2017年に「乃が美」が上陸したのを皮切りに、札幌ではこの2~3年で全国の高級食パン店が続々とオープンしている。

7月4日には、ベーカリープロデューサーの岸本拓也氏が手掛ける高級食パン特化型ベーカリー「僕のパン屋 純情セレナーデ」が白石区の東札幌に誕生。オープン前に見学する機会があったので行ってみた。

  • 目を引く個性的な外観

ベーカリープロデューサーの岸本拓也氏が関わる

横浜の「トツゼンベーカーズキッチン」のオーナーを務めながら、「考えた人すごいわ」「午後の食パン これ半端ないって!」といったユニークな店名とコンセプトの高級食パン専門店やベーカリーを全国に広げている岸本氏。

同店は麻生の「でぶぱん」、桑園の「乃木坂な妻たち」に続く札幌市内3店舗目のプロデュース店で、札幌市営地下鉄東西線「東札幌駅」の1番出口を出てすぐ、南郷通に面したマンションの一角にある。

  • オーナーの門脇圭祐氏(左)とプロデューサーの岸本拓也氏(右)

ものづくりを通して北海道に貢献したい

オーナーの門脇圭祐氏は約20年間、北海道庁に勤めてきた経歴を持つ元道庁職員。

パンづくりの経験はなかったが、「人生80年と考えると残り半分の40年は、元々興味のあったものづくりの仕事をしたかった」と言い、3年前に岸本さんの存在を知り、実際に会って話していく中でパン屋を開業する覚悟を決めたと振り返る。

  • 北海道庁では農業関連の業務に携わっていた門脇氏

公務員からパン職人へ。「畑違いですが、新しい分野でも北海道、地域に貢献していきたい」と意気込む門脇氏。生まれ育った北海道を大切に想う気持ちは変わらず、その愛を今度はパン職人としてつないでいく。

プロデューサーの岸本氏は、そんな門脇氏のまっすぐで素直な人柄と、地域に秘めた愛を届けたいという想いから、「純情セレナーデ」というユニークな店名が生まれたと語る。

ジャージー乳を使ったふんわり濃厚な食パン

同店は高級食パン特化型ベーカリーとして、メイン商品に2種類の食パンを用意している。プレーンな「僕の食パン」(2斤サイズ800円)は、国内での飼育が1%未満といわれる希少性の高いジャージー牛の牛乳と生クリームを使用。ふんわりとくちどけの良い生地と、濃厚でコクのある味わいを生み出している。

耳までやわらかい食パンは、そのままで十分おいしく、ハチミツやジャムとの相性も抜群。北海道産のバターを使っているのでトーストにするのもお勧めで、焼くことでより一層の香ばしさを楽しむことができる。

  • 2斤サイズなので家族でたっぷり味わえる

一方、「夕焼け果実」(2斤サイズ980円)は、同じ生地にシャンパンに一晩漬け込んだレーズンを練り込んだ食パン。シャンパンの芳醇な香りをまとったレーズンが入っているだけで、まったく違う味わいの食パンになっていて、「僕の食パン」が食事パンであるならば、こちらはデザートやおやつとしても使える果実味あふれる食パンとなっている。

  • 毎日、店内で焼きたてを製造・販売

地域の人たちに愛されるパン屋を目指す

岸本氏は今回の店舗のコンセプトを「駄菓子屋」と表現し、「パン屋は駄菓子屋の延長線上にあるものだと思っています。映画『ALWAYS 三丁目の夕日』ではないですが、門脇くんの人柄と彼のつくるパンが地域の人たちに笑顔を与え、かつての下町の駄菓子屋のように老若男女から愛され、親しまれるような場所に育っていってほしい」と期待する。

  • ワンコインで買える「塩パン」(100円)

そのため、同店は高級食パンだけでなく、小学生がお小遣いで気軽に買えるよう「塩パン」(100円)、「あんぱん」(150円)、「メロンパン」(160円)なども販売している。

どれもリーズナブルな金額ながら食パン同様に味わいが濃く、特に塩パンはかみしめると口の中に甘さがジュワッと広がっていくので、ぜひ一度体験してみてほしい。

  • "駄菓子屋なお店"をイメージした絵が描かれたオリジナルの紙袋

地下鉄駅からすぐという好立地にあることから、開業後は通勤時の会社員の利用も想定される。門脇氏は「慣れてきたら仕事帰りに買いやすいよう、明太フランスなどお酒と一緒に楽しめるパンも考えていきたい」とパンを通して地域を盛り上げていけるよう、今後もさまざまなビジョンを描いている。

●Information
「僕のパン屋 純情セレナーデ」
北海道札幌市白石区東札幌3条2丁目1-57 東札幌ハイツ1階
営業時間:10~18時(パンがなくなり次第終了)
不定休

※価格はすべて税別