新型コロナウイルスの影響で、家計が厳しくなっているご家庭も少なくありません。これを機に、家計の見直しをしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

お金の使い方を見直すことももちろん大切ですが、使える公的な制度をしっかり活用することも忘れてはいけません。

今回は、公的制度の中から、特に子育て世帯に関係する3つの制度をご紹介します。

  • 子育て世帯の家計が楽に! 申請すれば減らせる&もらえるお金の制度

産休・育休中も安心『社会保険料免除制度』

家族が増えるのはとてもうれしいことではあるけれど、物入りな時期だからこそ、収入が減るのは心許ないですよね。

そんな時にぜひ知っておいていただきたいのが、「社会保険料免除制度」。産前産後休業や育児休業等の期間、健康保険・厚生年金の保険料が免除される制度です。

通常、社会保険料は事業主と被保険者が折半で負担しますが、社会保険料免除制度を利用すれば、事業主・被保険者の双方が保険料を免除されます。

社会保険料が免除されても、免除期間は保険料を納めた期間として扱われます。つまり、将来、年金を受給する時に受給額が減ることはありません。

手続きは事業主が申出書を日本年金機構へ提出します。手続き漏れがないように、事前に担当者に確認しておくようにしましょう。

ちなみに、これまでは免除制度のなかった国民年金第1号被保険者も、2019年4月からは産前産後期間の国民年金保険料が免除の対象となっています。

原則無料で受講が可能『求職者支援制度』

再就職のために、資格取得などのスキルアップを目指す方も多いのではないでしょうか。 働きながらスキルアップを目指す「教育訓練給付金」や、失業給付の受給資格を持つ人が再就職を目指す「公共職業訓練」は割と知られた制度です。

そのため、雇用保険に加入していなければ、スキルアップのための支援は受けられないと思われがちですが、実はそうではありません。

専業主婦(夫)やパート等で雇用保険を受給していない求職中の方が、国の支援を受けられる「求職者支援制度」という制度があります。

1.ハローワークに求職の申込みをしていること
2.雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でないこと
3.労働の意思と能力があること
4.職業訓練などの支援を行う必要があるとハローワークが認めたこと

という条件を満たせば、求職者支援訓練を原則無料(テキスト代などは自己負担)で受講できます。

また、
・本人収入が月8万円以下
・世帯全体の収入が月25万円以下
・世帯全体の金融資産が300万円以下

といったいくつかの条件を満たすことで、月額10万円の職業訓練受講手当を受給できる可能性もあります。

再就職のためにスキルアップをしたいけれど、資格学校に通うのは家計への負担が大きい……そんな方はまず、ハローワークで制度が利用できるかを確認してみましょう。

進路の選択肢が増える!?『高等学校等就学支援金制度』

子育て世帯が特に気になるであろう教育費についても、支援制度があります。

2020年4月に制度が改正された「高等学校等就学支援金制度」では、所得等要件を満たす世帯の高等学校等に通う生徒に対して、支援金が支給されます。

支給額は、

課税標準額(課税所得額) × 6% - 市町村民税の調整控除額で計算される算定基準額(両親2人分の合算)

例として年収別の支給額については、以下が目安となります。

公立学校に通う場合
年額11万8,800円(対象者)

私立学校等に通う場合
【算定基準額15万4,400円未満(世帯年収目安: 590万円未満)】
年額39万6,000円
【算定基準額15万4,400円以上30万4,200円未満(世帯年収の目安: 910万円未満)】
年額11万8,800円
※世帯年収は、両親・高校生・中学生の4人家族で、両親の一方が働いている場合の目安であり、ご家族の人数や年齢、働いている人の人数等で、実際に対象となる年収は変わります

ご自身の課税標準額などについては、マイナポータルなどで確認できますので、計算してみてくださいね。

ただし、算定基準額が30万4,200円以上(世帯年収目安: 910万円以上)になると、制度の対象外となりますのでご注意ください。

新入学の場合は入学時の4月に、在校時には収入状況の届出を行う7月頃に学校から案内があるので、忘れないようにしておきましょう。

また、お住まいの都道府県によっては、自治体独自の支援が上積みされる場合もあるので、あわせて確認が必要です。

公的制度は難しく感じがちですが、しっかり活用できれば、家計への負担は確実に減らせます。

ぜひ日々の暮らしに安心を増やすために、ご自身に関連のある制度を調べてみることから始めてみてはいかがでしょうか。