お笑いコンビ・ナイツがパーソナリティを務めるTBSラジオ『土曜ワイドラジオTOKYO ナイツのちゃきちゃき大放送』(毎週土曜9:00~13:00)のオープニング漫才を書籍化した『ナイツ 午前九時の時事漫才』(駒草出版/1,600円税別)が、きょう31日に発売された。

ナイツの塙宣之と土屋伸之が、ラジオでオープニング漫才をすることや、書籍化された中から特に印象的なネタなどを語った。また、ナイツと同じく“時事ネタ漫才”を得意とする爆笑問題との違いについても明かした。

■書籍化決定の感想「すごくうれしい」

  • ナイツ(左から塙宣之、土屋伸之)

――書籍化発売を聞いたときの感想をお聞かせください。

塙:毎週結構なボリュームがあって、個人的には残しておかないともったいないと思っていました。それが書籍化されるということで、台本をいっぱいまとめてくれた感じで、うれしいです。

土屋:(作家の)野口さんのつくる漫才のクオリティが高く、その日だけの1回の放送で終わっちゃうのはもったいないなと思ってました。なので、僕も書籍化されるのはすごくうれしいです。

――オープニング漫才は主に作家の野口さんが制作されています。塙さんは自身が作ったネタと野口さんが作ったネタの違いをどのように感じていますか。

塙:スタート当初は言葉を変えてたんですよ。僕はきっちりとした言葉を言わないんですが、野口さんはきっちり書くんです。たとえば「〇〇大臣」じゃなくて、僕の場合は「〇〇さん」ぐらいの感じなので。でもたまに変えたりすると、そこが伏線部分になっていて、最後がつながらなかったりすることもあったので、なるべく野口さんが書いたとおりにやろうとは思ってます。

――土屋さんはいかがですか。

土屋:めちゃめちゃやりやすいですよ。塙さんのネタの方は、僕はツッコミのセリフを変えたりしますけど、野口さんの方がわりとそのままできちゃったりしますね。ツッコミの細かいところの言い回しとかもすごくよく出来ているので、やりやすいです。

朝のラジオの漫才をそのまま記事にするネットニュースもあるんですけど、僕がちょっと語尾を変えちゃったところをそのまま載せてたりすると、その言い回しの方がちょっと変なときがあって。文面で見たときは野口さんの台本の方がいいなと思うことがありますね(笑)。

塙:野口さんは優しい人なんで、毒というよりは、愛が根底にありますよね。そういう意味では、今主流の誰も傷つかない笑いというか、優しい人がつくっているんだなと感じます。

――時事漫才の文字化といえば、爆笑問題さんのイメージも強いと思いますが、そこについてはいかがですか。

塙:爆笑さんの時事ネタの場合は、野球でいえばストレート1本じゃないですか。太田(光)さんの切り口だけで攻めていくという。僕らの場合は、同じ時事ネタでも変化球ばっかり。同じ切り口というよりは、毎週いろんなパターンでやっていくというので、そこはちょっと違うかもしれないですね。爆笑さんはマグロの刺身1本で、僕らはマグロの違った料理をつくるというような感じです。

■「オープニングトーク=漫才」になっている

――ラジオのオープニングで漫才をすること自体についてはいかがですか。

塙:もうそれに慣れたので、自分たちとしては「オープニングトーク=漫才」となってます。むしろオープニングトークの1つだと思って、漫才を聴いてほしいというのはありますね。

土屋:そうですね。ラジオの冒頭で漫才をやるというのはやりやすいですね。

塙:トークでネタに詰まることがないというか、漫才自体が1週間のニュースをぎゅっとまとめているので、詰まった場合は漫才に出てきた話題の話ができます。はじめは毎週やるのは大変かなと思っていたんですけど、今は逆に漫才がない方が何からしゃべろうかと迷いますね。

――書籍に収録されたなかで、特に印象的なネタはありますか。

土屋:「ベッキーをベキペディアでゲスってきました」という“ベキペディア”がキラーワードだなと印象に残ってましたね。

塙:スタンダードなボケとツッコミのネタもあれば、1つのパターンだけで最後までやるネタもあったりするので、「このパターン使えるな」というのは結構多いですね。野口さんが伏線回収するネタが好きなので、それが個人的には楽しいです。

■「いろんな伏線が入ってますね(笑)」

――そのほか、改めて本を見ていて、感じたことはありますか。

塙:「豊田真由子のネタがもう3年前だったんだ」とかは思いましたね。ある意味、歴史の教科書ですから。反面教師にしてくださいっていうことですから(笑)。この本は注釈も面白くて、「ニッチェの近藤が10年ぶりに彼氏できた」とか、誰が興味あるんだろうって(笑)。

土屋:永(六輔)先生や歌丸師匠とか、亡くなられた方のことも漫才の中で笑いに変えるというのは難しいことなんですけど、今見ても、「野口さんすごく上手くやってくれてたな」と思います。芸能の歴史という面でも、こういうところが入っているのはいいですよね。

あと、たまたま歌丸師匠のネタのところを見たら、ちょうどワールドカップの日本対ベルギー戦の直後だったので、今は別のことで話題になっている乾(貴士)選手の名前が出ていました(笑)。まさか2年後、こんなことが起きるとは思わなかったですし、いろんな伏線が入ってますね(笑)。

塙:本の後半には「たかしあいしてるずーっと」のネタも入ってますからね(笑)。

土屋:なんなら、今日のラジオでもいじりましたから(笑)。

――『ナイツのちゃきちゃき大放送』は毎週土曜、朝から4時間の生放送です。放送のなかで意識していることはありますか。

塙:朝早いですから、早く寝てますね。やっぱりしゃべれなくなっちゃうので。でも昼飯食った後、眠いですけどね(笑)。

土屋:寄席や深夜の番組と違って、一応下ネタは控えているつもりですね。あと、下ネタのメールを読むときはなるべく午前中に読むようにしています(笑)。

――コロナ禍のなか、塙さんはTwitterやYouTube、土屋さんはインスタを開設するなど、新しいこともされてますね。

土屋:コロナの影響で自粛生活があってスポーツもなくなってたから、「消しゴムサッカーがバズるなら今かな」と頭によぎったために、インスタをはじめました。でも、まったく話題にならなかったので、やんなきゃよかったなと思っています(笑)。

塙:今は舞台がないので、自分を表現する場所がないじゃないですか。だからYouTubeは、なんでもできるので最高ですよね。やっぱり面白いことを考えたりするのが好きなので、楽しくやってます。もっと早くやっておけばよかったなと思うぐらいです。コロナの影響で時間があったおかげで、逆にいろいろとできました。

――最後に本を手に取る方々へのメッセージをお願いします。

塙:「容疑者の名前は?」とか、2人で本読みながら、クイズをしても面白いかなと思います。

土屋:時事ネタを振り返るのも面白いんですけど、漫才の作り方としていろんなパターンが入っているので、「今から漫才をやりたい」という方にも、ボケの切り口とか参考になるんじゃないかなと思います。

■ナイツ
ボケ・塙宣之、ツッコミ・土屋伸之によるコンビ。2001年にコンビ結成。2008年~10年「M-1グランプリ」決勝進出、「THE MANZAI 2011」準優勝など、受賞多数。コンビとしてTBSラジオ「土曜ワイドラジオ TOKYOナイツのちゃきちゃき大放送」などに出演中。

■『ナイツ 午前九時の時事漫才』(駒草出版/1,600円税別)
お笑いコンビ・ナイツがパーソナリティを務めるTBSラジオ『土曜ワイドラジオTOKYO ナイツのちゃきちゃき大放送』(毎週土曜9:00~13:00)の、オープニング漫才を書籍化。ナイツならではの視点でその週のニュースを発表し続けたネタは、実に200本を超える。その中から厳選した77本が書籍に収録される。