JR西日本は19日、和歌山県のテーマパーク「アドベンチャーワールド」と共同で開発した新たなラッピング列車「パンダくろしお『サステナブル Smile トレイン』」の報道公開を実施した。7月23日から特急「くろしお」で運行される。

  • 「パンダくろしお『サステナブル Smile トレイン』」の車体前面はジャイアントパンダの親子をイメージしたデザイン

特急「くろしお」の車両287系にラッピングを施した「パンダくろしお」は現在、「パンダくろしお『Smile アドベンチャートレイン』」2編成が活躍しており、今後は新編成を加えた3編成での運行となる。

新たに登場した「パンダくろしお『サステナブル Smile トレイン』」も、6両編成の287系1編成を使用。「SDGs(持続可能な開発目標) たったひとつの地球 人、動物、自然が共存する世界」をコンセプトに、「人々が出会い、笑顔が生まれ、多様性と持続性あふれる安全・安心で豊かな未来に貢献したい」との思いを表現した。

車体前面は「サステナブル Smile」を次世代へ贈り次ぐ象徴として、ジャイアントパンダの親子をイメージしたかわいらしいデザインに。車体側面は「SDGs」のゴール(目標)17項目の中から、「すべての人に健康と福祉を」(1号車)、「ジェンダー平等を実現しよう」(2号車)、「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」(3号車)、「人や国の不平等をなくそう」(4号車)、「海の豊かさを守ろう」(5号車)、「陸の豊かさも守ろう」(6号車)の6項目をテーマに、人、動物、自然が豊かに暮らす世界をデザインした。

  • 「パンダくろしお『サステナブル Smile トレイン』」の車体側面。号車ごとにデザインが異なり、それぞれテーマに合わせたカラーを採用している

各号車ともテーマに合わせたカラーを採用するとともに、窓下の帯をリボンに見立て、「世界をつなぐパートナーシップ」「世代をつなぐバトン」を表現。車内の客室扉も外観と同様のデザインで装飾し、普通車の各座席にジャイアントパンダの親子をイメージしたオリジナル座席ヘッドカバーを取り付けた(1号車のグリーン席、5号車の女性専用席は装飾なし)。

報道公開で取材に応じたJR西日本和歌山営業部長、上段貴司氏は「パンダくろしお」について、「2017年8月の運行開始以来、多くのお客様にご乗車いただいています。旅行会社が販売する『パンダくろしお』を貸し切った旅行商品も、過去すべての商品で完売となっており、販売実績を見てもご好評いただいていると思います」と話す。沿線の人々からも人気のようで、「停車駅に親子で来て、『パンダくろしお』の乗務員やお客様に手を振ったり、車両を写真に撮ったりする姿も見られます」とのコメントも。SNS等で話題になることもあり、「パンダくろしお」が「アドベンチャーワールド」のPRに役立っているという。

「パンダくろしお『サステナブル Smile トレイン』」などの車両で実施している新型コロナウイルス感染症対策についての説明もあり、「お客様が直接触れる部分を中心に、定期的に消毒し、換気装置で車内の空気をすべて入れ替えられるようになっています。抗菌・抗ウイルス加工の処理も行い、ウイルスを不活性化できるような車内環境に努めています」(上段氏)とのことだった。

  • 普通車の各座席にジャイアントパンダの親子をイメージしたオリジナル座席ヘッドカバーを取り付けた。客室扉も装飾されている

特急「くろしお」は現在、白浜方面の「くろしお3・25号」、新大阪方面の「くろしお6・26号」が「パンダくろしお」編成で毎日運転され、7月23日はこれら4本とも「パンダくろしお『サステナブル Smile トレイン』」となる予定。新編成での初運行となる7月23日の「くろしお3号」では、新大阪駅・天王寺駅発車時と白浜駅到着時、駅係員による見送り・出迎えを予定している。新編成を含む「パンダくろしお」3編成の運行予定は今後、Twitter等で運行前日に案内される。

「パンダくろしお『サステナブル Smile トレイン』」の運行期間は2023年冬頃まで(予定)。先に登場した「パンダくろしお『Smile アドベンチャートレイン』」2編成も運行期間が延長され、2017年8月から運行されている編成は2023年冬頃まで、2019年12月から運行されている編成は2022年冬頃までの予定となっている。

  • 「パンダくろしお『サステナブル Smile トレイン』」の車内・外観