リコーは、同社独自の光学技術を用いた、両眼視タイプの軽量スマートグラスを開発したことを発表した。同社がプロジェクターやカメラ等の開発で培ってきた光学技術が活かされた、軽量・広視野角のデバイスとなっている。
メガネ型のウェアラブル端末である「スマートグラス」は、パソコンやスマートフォンなどと接続し、現実の視界を見ながら、スマートグラスのディスプレイ上にデジタル情報を重ねて表示するもの。医療や建築、工場現場での作業指示や、一般ユーザーの歩行案内などの日常生活支援といった、幅広い分野での活用が期待されている。
しかし、これまでの両眼視タイプのスマートグラスは、一般的なメガネの3倍以上の重さの物がほとんどで常用は難しいため、短時間の遠隔作業支援などが主な用途となっていた。
同社が開発したスマートグラスは、レンズ部分に独自開発した薄型・軽量のプラスチック導光板を採用し、49gまで軽量化に成功。同社によれば、このスマートグラスは発表時点において世界最軽量とのこと。軽量化に加え、1m先に約30インチの画面が見える広い視野角も両立した。
従来のスマートグラスは、ディスプレイユニットがレンズと一体化した構造であるため、鼻に大きな負荷がかかることが課題となっていた。同社はディスプレイユニットをこめかみ付近に配置できる特殊な光学系を開発したことで、鼻にかかる荷重を一般的なメガネ程度に軽減し、快適な着け心地を実現したという。
また、普段の生活の中で違和感なく着用できるよう、メガネメーカーの協力を得て、一般的なメガネのような親しみやすいデザインを目指した。
なお、このスマートグラスは、2020年8月3日~7日までオンライン開催される、ディスプレイに関する国際学会「SID Display Week 2020 Symposium」で発表される予定となっている(発表情報 : 8月5日(米国太平洋標準時間) セクション26.4)。今後は事業化に向けパートナーを募集するとともに、実用化にむけてさらに開発を進めていく。