NTTドコモは3日、2020年度 第1四半期の決算説明会をオンラインで実施。今期は減収増益の決算でした。NTTドコモ 代表取締役社長の吉澤和弘氏は、新型コロナウイルスの影響、スマホの販売状況、5Gの進捗、ファーウェイ端末の取り扱いなどについて説明しました。

  • NTTドコモは3日、2020年度 第1四半期 決算説明会をライブ中継。写真はNTTドコモ代表取締役社長の吉澤和弘氏

今期の連結業績

第1四半期の業績は、営業収益が(前年同期比611億円減の)1兆982億円、営業利益は(同18億円増の)2,805億円でした。吉澤社長は「減収増益の決算です。新料金プラン『ギガホ』『ギガライト』のお客さま還元の影響や、新型コロナウイルスの感染拡大による販売関連収入の減少、国際ローミング収入の減少により、対前年比で減収となったものの、スマートライフ事業の拡大に向けた着実な成果により、対前年比で増益となりました」と説明します。

  • 第1四半期 決算概況

  • 通信事業は営業収益が933億円の減少、営業利益が118億円の減少。スマートライフ領域は好調で、営業収益が347億円の増加、営業利益が136億円の増加となっています

2020年度の業績予想については、「現状の新型コロナウイルスの影響を踏まえています。具体的には、国内において緊急事態宣言の再発令は行われず、徐々に経済が回復していくと見込みました。また海外においては、緩やかに経済が回復していくと見ています。こうした前提条件で出した業績予想です」と説明。それによれば、2020年度通期の営業収益は(前年同期比813億円減の)4兆5,700億円、営業利益は(同254億円増の)8,800億円の減収増益を見込んでいるとのことでした。

  • 2020年度の業績予想

5Gの展開状況は?

引き続き、吉澤社長が記者からの質問に回答していきました。

5G対応スマートフォンの販売状況については次のように述べます。

吉澤社長「直近8月の実績は24万契約と、計画を上回っています。エリアの拡大はこれからで、(廉価な)普及モデルが出てから本格的に利用が広がっていくと想定しています。販売目標は、年度末までに250万台です。

現在、販売している5G対応端末の価格は10万円前後。『スマホおかえしプログラム』なども用意しましたが、今はまだ、5Gに大きな興味をお持ちのお客さまが利用されている状況。今後は4Gや3Gを利用中のお客さまにも5Gを使っていただけるよう、お手ごろな端末を下期の早い時期に出す必要があると思っています」

  • 5G契約者とエリアの進捗状況

スマートフォン・タブレットの販売数が落ちているのでは?

吉澤社長「第1四半期(4月~6月)で比較すると、昨年(2019年)の344万3,000台に対して、今年は214万9,000台まで減っています。つまり販売台数が129万台ほど落ちました。これには理由が2つあります。

1つは、新型コロナの影響で来店者が少なかったこと。Web販売に注力しましたが、販売台数が落ちました。もう1つは、昨年(2019年)6月に新料金プランを導入する直前、4~5月にかなり売れたんです。それが影響しています。通期計画ではスマートフォン・タブレットの販売数を1,143万台に設定しています。対前年比で11%ほどの減少にはなりますが、第2四半期以降は前年を上回るような販売台数の推移を考えているところです」

また、販売店の業績が落ち込んでいることについては、「ドコモショップは、私どもとお客さまを結ぶ、非常に重要なコンタクトポイントです。第1四半期でも、救済というか、支援をさせていただいております」(吉澤社長)と説明しました。

このほか、iPhoneの発売が10月にずれ込むことの影響について聞かれると「iPhoneについて、通年であれば9月末くらいから販売しますが、今年は少し遅れるとのアナウンスがありました。ただ2~3週間のレベルであれば、あとの期間で巻き返して対応できるのではないかと思います」(吉澤社長)と回答。発売時期の遅れが大きく影響することはない、との見方を示しています。

ファーウェイの端末がなくなる?

アメリカ政府による、ファーウェイを含む中国企業5社を対象にした厳しい規制方針について聞かれると、「アメリカの国防権限法ですが、8月13日から施行ということでアナウンスがありました。NTTグループではアメリカの政府機関とビジネス拡大を図っていることもあり、同国政府機関との契約締結などに際して、私情が生じないように進めています。ドコモとしては自社のサービス提供、業務運営においては権限を規定する企業5社の製品を使用しないように対応しているところです。我々のネットワーク設備にはファーウェイ、ZTEらの機器は現在も使われておりません」(吉澤社長)と回答。

スマートフォンの取り扱いについては、「既存の端末という意味では取り扱っています。ファーウェイなら2019年秋に発売したHuawei P30 Pro(4G)が最新になります。基本的に、現行の機種については販売を継続していきます。権限法には抵触しないと考えています。しかし今後の新しい端末の採用、調達については規制動向をよく見極めたい、ということです。現時点では、少し難しいのかな、と考えています」(吉澤社長)としました。

4G基地局の5G転用について

4G基地局の一部を5G向けに転用できる制度改正についての期待感には、以下のように述べました。

吉澤社長「4G LTEのお客さまが少なくなれば、その周波数を使えるということですが、しかし現在、4Gの周波数にはたくさんのお客さまがおいでになる。4Gでつながる端末がたくさんあるので、リソースが減るとエリアや通信速度に問題が出てきます。現在4Gをお使いのお客さまの通信品質に影響が出ないように進めることが何よりも大切です。

ドコモでは、期待いただいている5Gの高速・大容量などの特徴をSub6、ミリ波を展開することで提供します。もっとも、既存の4Gの周波数帯を用いた5Gは、実は4Gの通信速度と変わりません。消費者に有利誤認を与えないように、適切な周知をして、ユーザーを保護していきます。

これは4G基地局の5G転用を否定しているわけではありません。ですが我々としては、まずはドコモに割り当てられているSub6、ミリ波を徹底して使っていきます」