エクスペディアはこのほど、毎年恒例である有給休暇の国際比較調査を実施し、その設問から見えた「日本人の休暇の取り方」を紹介している。

同調査は2019年10月22日〜11月15日、日本、アメリカ、カナダ、メキシコ、ブラジル、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、香港、インド、マレーシア、シンガポール、韓国、タイ、台湾の19カ国の計1万1,217名を対象に、Northstarによるインターネットリサーチにて実施した。

  • 日本の有給休暇取得日数は10日、取得率は50%で、ともに世界19カ国の中で最下位に

2019年の世界各国の有給取得状況を調査したところ、今回も日本の有給休暇取得日数は10日、取得率は昨年と変わらず50%で、ともに世界19カ国の中では最も低い数値という結果になった。特に有休取得率は、下から2位となったマレーシアとオーストラリアの70%から大きく開き、世界各国と比べて日本の有休取得率は未だ低いことがわかる。

  • 有給休暇取得率は、昨年と変わらず50%

日本では、2019年4月1日から年5日の有給休暇の取得が義務付けられたが、今回の調査期間は2019年10月下旬〜11月中旬になる。義務化の開始日は2019年4月以降、各社の有給休暇付与日によって異なるため、今回はまだ大きく反映されておらず、影響が見られるのは次回以降の調査になると考えられる。

ただし2020年は、仕事をしたくても休業せざるを得ない人もいれば、会社から休暇取得を推奨されるも自宅から出られない人もいたりと、今までとは状況も大きく異なっている。同社では、有給休暇の傾向にも影響があるかもしれない、分析している。

日本人が休みを取らない理由として、最も多かった回答が「緊急時のために取っておく」だった。世界各国では支給されることが多い傷病休暇だが、日本ではあまり一般的ではないことが影響しているのかもしれない。

  • 日本人が休みを取らない理由1位は「緊急時のために取っておく」ため

続いて「人手不足」「仕事をする気がないと思われたくない」が2位、3位に続いた。有給休暇を取得する上でも職場の空気を読む日本人の様子がうかがえる。

上司が有給休暇を取得することに協力的であるかを聞いたところ、「協力的」と回答した日本人は53%と、世界で最も低い割合となった。2018年の調査(43%)と比較して10%上昇していることから、有給休暇取得の義務化に伴い職場の協力体制も少しずつ整えられている傾向にあるのかもしれないが、世界的にみると、未だに意識の違いがあることは明らかだ。

  • 「上司が有休の取得に協力的」と回答した割合は"世界最下位"

「休み不足」を感じているかについて聞いたところ、 50歳以上のシニア世代や35歳以上から49歳までのミドル世代において「休み不足」を感じている人は約5割であるなか、18歳から34歳のヤング世代は約7割にも上った。若い人が上の世代の人たちよりも、休みを求めている傾向が浮き彫りになっている。

  • 35歳以上と大きな感覚の差が! 日本のヤング世代の約7割が「休み不足」と回答

休暇が仕事に与える影響について聞いたところ、18歳から34歳のヤング世代は「より前向きな姿勢になれる」(60%)、「仕事に対するモチベーションが上がる」(62%)と回答。35歳以上の人たちと比べて、「休暇は仕事に良い影響を与える」と考えている人が多いことがわかった。

  • 休暇と仕事に対する考え方、若者とシニアとで大きな差が

また、ヤング世代は上の世代に比べて、「より多くの休暇をもらえるなら仕事を変えてもよい」と考えている人の割合も高い結果となり、若い人たちはワークライフにおいて、休暇の取得を重視しているようだ。

さらに、先ほどの有休取得率の結果を世代別にみると、ヤング世代の有休取得率は75%と全体の取得率より高く、昨年の結果(50%)よりも高くなっていた。昨年施行された有給休暇の義務化は、若い人たちの休暇取得をサポートしているのかもしれない。

  • ヤング世代の有休取得率は75%と全体の取得率より高い

同社ではこのほか、日本人が世界で一番「短い休暇を複数回」取得する割合が高いという調査結果から、「ステイケーション」という新しい旅のスタイルを推奨している。「ステイケーション」は、滞在を意味する「Stay」と休暇を意味する「Vacation」を組み合わせた造語で、遠出をするのではなく自宅近郊の宿泊施設に滞在(Stay)して、気軽に楽しむ休暇(Vacation)のこと。

  • 日本人が世界で一番「短い休暇を複数回」取得する割合が高い

海外では広く知られているものの、2019年3月に同社が実施した10年以内に旅行をしたことがある20代〜50代の男女計400名を対象とした調査では知名度は10%未満、意味を説明したうえで実際に行ったことがある人は16%という結果で、日本ではまだ浸透していない。

自粛制限が緩和されつつも感染に注意した行動が求められ、withコロナに合った旅行スタイルを求める人も多い。「ステイケーション」は、車や電車で1〜2時間程度以内の場所で宿泊するため、移動が少なく、かつ、渡航費を抑えることができる。その移動に伴う費用の分をいつもより贅沢なホテルを利用することで、近くでも旅行気分を味わいリフレッシュをすることが可能となる。