NTTデータ経営研究所、JTB、日本航空(JAL)は7月27日、慶應義塾大学 島津明人教授の監修の下で行った「ワーケーション」の効果検証実験の結果を公表した。ワーケーションは生産性・心身の健康にポジティブな効果があることが分かったという。
ワーケーション=普段とは異なる場所で働きながら休暇取得
テレワークと心身の健康・生産性を両立できる働き方として3社が注目しているのが「ワーケーション」(Workcation)。リゾート地や地方等の普段の職場とは異なる場所で働きながら休暇取得等を行う仕組みで、環境省からも設備・環境の整備を進めるなど新たな観光需要の創出が期待されている新しい働き方。
今回の実験は、ワーケーションの効果・効用に関するエビデンス獲得並びに効果的なワーケーション施策の策定・普及が目的。脳科学の見地から科学的な労働生産性向上のコンサルティングを行うNTTデータ経営研究所、ニューノーマル時代のワーケーションを提案するJTB、従業員向けのワーケーションをいち早く制度として取り入れてその社内外への普及と地域活性化を目指すJALが連携した。
実験の第1弾は、カヌチャベイリゾートが運営するカヌチャリゾート(沖縄県名護市)で研究チーム企業の所属メンバーを中心とした男女18名を対象に行われた。
6月26日~28日をワーケーション期間(6月26日(金)を勤務日、6月27日(土)・28日(日)を休暇日)とし、前後の期間にも対象者の状態や仕事に対する姿勢等を問うWEBアンケートを実施、ウェアラブルデバイス「Fibit Charge3 HR」といったリストバンド型の活動量計を常時装着し、活動量や睡眠時間等の行動データを収集した。
実験環境として、WiFi環境とソーシャルディスタンスを保持した執務エリア(マスク着用、手指消毒の徹底)を用意。自室における執務も可とした。
実験の結果によると、ワーケーションは(1)経験することで、仕事とプライベートの切り分けが促進される、(2)情動的な組織コミットメント(所属意識)を向上させる、(3)実施中に仕事のパフォーマンスが参加前と比べて20%程度上がるだけでなく、終了後も5日間は効果が持続する、(4)心身のストレス反応の低減(参加前と比べて37%程度)と持続に効果がある、(5)活動量(運動量)の増加に効果がある(歩数が参加前と比べて2倍程度増加)。
「今後は今回の実証実験のスキームを活用し、自治体や企業に対して効果検証支援を行っていく。より多くのデータが集まることで、どのような人が、どのような人(職場のチーム等)と、どんな環境で、どういったアクティビティを伴ったワーケーションを実施するとより効果的なのかといった踏み込んだ内容についても明らかにしていきたいと考えている。データに基づくワーケーションの科学的な検証と普及を通して、企業の生産性の向上、従業員の健康、地域の活性化、旅客需要の再興に貢献していく」と3社。