第1話、第2話共に世帯視聴率22%超え(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と絶好のスタートを切ったTBS日曜劇場『半沢直樹』(毎週日曜21:00~)。序盤から本シリーズの特徴である“勧善懲悪”を軸に、半沢直樹(堺雅人)が “巨悪”に立ち向かう姿がフルスロットルで展開され、視聴者の心をつかんでいる。第1話では、半沢の新たなる敵、市川猿之助扮する東京中央銀行証券営業部部長の伊佐山泰二の濃すぎるほどの顔芸が大きな話題になったが、第2話では早くも“あの男”の強烈な個性が物語を支配した。
“あの男”とは、香川照之演じる大和田暁取締役だ。前作は常務として、頭取を狙う策士として銀行内で暗躍していたが、半沢に悪事を暴かれ、最後は取締役会で多くの役員が見つめるなか、半沢に屈辱の土下座をさせられてしまう。このシーンでの堺と香川の魂の芝居は大きな反響を呼び、最終回の視聴率は42.2%を記録した。堺の芝居はもちろんだが、「『半沢直樹』に香川あり」を強く印象づけた。
■大和田の「お・し・ま・い・death」にネット大盛り上がり
そんな大和田は、実は本作の原作となっている池井戸潤氏のベストセラー小説「ロスジェネの逆襲」には登場していない。つまり、ドラマ版で大和田はどんな立ち位置として物語に絡んでくるかは、原作を読んでいる読者にもわからない。
ここで第1話、第2話の大和田の登場シーンを少し振り返ってみたい。
まず新シリーズでの大和田のファーストシーンは、頭取室。前作で、反目していた中野渡頭取(北大路欣也)に慈悲をかけられ救ってもらったことから「施されたら施し返す。恩返しです」と忠誠を誓い、頭取派であることをアピールする。
その後、自分の子飼いだと思っていた伊佐山が反旗を翻し、古田新太演じる三笠洋一郎副頭取にすり寄っていることを知ると、伊佐山と三笠に「たいしたものだ」と慇懃無礼ににらみを利かせながらも、2人に対して闘志を燃やしているような表情を見せる。
さらに半沢が伊佐山らの不正に対して、真っ向勝負を挑もうとしていることを知ると、大和田は「そうですか、半沢君が動きだしましたか」と、取締役会で三笠副頭取が座っている席を見つめると、不敵な笑みを漏らす。
第2話では、半沢が窮地に陥り、東京セントラル証券からさらに辺境地へ出向させられる可能性があると聞いた大和田は、半沢に向かって「私がなんとかしてあげようか? 君の態度次第で人事に口をきいてやってもいい」と言葉をかける。しかし半沢が「自分の身は自分で守ります」と無下に断ると、「はい、残念でした。そんなものは守れません。組織に逆らったらどうなるか君が一番よくわかっているはず。私はどんな手を使っても生き残る。だが君はもうおしまいです」とふてぶてしく言い放つ。
そして半沢の前から一瞬立ち去ろうとするが、向き直り「お・し・ま・い・death」とkillポーズ。これまでも香川の顔芸はキレキレだったが、想像だにしない方向から飛んできた顔芸に、SNS上では「これはアドリブか」「どんだけ物語を支配したら気が済むんだ」「香川さんのいない『半沢直樹』は『半沢直樹』じゃない」と大きな盛り上がりを見せた。
しかもこのやり取りを階段の上から見ていた中野渡頭取の表情がなんとも悩まし気で、大和田がどの立ち位置にいるのか、より難解になった。香川自身も制作発表会見で、大和田が原作には登場していないことに触れると「原作は完璧なものなので、(自身の芝居がダメだったら)切ってもらってもかまわない」と作品に命をささげる覚悟で臨んでいることを明かしていたが、今後大和田がどんな形で半沢に絡んでくるか、いまから楽しみでならない。
■第3話は“黒崎”片岡愛之助が登場! スピンオフ主演の吉沢亮も参戦
そして注目の第3話では、もう一人『半沢直樹』に欠かせない男が返ってくる。前作で半沢を目の敵にして攻め込んだ金融庁検査局主任検査官の“おネエ”黒崎駿一(片岡愛之助)だ。前シリーズでは、2度も半沢にしてやられており、彼への執着は半端ない。今回は半沢が所属する東京セントラル証券に証券取引等監査委員会の立ち入り調査が行われることになり、そこになぜか黒崎がやってくるというストーリーだ。
愛之助の“おネエ”キャラは前作でも大きな話題になったが、今作でも「かなりいろいろなパターンのテイクを重ねた」と監督のこだわりはすごかったよう。パワーアップした黒崎が堪能できそうだ。
また、第3話の予告編では、今年1月に放送されたスピンオフドラマ『半沢直樹イヤー記念・エピソードゼロ~狙われた半沢直樹のパスワード~』で主人公となった敏腕プログラマー・高坂圭(吉沢亮)の登場シーンも流れた。ドラマでは半沢と直接関わるシーンはなかった高坂だが、人づてに半沢の魅力を聞かされ自身の仕事に対する考え方も大きな影響を受け、半沢に通じるような熱さも兼ね備えるようになっただけに、黒崎との戦いの大きな戦力になることだろう。
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