共働きの家庭において、コロナの流行とそれに伴うテレワークの急激な浸透は、夫婦の過ごし方や働き方について改めて考えさせられたのではないでしょうか。同じ屋根の下で過ごすからこそ、夫婦の働き方への協力が、豊かな人生を実現させ、家計をも安定させるポイントではないかと思います。
本稿では、これからのテレワーク時代を乗り切るために必要な「夫婦の連携」について考えてみたいと思います。
夫婦の働き方が多様化
共働きといっても、夫婦共同で事業を営むケースもあれば、夫婦で会社員のケースやフリーランスのケースもあります。同じフリーランスでも同業の場合もあれば、異業種の場合もあるでしょう。
例えば、夫が会社員でサイドビジネスも行い、妻がフリーランスであった夫婦が、時代の変化に応じて夫がサイドビジネスを生かして自営し、妻は培ったスキルを取引先で認められて会社員になったという話も耳にします。副業も当たり前になりつつあるいま、テレワークをはじめ働く場所も多様化し、夫婦の協力の仕方にも様々な方法が考えられます。
下図は、夫婦の仕事形態の組み合わせをいくつか示したものです。これからの時代は、この組み合わせも恒久的なものではなく、時代に応じて変化していくように思います。
そのため、大切なことは時代の変化に応じて組み合わせを自在に変えるだけの力を夫婦で蓄えること、また、時代の変化に素早く対応できる力をもつことです。
これからの時代に必要な対策とは
当然ながら、会社員であっても自営業であっても時代の変化に対応するには、その分野や業界に対する「スキルアップ」が重要です。その仕事のスキルが高ければ、会社の業績が悪くなっても残れる確率は高くなり、また転職も有利でしょう。
資格取得なども、会社員で働いている間はさほど重要視されないかもしれませんが、時代が変化する際は意外に役に立つものです。
それに加えて、今回のコロナによる影響を考えると、これからの時代何かしらの「保険」をかける必要があります。この保険とは、生命保険や損害保険の意味ではありません。時代の変化に対応できる対策を意味します。以下に3つの対策を記載しておきます。
1.別分野のスキルやサイドビジネスを育成しておく
唯一無二のスキルであればいざ知らず、スキルアップだけでは対応できない社会の変化もあるかもしれません。そうしたケースに備えて、別分野のスキルや資格を準備しておくことが、これからの時代は求められるでしょう。
別分野のスキルは、現在の仕事が低調になっても活躍できる分野であることが重要です。サイドビジネス等で人脈を育成していくのが望ましいのですが、現在勤めている会社が副業を認めていないケースは、資格取得などから準備しておくとよいでしょう。
2.夫婦それぞれが収入アップを目指して働く
夫婦で働いていけば、多少収入が減少しても何とか家計を維持できます。夫婦で会社員であれば、どちらかが失業しても、最低限もう一方の収入でやりくりできるはずです。
大切なことは夫婦で働いていても過度に生活を広げないことと、それぞれが収入アップを目指し、余力を大きくしておくことです。状況が許すのであれば、パートより正社員を目指し、時間を売る仕事よりも、スキルを蓄えられる仕事を考えていきましょう。
3.貯蓄を蓄えておく
夫婦で確実に収入を確保して、どちらかの給与で生活し、残りは貯蓄しておけば、万一のことがあっても安心です。上述した表の、どのような働き方の組み合わせであっても、夫婦で働いて少しでも貯蓄額を増やしておけば、社会の変化に対応する時間の余裕が生まれます。
まずは、ローンも考慮した1年間程度生活できるだけの貯蓄を目指しましょう。子供の進学が迫っている場合は、それに加えて入学金等の教育費の準備は必要です。会社員であれば、たとえ会社が倒産しても、預貯金に加えて失業保険が支給されるはずです。生活を立て直すための期間として、1年間しのげるようにしておきましょう。
このように、2馬力で働けば、それだけで貯蓄は増えるはずですし、どちらかが失職しても家計の破綻が防げます。夫婦で協力し、時代の変化に対応できるよう備えておきましょう。
夫婦でよく話し合おう
家で仕事があたりまえの"テレワーク時代"になりつつあるいま、どう夫婦が連携するかは、家庭を安定させ人生の幸福度をあげるために重要となってきます。
何が起こるか分からない世の中だからこそ、どちらか一方に頼るのではなく、バランスよく行える夫婦の働き方について話し合いましょう。できれば、災害や感染病の流行、不況などの際に同じ被害を受けないような職種であることが望ましいと思います。
形はどうあれ、夫婦で働く優位性を存分に生かして、協力して時代の変化に対する力を蓄えることが、これからのコロナ禍で生じたテレワーク時代を乗り切る最大の保険です。