日本のコードレススティック掃除機はとにかく多機能。なかでもよく見かけるのがハンディ掃除機にもなる一台2役のコードレススティック掃除機です。ただ、延長パイプと床用ヘッドを外しただけで「ハンディ掃除機」とうたう製品もあり、ハンディ掃除機としては重くて大きくて取り回しにくいということも……。

7月30日にシャークニンジャから発表された「ハンディにもなるコードレススティック掃除機」は、かなり使いやすい新製品です。シャークニンジャは、パワフルなハンディ掃除機「EVOPOWER」シリーズで知られ、EVOPOWERシリーズは日本で高い人気があります。

  • 左から、EVOPOWER SYSTEM CS401のメタリックグレイとロイヤルブルー、EVOPOWER SYSTEM CS200のルビーレッドとノルディックブルー

コードレススティック掃除機の新製品「EVOPOWER SYSTEM」は、マルチフロア対応の「EVOPOWER SYSTEM CS401」(以下、CS401)シリーズと、フローリング床専用の「EVOPOWER SYSTEM CS200」(以下、CS200)シリーズの2モデルをラインナップ。8月26日発売で価格はオープン、推定市場価格(税別)CS401が45,000円前後、CS200が30,000円前後です。

  • 手で持つとこれくらいの大きさ。本体部分がスリムで、ハンディ型の床モップに近いスッキリとした見た目です

髪の毛を巻き込まない回転ブラシなど、使いやすさが魅力

まずは一番よく使うであろう床掃除用のスティック掃除機として。EVOPOWER SYSTEMのマルチフロア対応モデルとフローリングモデル、両者の大きな違いはヘッドです。

簡単にいうと、マルチフロア対応のCS401はヘッドに回転ブラシを搭載していて、フローリングのほか、畳やカーペットなどのゴミも強力に掃除してくれます。一方、フローリング専用のCS200は回転ブラシタイプではありません。回転ブラシがないので、カーペットや畳の掃除には向いていませんが、そのぶんヘッドがスリムでコンパクト。本体の重さもスティック時で約1.5kgと、それなりに軽い部類です。

  • マルチフロアタイプのCS401。スティック時のサイズは幅267×奥行124×高さ1005mm。重量は約1.9kgで、回転ブラシ搭載のコードレススティック掃除機としては軽量と呼ばれるギリギリの重さ。ダイソンの最軽量コードレススティック掃除機「Dyson Digital Slim」と同じ重さですね

  • フローリング専用のCS200。回転ブラシがないぶん、ヘッドが薄くてスタイリッシュ。個人的には非常にツボなデザインです。スティック時のサイズは幅267×奥行124×高さ995mmで、重さ約1.5kgとだいぶ軽くなっていますね

【動画】本体がスリムでヘッドまわりにジャマな障害物がないので、家具の下にもヘッドがスッと入り込ます。取り回しの良さはなかなかのもの

スティック掃除機として特に注目したいのが、なんといってもCS401の回転ブラシ。短めのフワフワした毛と柔らかなシリコン製スクレーパーで構成されていて、この2つの素材がしっかり床に密着してゴミを掻きとります。

うれしいのは、ビックリするくらい回転ブラシに髪の毛が絡まらないこと! 回転ブラシをよく見ると、中央に向かって径が細くなっていて、回転中は絡まった毛がどんどん中央に引き寄せられる仕組み。さらに、ヘッドのクシ状パーツが中央に移動する髪を絡め取ることで、ブラシの毛を除去するそうです。

実際に30cmほどの長い糸状ゴミを何本も吸ってみましたが、ブラシにはまったく糸が絡まっていませんでした。ロングヘアの家族や長毛のペットがいる家庭では、一定時間掃除するたびに「回転ブラシから絡まった毛を外す」という作業が必要ですが、これがなくなるだけでとてもラクになります。

  • CS401の回転ブラシ。毛状ブラシとシリコン製スクレーパーという2種類のパーツを配置することで、常にブラシのどこかが床に密着。ゴミの取り残しが出にくくなっています

【動画】大量の長い糸状ゴミを一気に吸い込みましたが、ブラシには一本も糸が絡まっていませんでした

一方で、ちょっと気になったのは集じんカップの小ささ。集じん容量は非公開なので正確な容量はわからないのですが、見たところかなりコンパクト。抜け毛の多い犬がいる我が家では頻繁なゴミ捨てが要求されそうです。とはいえ、ゴミ捨ては手がゴミに触れないよう、ワンタッチでできるようになっています。

【動画】本体上のスイッチをスライドするだけで、ワンタッチでゴミ捨て

  • 集じんカップは取り外しもでき、外したパーツはすべて水洗い対応です

「ハンディタイプにもなる」掃除機は多いけど……

冒頭でも書いたように、本製品で筆者が気に入ったのが、ハンディタイプ時のコンパクトさと使いやすさ。スティック掃除機の基本は床掃除ですが、ソファの隙間に入ったゴミやテレビ台のホコリなどなどが気になって、「あそこも!ここも掃除!」と思うことがあります。

EVOPOWER SYSTEMはハンディ時のサイズが幅67×奥行86.5×高さ500mmと、かなりスリムでコンパクト。ゴミを見つけたら、サッと気軽に掃除できるサイズです。カーテン掃除や棚の上など、高い場所の掃除もこれなら負担にならなさそうです。

  • ハンディ時はここまでスリムでコンパクト。重さも約0.9kgと軽量で、非力な筆者でも高い場所の掃除までラクにできます

もうひとつうれしいのが、充電台からの掃除機の取り出し方。ハンドルを握ってそのまま持ち上げるとスティックタイプ、本体脇のボタンを押した状態で充電台から持ち上げるとハンディ部分だけ引き抜けます。

これは便利! 本体と充電器のダブル充電できるバッテリー

コードレス掃除機で気になることのひとつは連続駆動時間。CS401とCS200は、バッテリー1個につきスティック時で約12分、ハンディ時で約20分となっています。スティック時の連続駆動時間にはちょっと物足りなさを感じますが、CS401は標準でバッテリー×2個が付属しているので、バッテリーが切れたら交換して掃除を続けられます。

  • グリップ裏のトリガーボタンを押している間は、吸引力が上がる「強モード」

  • 本体のインジケーター。ファンのマークが点灯しているときが「強モード」です。細長いバーはバッテリー残量

CS200は標準でバッテリーが1個付属しますが、あとからバッテリーだけ購入することは可能。しかも追加バッテリーの価格は4,000円前後と、掃除機のメーカー純正予備バッテリーとしては、かなり安い値段で販売される予定です。

もうひとつ面白いのが充電方法。EVOPOWER SYSTEMはバッテリーの充電方法が2種類用意されています。ひとつが、本体にバッテリーを装着した状態で充電台にセットする方法。もうひとつは、充電台にバッテリーを直接差し込んで充電する方法です。

両方いっぺんにバッテリーをセットした場合は、まずは掃除機にセットしたバッテリーを充電。こちらが満充電になると、自動的に充電台に直接セットしたバッテリーへの充電をスタートします。「最初のバッテリーの充電が終わったら、次のバッテリーに入れかえる」という作業がないのは好印象です。

  • 本体のハンドル上部部分にバッテリーがセットされています。本体にセットした状態での充電も可能

  • 充電台にも直接バッテリーを差し込んで充電するスペースを用意。掃除機と充電台の2カ所にバッテリーをセットしておくことで、2本のバッテリーも「差し替え忘れ(充電忘れ)」を防げますね

  • 付属のアタッチメント

  • 充電台には、アタッチメントをすべてセット可能。充電台の右側に見えるアタッチメント置き場は、充電台の左側にも持って行けます

価格も魅力

シャークニンジャは、アメリカではダイソンと人気を二分する人気の掃除機メーカーで、日本には2018年に参入。パイプが折れ曲がるコードレススティック掃除機「EVOFLEX」を発表しました。ただ、この製品はパイプやヘッドを入れると重さ3.33kgとなかなか重量級。さらに集じんカップが洗えないなど、あまり日本向けとはいいにくい仕様でした。

今回のEVOPOWER SYSTEMは、パワーはありつつも比較的軽量なうえ、回転ブラシに髪が絡まらない機構や充電台の作りと機能など、細かな部分まで使いやすさが追求されています。正直、良い意味で「予想を裏切られた」と感じました。

価格にも注目です。最近のプレミアムコードレススティック掃除機は、高機能・軽量化するとともに、高額になっています。大手メーカーのフラッグシップモデルだと、発売前の推定市場価格が50,000円以上という製品もザラ。一方でEVOPOWER SYSTEMは、フラッグシップモデルでも45,000円前後に抑えられています。オプションの予備バッテリーも4,000円前後とリーズナブル。コードレススティック掃除機を検討している人は、ぜひ候補に加えてほしい製品です。