野村総合研究所は7月21日、NRI社会情報システムが実施した「変わるシニア世代の就業意識・行動」の調査結果を発表した。調査は3月17日~19日、全国の55歳~79歳の男女2,500名(5歳刻みに性年代を人口比率で割付)を対象にインターネットで行われた。
2021年4 月より、高年齢者雇用安定法(高齢法)の改正により、企業に対する「70歳までの就業機会確保」の努力義務化が適用される「70歳雇用延長制度」がスタートするが、同制度の認知度を調べたところ、内容をよく理解している人は全体の2割にすぎず、67.5%が「名前を聞いたことがある」程度の理解であることがわかった。
また、同制度に対する評価を聞くと、53.9%が「良い」あるいは「どちらかと言えば良い」と評価をしており、その割合は、男女ともに年齢が高いほど高くなる傾向に。しかしながら、実際に今後制度の適用対象となる55歳~64歳層、特に男性では、プラスの評価をする割合は4割程度にとどまった。
次に、同制度の適用対象となる55歳~64歳の正社員層を対象に、今後制度を利用して70歳まで働くかどうかについて聞いたところ、「70歳まで(以降も)働く」(27.2%)、「多分、70歳まで働く」(23.3%)と、約半数が制度の活用を考えていることが明らかに。また、55歳~59歳に比較して60歳~64歳の方が、より現実の問題と捉えるようになることから、70歳までの就業意向が強まる傾向が見て取れた。
「70歳まで(以降も)働きたい」と回答した人に、実際に働き続けたい年齢を聞くと、約65%の人が「健康である限り」(22.1%)、「80歳くらい」(4.4%)、「75歳くらい」(38.2%)と回答するなど、その平均年齢は72.8歳となった。
また、同制度を利用して70歳までに行ってみたい働き方を教えてもらったところ、「今の仕事を続けつつ、兼業で別の仕事にも取り組みたい」が非常に多く、兼業への関心は55歳~59歳(57.8%)よりも60歳~64歳(68.3%)の方が高い結果となった。