例年よりも梅雨が長引いている昨今ですが、気象庁によると、今年の夏も全国的に平年並みか、それ以上の暑さが予想されています。そこで梅雨明け後は、寝苦しい夜が続くと見られますが、在宅勤務の推進などコロナ禍における"新しい生活様式"で迎える今年の夏は、業務パフォーマンスを上げるために、いつも以上に「快眠」の備えが必要そうです。
睡眠の問題を抱える人は4人に1人
三菱電機が7月10~12日にかけて、東京・大阪に在住する寝室にエアコンがある30~59歳の男女600人を対象に行った調査によると、コロナ禍によって日常生活や働き方に変化があった人のうち、「眠りが浅くなった」(31.1%)、「寝つきが悪くなった」(25.5%)と回答しました。
4人に1人が睡眠の質が低下していると感じていることになり、生活に変化がなかった人に比べて2倍以上に及びました。
睡眠不足から日中に眠気が強くなることは、仕事の生産性の低下にもつながります。そこで、三菱電機では、睡眠環境プランナーの三橋美穂さんによる「よりよい睡眠環境づくりのポイント」をもとに、快適な眠りをサポートするためのエアコンの使い方を解説しました。
エアコンは「つけっぱなし」が正解
快適な睡眠のために、まずはエアコンを朝までつけておくこと。室温が28度を超えると夜間熱中症のリスクが高まるためで、寝苦しさを感じる夜は、エアコンを28度以下の温度に設定して一晩中つけておくことが推奨されます。
なお、タイマーでエアコンを切る設定にすると、その後に室温が上昇して暑くて目が覚めるなど「睡眠の質が低下する」ため注意が必要です。
さらに、エアコンの温度は就寝前と入眠時の2段階で設定を。具体的には、就寝1時間前に低めの温度で設定し、初めに日中の太陽の熱が蓄熱し壁や天井にこもった空気をしっかりと冷やします。
ただし、低めの温度設定のまま寝てしまうと、睡眠中に寒くなってしまうため、寝る直前でエアコンの設定温度を上げます。室温はその後ゆっくりと上昇していくため、寝入って体温が下がったころには身体が冷え過ぎず、眠りやすい環境になります。
最近のエアコンには「ねむり運転機能」など、自動的に運転を切り替えて室温や湿度、風量などを自動でコントロールしてくれる機種がありますので、そうした機能を大いに活用してほしいです。
エアコンと冷感寝具で睡眠の質を高める
とはいえ、エアコンをつけっぱなしにして寝ると、翌朝に体のだるさを訴える人も少なくありません。そのために、就寝中のエアコン稼働を好まないという人もいるでしょう。その原因は「寝冷え」によるもので、睡眠中に足がつるという現象が起きる理由もその1つ。
そこで、体の冷えを回避するために、就寝着は長袖・長ズボンがおススメ。夏は半ズボンの半裸でお腹の上にタオルケット等をかけて寝るという人もいると思いますが、ふくらはぎが露出して冷えることでこむら返りを起こしている可能性も。
また、暑がりな人は冷感寝具とエアコンの併用もおススメ。冷感寝具のみでは満足のいくヒンヤリ感が得られなくても、エアコンとの併用により冷感寝具の温度が下がってヒンヤリ感がアップして身体を冷やさずに快適な睡眠環境に近づけられます。
就寝着や寝具の工夫や調整は、同室で眠る家族やパートナーとの間で体感差がある場合にも有効です。
睡眠の質は換気も大切
もう1つ見逃しがちなポイントは、「きれいな空気」を保つこと。人間は臭いのある環境で息苦しさを感じるのと同じように、室内の空気が汚れていると呼吸が浅くなり、 睡眠の質が低下します。
エアコンをつけて睡眠している間は換気ができませんが、眠る前に窓を開けて換気を行い、きれいな空気を部屋に取り入れておくことで睡眠時の呼吸も深くなり、疲れを残さずしっかりと眠ることにつながります。
なお、カビの発生等でエアコン内部が汚れていると、そこから発せられる汚れた空気を吸いながら眠ることになるため、「内部クリーン運転」などのお手入れ機能も定期的に活用して室内環境の向上に努めましょう。
本格的な夏が到来し、熱帯夜を迎えるにあたり、今年は例年以上に快適な睡眠環境を整えることが業務パフォーマンス向上のためのカギとなります。以上のアドバイスを実践し、環境変化が激しい今年の夏も乗り切りたいものです。