梅雨明けが待ち遠しいですが、梅雨が明けたあともゲリラ豪雨や秋の台風など、しばらくは外に洗濯物を干しづらい季節が続きます。雨のシーズンには、洗濯物は部屋干しで対処するにしても、問題は布団(ふとん)です。
人は寝ている間にコップ1杯分もの汗をかくといわれていますが、湿度が高いこの時期はただでさえ布団の中はジトジト。高温多湿を好むダニやカビには好条件なのです。放っておくと、布団はそれらの温床となり、ダニの糞や死骸、カビの胞子といったアレルゲンの大増殖につながってしまいます。喉や鼻に不調を訴えていた人が布団をお手入れしたところ、回復したという声も聞かれます。
そこで、今の時期こそ大活用して欲しい家電が布団乾燥機です。最近は、布団乾燥機のノズルを敷き布団と掛け布団の間に差し込むだけでよい製品が増えました。かさばる大きな布団を室内外に出し入れする手間もなく、お天気を気にせず使える布団乾燥機は、梅雨から秋の台風シーズンはもちろん、花粉やPM2.5が飛ぶ冬から春の季節まで、実は一年中大活躍するコスパの高い家電なのです。
まず、布団乾燥機を選ぶときのチェックポイントをまとめましょう。
「空気マット」を使う製品か、使わない製品か
1つめは「空気マット」の有無。布団と布団の間に空気マットを広げるタイプの製品は、布団全体に温風を届けてしっかり乾燥させられます。反面、そこそこ手間がかかるため、しだいに使わなくなってしまうことも……。
一方でマットなしタイプの場合、布団全体に温風を行き渡らせる能力は少々落ちるものの、布団と布団の間にノズルを差し込むだけなので簡単。最近発売される製品はマットなしタイプが主流です。さらに一部の製品では、ノズルの構造によって弱点をカバーしているものも見られ、マットなしタイプでも十分な能力を発揮してくれます。
定格消費電力は、パワーと価格に影響
次にチェックしたいのが、定格消費電力です。ワット数が大きいものほどヒーターの能力が高く、ハイパワーということになります。最近の製品で標準的な仕様は、500W~600Wくらい。消費電力が高いほど電気代も高くなりますが、そのぶん布団に温風を届ける能力も高く、運転時間が短くてすみます。トータルでランニングコストを考えた場合には、むしろお得な場合も。とはいえ、本体の価格もヒーター能力に比例して高くなる傾向にあるので、予算に応じて選んでください。
搭載モードや運転コースも重要
布団乾燥機はシンプルな家電なので、機能的にはどれも同じと思いがちですが、搭載モードや運転コースも重要です。布団にセットして運転時間を設定するだけのものから、送風のみ、省エネ(節電)モード、温度帯を選べるものなどさまざま。運転コースも、布団のサイズ、ダニ駆除向け、温めのみなど、製品によって違いがあります。いろいろ選べるほうが使い勝手がよいのは当然ですが、やはり多機能なものほど本体価格は高くなるため、予算と相談です。
必ず確認したい安全機能
運転中に布団の中が高温になったりした場合、センサーが感知して自動で布団乾燥機を停止してくれるなど、安全性は重要です。室温センサー、サーモスタット、温度ヒューズなど、ほとんどの製品に付いてはいますが、念のため有無をチェックしてください。
本体サイズと重さで使い勝手に差が付く
使い勝手の面で思った以上に差が出るのは、本体サイズと重さです。気軽にこまめに使うことを考えると、クローゼットなどに片付けず、ベッドサイドなどに置きっぱなしにしておくとラク。ベッド下に収納できるコンパクトな製品もあります。
複数の部屋、複数の布団に使うときは持ち運ぶことになるため、本体が軽いほうが有利。持ち運びを考えて、本体にハンドルなどが付いているかどうかもポイントです。
それ以外では、電源コードが収納しやすいか、アタッチメントなどの付属品を本体に収納しておけるかといった要素も、長く使っていると気になってきます。購入前に、比較・確認してみてください。
オススメの布団乾燥機
ここからはマット不要タイプにしぼって、筆者オススメの製品をと特徴を紹介します。
アイリスオーヤマ「ふとん乾燥機カラリエ」シリーズ
シングルノズルタイプの「FK-C3」、ツインノズルタイプの「KFK-W1」、ハイパワータイプの「KFK-301」という3モデルを展開。
軽量・コンパクトが特長で、最小サイズのFK-C3なら、幅16×高さ36×奥行14cmと設置スペースも収納スペースも取らず、1人暮らしにもオススメ。重さも約1.8kgなので部屋間の移動や布団へのセットも手軽で、使うとき面倒にならないでしょう。消費電力560Wとパワーもあり、乾燥能力も十分。布団を持ち上げる立体ノズルの採用で、温風を行き渡らせる能力にも優れています。
2組の布団を同時に乾燥させたい場合や、よりムラなく温風を行き渡らせたい場合には 、ツインノズルのKFK-W1がオススメ。基本構造はFK-C3と同じですが、2本のノズルで効率よく布団を乾かせます。
2020年に発売されたKFK-301は、KFK-W1とそれほど変わらないサイズながら、消費電力が900Wとより高性能のモデル。速乾・速暖のターボモードに加えて、予約運転、保温設定といった機能も備えています。布団乾燥だけでなく、就寝前の暖めにも利用でき、予算が許せば選びたいモデルです。
日立グローバルライフソリューションズ「アッとドライ」シリーズ
広範囲に温風を届けられる、二又形状で複数の吹き出し口を備えた独自のアタッチメントを採用しているのが特長。上位モデルの「HFK-VS2000」は、最大消費電力680Wのハイパワー。コンパクトタイプの「HFK-VL3」は420Wとパワーは落ちますが、横幅が半分ほどのスリムなモデル。アタッチメントをはじめ、本体内にすべてスッキリ収納できるのも秀逸です。
いずれも吸気口にアレルキャッチフィルターを搭載し、クリーンな温風も特長です。HFK-VS2000には、周辺温度を感知して、夏は涼しく、冬は暖かく快適な状態に調節してくれる「おまかせ」コースや、運転中のヒーター出力を切り換え、温風温度を50℃以下に制御して約30dBと運転音を抑える「静音コース」も搭載しています。
シャープ「ふとん乾燥機 UD-CF1」
本体構造を大幅に見直し、2019年にリニューアル。2017年から展開している「きのこアタッチメント」を踏襲したまま小型化しました。最大消費電力480Wの安定したパワーに加えて、きのこが胞子を遠くへ飛ばす原理を応用したアタッチメントによって、温風を効率的にムラなく布団内に届けます。
幅28×奥行13.5×高さ29.7cmの本体サイズは、ベッド下やカラーボックス内にも収納できて、使うときにサッと取り出せます。アタッチメントも、装着したまま本体内に収納できるため、セットもワンタッチでお手軽。温風と同時にシャープ独自のイオン技術「プラズマクラスター」を放出し、布団の消臭や、単独運転による空気浄化も期待できます。