Microsoftはサポートページを更新し、個人向けOneDriveからPC上のファイルにアクセスするフェッチ機能を、2020年7月31日で廃止することを明らかにした。フェッチ機能は2012年4月にローンチした旧SkyDriveから実装したもので、自宅PCの電源を入れてネットワーク環境を維持すれば、外出先から自宅PCのファイルにアクセスできる便利な機能だ。
サポートページの更新時期をWayback Machineで調べてみると、米国時間2020年6月28日、同7月7日に変更を加えているが、両者を比較する限り、フェッチ機能に関する変更が加わったのは6月末と見て間違いなさそうだ。
Microsoftはフェッチ機能の廃止理由を明確にしていないが、想像するに利用者が少なかったのだろう。下図に示したのはOneDriveクライアントの設定ダイアログだが、フェッチ機能を有効にする「OneDriveを使ってこのPC上のファイルにアクセスできるようにする」はチェックオフ。「既定のまま使用するユーザーが多い」と仮定すれば、フェッチ機能に気付かないまま使っていたユーザーも少なくなかったのではないだろうか。
ただ、一番の理由はクラウドストレージの台頭だと筆者は想像している。誰もが気軽にクラウドストレージを活用することで、フェッチ機能は万人が必要な機能ではなくなってしまった。フォルダーのバックアップ機能を使って、ドキュメントフォルダーなどをOneDriveフォルダーに移動させれば、同一のファイルがクラウド上に存在するため、自宅PCの電源を入れておく必要はない。直接クラウドストレージにアクセスすれば済む話だ。
蛇足だが、OneDrive for Businessクライアント(バイナリーは同一)の設定ダイアログには、「OneDriveを使ってこのPC上のファイルにアクセスできるようにする」の設定項目は存在しない。当初からこのような設定になっていたのか分からないが、業務PCに外部からアクセスするのは望ましくないという企業利用という観点から、フェッチ機能を実装していないのは至極当然である。
さらにコロナ禍とテレワークの普及を踏まえると、外出先から自宅PCにアクセスする需要は激減するはずだ。フェッチ機能の廃止が新型コロナウイルスの世界的大流行と関係しているかは分からないが、Microsoftの判断は正しいといえるだろう。