海外のWindows系ニュースサイト「Windows Latest」が興味深い記事を公開した。Microsoftが米国時間2020年7月1日にリリースしたWindows 10 ビルド20161では、「設定」の「システム/バージョン情報」を「システム/詳細情報」に置き換え、コントロールパネルの「システム」を呼び出す「システム情報」を取り除いた点を指摘している。
上図とWindows 10 バージョン2004と比較すると分かるが、「コピー」ボタンを追加し、デバイスやWindows 10の情報をクリップボードに取り込む機能も加わった。以前の「システム情報」は関連設定セクションで列挙していたが、改めて確認したところ「BitLockerの設定」に加えて「デバイスマネージャー」「リモートデスクトップ」「システムの保護」「システムの詳細設定」「このPCの名前を変更(詳細設定)」を追加している。筆者は複数のPCでWindows 10 Insider Previewを実行しているが、この変更が確認できたのは1台のみ。どうやらA/Bテストを実施しているようだ。
Microsoftが公式ブログで「コントロールパネルから『設定』に機能を追加する作業を継続している」と説明しているように、Windows 10リリース当初から、コントロールパネルから「設定」への機能移行に着手してきた。Microsoftは数年をかけて段階的に移行すると説明していたが、Windows 10が登場して早5年。少々時間がかかりすぎとも感じる。ただ、コントロールパネルは初期のWindowsから実装してきたことを踏まえると、しかたないのかもしれない。
Windows 10 ビルド20161はDevチャネルでリリースしているため、21H1、つまり2021年前半のリリースに向けたプレビュー版だ。今回の変更具合を考えると、2021年もコントロールパネルの一部を使ってWindows 10を設定する場面は続くだろう。
ちなみに、コントロールパネルの各アプレットから設定する項目は多岐にわたり、その情報もレジストリや設定ファイルと各所に散らばっている。レジストリエントリーを一つ取っても、REG_BINARY「ShellState」のようにエクスプローラーの各種設定をビット単位で管理する項目もあれば、アイコンに下線を付与するREG_DWORD「IconUnderline」のようにシンプルに管理するものまで種類はさまざま。
コントロールパネルから「設定」、単純な移行ならさほど難しいとは思わないが、こうした過去の遺産を整理して「設定」に集約するのは、決して簡単ではないだろう。
とはいえ、エンドユーザーから見れば、Windows 10の設定項目が散らばっている現状はいただけない。以前、別記事でWindows 10におけるゲームコントローラーの設定方法を紹介したが、筆者はコントロールパネルの「デバイスとプリンター(Device Stage)」の存在を失念し、読者から情報をお寄せいただいた。
Device StageはWindows 7時代の機能で、後方互換性を重視するWindows 10でも利用できる。現在は呼び出すことも減り、とっさに思い浮かばなかった。優先順位が低いようにも思えるコントロールパネル→「設定」の移行は、UXデザインが重視される現代において、Microsoftが注力すべき分野ではないのだろうか。