あの『白鳥麗子でございます!』(講談社)などで知られる鈴木由美子氏による同名漫画を実写映画化した『いけいけ! バカオンナ~我が道を行け~』が7月31日より公開。原作は主人公・杉山結子と女友だちの友情を描いた自伝的作品だが、バブル時代を現代に設定を変え、恋愛・仕事・友情と山積みの問題を抱えながらもパワフルに生きている、現代アラサー女子たちのリアルを描いた物語が展開する。
その主人公で、外ではイケイケ女を気取っているが、私生活では地味で質素な生活を送る“超”のつく見栄っ張りアラサー女子・杉山結子を演じるのは、女優として活躍の場を広げている文音。自身初挑戦となった本格コメディで、世の女性たちの共感を集めそうなアラサー女子を熱演している。その文音に今回のコメディ初挑戦の感想から、2014年に父・長渕剛の長渕姓を取って改名した理由や、いずれ実現したいという父・長渕剛とのコラボレーションの夢まで、さまざまな話を聞いてみた。
――タイトルのインパクトが絶大ではありますが、こういうコメディは初挑戦ですよね?
そうですね。みなさん「パンチが効いているね!」とおっしゃいます(笑)。本格的なコメディはおっしゃるように初めてで、コメディは奥が深い! 難しかったです。初めてだったので感覚をつかめるまでに時間もかかりましたが、コメディのテンポを重視したり、テンションがすごく高い女の子だったので、それをずっとキープするために撮影に入る前に常にトップギアに入れておかないといけなくて。朝すごく早かったり、前日に撮影がおして睡眠時間が短かったり、そういう状態で朝イチの撮影でガッ! と気分を上げておかなければいけなかったりしたので、そのサジ加減はすごく難しかったです。
――そのテンションは、どうやってキープしたのですか?
もう気合いですね(笑)。それだけです。自分の中での自己発電ですよね。いま考えると、ほかの何かで気分を上げる方法あったのかなって思います。それこそ音楽を聴いたりする方法もあったかも知れないですが、そういう余裕さえなかった。そういう考えさえ浮かばなかったですし、とにかく自己発電でアゲていくしかないという、気合いだけでした。
――大変な作業であった半面、コメディを作る面白味は感じましたか?
人を笑わせること、面白かったと言ってもらえることって、お仕事でコメディをやったら本望だなって、すごく感じました。今まではどちらかというとヒューマン系の作品が多かったので、すごく新しい感覚でした。みなさんが私の表情を見て笑っていて、すごく新鮮でした。自分が表現することで笑いにつながることが、幸せだとも思いましたね。だから、お笑い芸人さんが自分の芸で笑ってもらうことって本望だと思うので、そういう気持ちなのかなって、ちょっとわかったような気もしました(笑)
――主人公のキャラクターは見栄っ張りでしたが、どのように役に近づいて行ったのですか?
もともと原作の大ファンで、共感する部分がたくさんあったので、そこは入りやすかったです。あとは彼女のテンションや熱量を絶対に落とさないことと、セリフですね。彼女は異様に早口なので、セリフ回しをとにかく練習しました。ただ、彼女は見栄っ張りではあるけれども、すごく一生懸命に生きている女の子でもあるので、そこは忠実に、私も一生懸命にやりたいという気持ちで挑みました。
――どういうきっかけで原作と出会ったのですか?
4年くらい前です。ものすごく面白い漫画がある! とすすめられて手に取ってみたら、こんなに面白い作品があるのかって。映画化しないかなって思ったほどでした。原作では女性の友情がはかない感じに描かれていて、私もそう思う時期もありました。今32歳ですが、地元の友達が結婚して離れていってしまうことに対して、なんだか寂しさや、いろいろと感じた時期があったんです。だから、女の友情って本当にあるのかな? って思ったことはありましたね。だから、その葛藤は原作の時点で共感しましたし、アラサーのみなさんが恋愛して結婚して離れ離れになっていくという気持ちは、すごくよくわかります。
――でも女同士の友情もあると、思い直した?
自分は結婚もしていないし、子供もいないのでわからなかったんですけど、結婚して子供が生まれた友達といつものように会えなくなると、寂しくなって、私の中で勝手に儚い、つれないなって思ってしまった。家庭を持ってしまうと女性はそうなるのかって、自分の立場でしか物事を見ていなかったんです。向こうにしてみれば、それが普通で当たり前の幸せなんですけどね(笑)。やはり昔みたいな付き合いができなくなるのは寂しいですよ(笑)。でも女同士の友情はあると信じたいです。
――よく世間では、女性は横を見て比べてしまうなどとも言いますが。
そうですね。だからよくある仲がいい子同士でも、ご主人の収入、職業、そういうもので女性たちは、基本的にはマウンティングを取りたがる生きものだとは思います(笑)。でも、私の仲がいい友達同士ではそういうことをしない。そのままの自分でいられるから、良いところも悪いとことも見せられる。それは本当の友達だなって思います。