートを着用しないことで起きる事故もそうですが、チャイルドシート自体がしっかり固定されていなかった、ハーネスをしっかりと締めていなかったということも事故につながる恐れがあります。チャイルドシートは適正に使用して初めて効果を発揮するので、ぜひ確認してほしいです。
大人でも暑い車内、体が未発達な子供にとっては耐え難い暑さとなることだろう。子供を車内に残さないことはもちろん、エアコンをつけていても定期的な水分補給を忘れないようにしたいところだ。
また、熱くなった車の金具に触れてやけどをしたり、チャイルドシートから滑り落ちてケガをしたりすることもある。外出の嬉しさからか、駐車場で飛び出してしまい事故に遭うケースも後を絶たない。
子供の機嫌や状況から、ついついという気持ちが事故につながる可能性もある。いつも乗っている車でも、事故やケガの危険性があることを忘れないようにしておきたいものだ。