タレントのファーストサマーウイカが、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。今回読んだのは、大阪の地下街で居酒屋を経営する大家族に密着した『お父さんと13人の子ども』(12・19日放送)だ。
毎週欠かさず見ているという番組からのオファーに、「ここで人生終わるんちゃうか!?」と思ってしまうほどうれしかったというウイカ。その語りに、どんな思いを込めたのか――。
■持っている素材で選んでくれた感動
7男6女の13人の子供がいる澤井さん一家は、大阪駅前の地下街で営む居酒屋に、高校を卒業した8人のきょうだいが働き、まさに“家族経営”を実践。子供たちは空手の大会で活躍するスポーツ一家でもある。
関西では有名だそうで、その存在を知っていたウイカは「テレビでよく取り上げられる他の大家族よりも、イケイケでバイタリティあふれる体育会系という印象があったので、今回もそういう強気な部分が見られるのかと思っていました」という。
だが番組では、音信不通の長男、居酒屋での仕事に迷いを感じる三男、そして忍び寄る新型コロナウイルスの影響なども映し出しており、「澤井家の知らなかった面も見られました。あれだけ子供たちがいて、それぞれの人生があるんだなと感じましたね」と、新たな発見があったようだ。
今回のオファーを受け、喜びが一周して「ここで人生終わるんちゃうか!?」「寿命縮むんじゃないか!?」「運を使い切ってんちゃうんか!?」と逆に悲観的になってしまったそう。
「実力があって、しっかりとした名のある女優さんがやるイメージがあったので、『語り ファーストサマーウイカ』ってあんな多い文字数が画面にガーンって出てくるイメージが想像つかなかったんです。実際に、今日の収録で出てきたら『(画面の)場所取るなあ』って思いましたけど(笑)、ただただうれしかったですね。今回は、『一発かましてやってください』っていうバラエティ要素が求められていないので、私の持っている素材を選んでくれたというところで、すごく感動がありました」
同番組の熱狂的ファンである彼女は、オープニングが始まってナレーターの名前のテロップが出る画面をあえて見ず、誰の語りなのかを当てる「本日のナレーション誰でしょうクイズ」をやるのが、恒例になっているとのこと。
「『これはゆりゆりじゃない? ほらほらやっぱり石田ゆり子さんだ!』『あぁ、今回は分からなかったぁ』って勝手に盛り上がってるんです。だから、ファーストサマーウイカだと気付いてもらえるか楽しみ。ナレーションが気になってサイトで調べてもらったり、Twitterなどで『今日のナレーション誰かわからんが結構いいな』みたいな反応があるとうれしいです。『下手だな』って言われることもあると思います。自覚もしていますが、その上手い・下手の技術を超えて『この家族にウイカのナレーションは合ってたな』って思ってもらえたら」と期待を示した。
■謙虚に収録「ささやかなサポートに」
ドキュメンタリー番組におけるナレーターは“第三者目線”という意識を持っているそうで、語り口は自分の感情を抑え、「できるだけ明瞭にその画が説明ができるように」と臨んだが、「画面の向こう側で感情があふれ出ていたりとか、危機的状況の場面は、そこに引っ張られることもありました」と反省。
一方で、自然な感情で読むことができ、会心の手応えを感じる部分もいくつかあったようで、「後半で状況が目まぐるしく変化していく中でも、澤井家の人たち、観る側の感情にシーンごと寄り添える瞬間があったかなと思います」と自信をうかがわせた。
ただ、「普段のイメージやキャラクターの上で今回のナレーションに期待してくださる方もいるかもしれませんが、『ザ・ノンフィクション』のいちファンとして、この家族がどういう気持ちで生きているのかというのを伝える、ささやかなサポートになれたらという一心です」と謙虚な姿勢。
「あの家族って、すごい体育会系の部活みたいなんです。お父さんが監督で、子供たちが部員。公園でお父さんの話を聞いているシーンは野球部みたい。それぞれの心の中には弱い部分があるかもしれないけど、組織としてはすごく屈強な集団でみんなプラス思考だから、これからどんな困難も乗り越えていける家族だと思います。“一枚岩”っていうキーワードが出てきますけど、本当に鉄壁の絆なんだなと。家族が“仲間”でもあるのが、うらやましくもありました」
その上で、「やっぱり今回の内容を見ると、この家族に会いに行きたくなりますよね。冒頭から風呂桶でハイボール飲んでたり、かなりツカミがある。関東の人とかは引いちゃうかもしれないですけど(笑)、全部通して見ると、店に行って澤井さん一家に会いに行きたくなると思います。今すぐは厳しいかもしれませんが、行けるようになったら、お礼と応援に私もお邪魔したいですね」と思いを巡らせていた。
●ファーストサマーウイカ
1990年生まれ、大阪府出身。13年アイドルグループ・BiSに加入し、メジャーデビュー。14年にBiSが解散し、15年BILLIE IDLEを結成。ライブを中心に活動し、19年12月に解散。最近は関西弁の切れ味鋭いトークを武器に、『ワイドナショー』『ダウンタウンなう』『今夜くらべてみました』といったバラエティや、ラジオ『ファーストサマーウイカのオールナイトニッポン0』、さらに『凪のお暇』でドラマにも出演するなど、様々な場で活躍する。2020上半期ブレイクタレント(ニホンモニター調べ)にもランクイン。