キヤノンは7月9日、フルサイズミラーレス「EOS R」シリーズ用の望遠ズームレンズ「RF100-500mm F4.5-7.1 L IS STM」を発表した。一眼レフでも売れ筋の望遠ズームレンズ「EF100-400mm」と比べて望遠側を100mm広げながら、レンズの小型軽量化を図った。描写性能もズーム全域で高めた。ミラーレスのメリットを生かして性能や携帯性を高め、一眼レフからミラーレスへの移行を促す起爆剤とする。
希望小売価格は税別335,000円で、発売は9月下旬の予定。
RF100-500mm F4.5-7.1 L IS STMのおもな特徴は以下の通り。
- 一眼レフ用のEF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMよりも同等かそれ以上の高画質設計
- 同時発表した2種類のエクステンダーに対応
- 2つのナノUSMの搭載でオートフォーカスを高速化
- 5段分のレンズ内手ぶれ補正機構を内蔵
- EF100-400mmよりも約200gの軽量化
- 沈胴式ズーム構造としながら、空気は通すが水やホコリを通しにくい素材を用いて防塵防滴性能を確保
すでに開発発表を済ませていた望遠ズームレンズ。一眼レフ用のEF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMよりも望遠側を100mm拡大しながら、望遠側の明るさをF7.1まで落とすことで、小型軽量を維持した。デュアルピクセルCMOS AFに対応するEOS Rシリーズは、暗いF値でもピントがスムーズに合ううえ、撮像素子や画像処理エンジンの性能向上である程度感度が上がってもノイズの少ない仕上がりにできることを踏まえ、F値を暗くしてでも望遠側の焦点距離を伸ばして使い勝手を重視した。
ズームは沈胴式で、望遠側にズームするほど前玉がせり出してくる。沈胴式ズーム機構の採用で、望遠側を500mmまで拡大しながら、レンズの長さをEF100-400mm比で14mmほどの増加に抑えた。沈胴式ズームはズーム操作時に水やホコリが入りやすい欠点があるが、本レンズは空気は通すが水やホコリを通しにくい素材を用いて防塵防滴性能を確保した。
キヤノンの調査では、EOS Rユーザーが持っているEFレンズのなかで所有率がもっとも高かったのが、EFマウントの望遠ズームレンズ「EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM」だったという。ズームレンジや描写性能を高めたRF100-500mm F4.5-7.1 L IS STMの登場で、買い替えが一気に進む可能性がある。
おもなスペックは以下の通り。レンズフードは標準で付属する(外装色はホワイト)。
RF100-500mm F4.5-7.1 L IS STM
- 最短撮影距離:0.9m(100mm時)、1.2m(500mm時)
- 最大撮影倍率:0.12倍(100mm時)、0.33倍(500mm時)
- レンズ構成:14群20枚
- フィルター径:77mm
- 絞り羽根:9枚(円形絞り)
- 手ぶれ補正機構:6段分相当
- 最小全長:約207.6mm
- 最大径:約93.8mm
- 重量:約1,370g
2種類のエクステンダーも登場
焦点距離を伸ばすエクステンダーは、1.4倍の「EXTENDER RF1.4x」と2倍の「EXTENDER RF2.0x」を投入する。RF100-500mm F4.5-7.1 L IS STMに装着した場合は最大1000mm、RF800mm F11 IS STMに装着した場合は1600mmの超望遠撮影が可能になる。希望小売価格は、EXTENDER RF1.4xが税別63,000円、EXTENDER RF2.0xが税別75,000円。
装着可能なレンズは、今回発表したRF100-500mm F4.5-7.1 L IS STM、RF600mm F11 IS STM、RF800mm F11 IS STMの3本。すでに販売中の望遠ズームレンズ「RF70-200mm F2.8 L IS USM」は非対応。
中望遠マクロも登場
サイズと価格を抑えた中望遠マクロレンズ「RF85mm F2 MACRO IS STM」も投入する。ポートレート撮影にも向くレンズ。レンズ内手ぶれ補正機構は5段分相当で、EOS R5/R6と組み合わせれば8段分相当の補正が可能。希望小売価格は税別76,000円で、発売は10月下旬の予定。
RF85mm F2 MACRO IS STM
- 最短撮影距離:0.35m
- 最大撮影倍率:0.5倍
- レンズ構成:11群12枚
- フィルター径:67mm
- 絞り羽根:9枚(円形絞り)
- 手ぶれ補正機構:5段分相当
- 全長:約90.5mm
- 最大径:約78mm
- 重量:約500g