毎年恒例となっている世界的なフォトコンテスト「iPhone Photography Awards 2020」(IPPAWARDS)の選考結果が発表され、プロ・アマを問わず世界中のフォトグラファーがiPhoneで撮影した美しい作品がお披露目されました。注目なのが、日本人フォトグラファーのShinya ItahanaさんがStill Life(静物)部門で見事に入賞を果たしたこと。空気感をも感じさせる美しい作品ですが、「4年以上前に入手した旧iPhone SEで、5分ぐらいで撮影した」とItahanaさんはあっけらかんと語ります。Itahanaさんの撮影スタイルや、ふだんの撮影にiPhoneを使う魅力などを聞きました。
旧iPhone SEで光を切り取る
――今回は受賞おめでとうございます。受賞した写真は、島根県出雲市にある一畑薬師(いちばたやくし)の八万四千仏堂(はちまんしせんぶつどう)で撮影されたそうですね。
Shinya Itahanaさん:ありがとうございます。私のふるさとを写した写真で賞を獲得できたことが、とてもうれしく思います。一畑薬師は故郷の松江の近くにあり、昔から撮影に訪れていました。私は、現在も山陰を拠点に活動しています。
――撮影にあたって留意したポイントはどこですか?
Shinya Itahanaさん:撮影する際に重視するのは光、光線ですね。この八万四千仏堂は、本堂を中心に仏像がコの字型に並べられていて、季節や時間によってさまざまな表情を見せてくれます。どの時間でもいい光が当たる場所があるので、特にある時間を狙って訪れたわけではありません。撮影に要した時間は、ものの5分ぐらいだと思いますね。
――5分でこのような美しい写真を撮られたとは驚きました…。作品の撮影に使ったiPhoneの機種やアプリを教えてください。
Shinya Itahanaさん:iPhone SEです。春に出た新しいタイプではなく、ひとまわり小さな古いタイプのSEですね。発売当時から使い続けています。撮影に使ったのは純正のカメラアプリで、純正の写真アプリの編集機能でモノクロに仕上げました。サードパーティーのアプリは一切使っていません。
――昔のiPhone SEで撮影されたんですか!
Shinya Itahanaさん:僕は、仕事以外ではiPhoneかGR III(リコーイメージングの高画質コンパクトデジカメ)しか持ち歩かないんです。iPhone SEは常に持ち歩けるサイズで、親指での操作もしやすいのが気に入っています。不満は感じていませんね。最新のiPhoneですか? 実はまだ触ったことはないんです。一度使ってみたいとは思っていますが、iPhone SEに戻れなくなりそうなのが心配です。
――iPhoneのカメラ機能に対する要望などはありますか?
Shinya Itahanaさん:先ほども話したとおり、基本的に不満はありません。しいていえば、仕事で使っているカメラのように、マニュアル撮影ができるといいかもしれませんね。シャッター速度を自由に決めたりと。それぐらいです。
――これまでの写真生活の振り返りと、今後の抱負を教えてください。
Shinya Itahanaさん:30代のはじめまで、東京と中国をしょっちゅう行き来していました。中国は地域ごとの特色が際立っていて、たとえ隣の省でも文化がまったく異なるのが面白いんです。近年は、チベットの奥地に行ってお寺で修行している人などを撮影しています。チベットならではの僻地感に魅力を感じます。
今は自由に動くのが難しいですが、制限がなくなったら中国大陸を気ままに撮り歩きたいですね。それぞれの省にある個性的なビールを楽しんだり、列車やバスで旅をしながら駅弁を食べたりと。
――ありがとうございました。
Anna Aikoさんも2度目の受賞を果たす
今回のIPPAWARDSでは、Animals(動物)部門で日本人フォトグラファーのAnna Aikoさんが入選。同じコンテストで日本人が2名も賞を獲得する快挙となりました。Anna Aikoさんは、2018年のTravel部門でも賞を獲得しています。
次回のIPPAWARDSは、2021年3月31日締切で応募を募っています。iOSアプリを用いての編集や、iPhoneに装着する外部レンズを用いた撮影が認められています。1枚の応募ごとに所定の手数料が必要になりますが、プロ・アマ問わず応募でき、応募点数に制限はありません。日ごろから自慢の作品を撮りためている人やSNSで作品を公開している人、アプリを用いた編集の腕に自信がある人は、ぜひ挑戦してみてください。