オンキヨーは、富山大学とオンライン診療・ホームドクター制度に向けた「デジタル聴診器」の研究開発について、契約を締結したと発表した。
今回の研究開発は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、対面で医師の診察を受けることが難しくなっていることから、身体の各所の“音”を聞いて体調を判断するオンライン医療向けの機器にニーズが高まっているのを受けて実施されるという。
本来、聴診器による身体状態の判断には専門知識と経験が必要となるが、同社が長年培ってきた音に対する技術と、富山大学医学部における専門的な知見により、オンライン医療で用いることのできるデータを取得可能なデジタル聴診器の開発を目指す。
研究のターゲットとなる「音」は、コレステロールや中性脂肪などで疾患リスクの高まる「心臓」、新型コロナウイルスの感染拡大で急激な症状悪化が懸念される「肺」、成長が早く頻回の受診が必要となる「胎児」といった3パターン。オンライン診療のニーズが高いと思われるものが対象となっている。
また、収集した音データにより、病気との関連性の確認および検証を行う研究もあわせて実施する。自身もしくは家族の心音、肺音、胎児音をデジタル聴診器で収集し、ネットワーク経由にて個々のデータベースに音データを保存。過去の音データと比較して、各音の変化量をグラフとして可視化する。
なお、この研究開発は、オンキヨーが音響機器ビジネスで長年培ってきた音に関する技術やノウハウを異業種に展開し、新規ビジネスを創造する方針の一環として行われるもので、2021年春ごろの事業化を見込んでいる。