東急は21日、観光列車「THE ROYAL EXPRESS ~HOKKAIDO CRUISE TRAIN~」で使用する車両を北海道へ輸送開始するにあたり、JR伊東駅で報道公開を実施した。装飾を施した電源車の公開は今回が初とのこと。
「THE ROYAL EXPRESS ~HOKKAIDO CRUISE TRAIN~」は、JR北海道と東急、JR東日本、JR貨物の4社が連携し、北海道の観光振興と地域活性化を目的に立ち上げたプロジェクトの一環で運行される観光列車。8両編成の「THE ROYAL EXPRESS」(伊豆急行2100系)のうち、1・4・5・6・8号車の5両と、列車内サービス用電力を供給する電源車、列車の動力となるディーゼル機関車(重連)の編成で、札幌駅から「帯広・十勝」「釧路・知床」「オホーツク・北見」「旭川・美瑛・富良野」の4エリアを巡る3泊4日のプランで運行を予定している。
ディーゼル機関車(JR北海道所有)・電源車(東急電鉄所有)ともに「THE ROYAL EXPRESS」を手がけた水戸岡鋭治氏による装飾が行われ、ディーゼル機関車のメインカラーは「橙・オレンジ」、電源車のメインカラーは「『THE ROYAL EXPRESS』のロイヤルブルーとオレンジを粋につなぐ色」として、「白・ホワイト」を採用した。
伊東駅では、「THE ROYAL EXPRESS」5両と連結した状態で電源車が公開された。もともとJR東日本が所有していた車両で、「リゾートエクスプレスゆう」と一体感のあるカラーリングだったこともあり、鉄道ファンを中心に「ゆうマニ」と呼ばれていたという。東急電鉄に譲渡された後、外観が大幅にリニューアルされ、白い車体に「THE ROYAL EXPRESS」と共通するロゴを各所に配置したデザインに。「マニ50 2186」の番号も車体に記された。「THE ROYAL EXPRESS」の先頭車は1・8号車ともに連結器カバーを外されていた。
車両の回送運搬はJR貨物が担当。電源車と「THE ROYAL EXPRESS」5両は電気機関車EF65形2127号機に牽引され、4時39分頃、伊東駅を出発した。その後は伊東線から東海道本線に入り、6時すぎに横浜市内を通過。数日かけてJR北海道の車両基地へ輸送される予定となっている。
報道公開で取材に応じた東急の「THE ROYAL EXPRESS」担当、片桐淳也氏(交通インフラ事業部 事業運営グループ)は、出発後の感想を聞かれ、「ついにこの日が来たかと、こみ上げるものがありました」「本番に向けてJR北海道と手を携え合い、列車を安全に運行できるよう取り組みたいと思います」とコメント。初公開となった電源車に関する説明もあり、外観デザインを大幅にリニューアルする一方、「基本的な機能はJR東日本からお譲りいただいた当初のまま。小規模なメンテナンス等はありましたが、北海道での運行に十分対応できる性能を有していました」と話した。
車両が北海道に到着した後のスケジュールについて、「営業列車として使える状態に整備した上で、JR北海道の機関車とつなげて走るのは初なので、乗務員や駅の方々と一緒にしっかり訓練していきたい。その後の試運転で列車の性能確認や車内での接客サービスのチェックを行い、万全の状態でお客様を迎えたいと思います」と片桐氏。実際のコースをたどっての試運転も予定しているという。なお、「THE ROYAL EXPRESS」の専用バス「THE ROYAL BUS」も北海道へ移送され、「じょうてつ(東急グループ)に運行をお願いし、道内のクルーズに合わせてバスも駆け巡ります」とのことだった。
「THE ROYAL EXPRESS ~HOKKAIDO CRUISE TRAIN~」は8月28日から運行開始。当初、2020年は計5回の運行を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向けた準備に時間を要することから、運行回数を3回(8月28~31日、9月4~7日、9月15~18日)に変更している。運行中止となった2回は来年に延期され、これにともない2021年夏は当初の予定より2回増え、計7回の運行予定となった。