働き方の多様化によってビジネスウェアのカジュアル化が進み、キチッとしたスーツを堅苦しく感じる人も増えました。しかし、「勝負服」としてここぞというときのオーダースーツ、ドレスシャツを用意しておきたい方も多いのではないでしょうか。
とはいうものの、既製品しか着たことがない人にとってオーダーは敷居が高いもの。とくに若いビジネスパーソンはなおさらのことでしょう。またオーダー体験がある方でも、忙しい仕事の合間を縫って店舗を訪れる時間を確保するのは大変です。
そんなオーダースーツの常識を打ち破ったのが、三越伊勢丹が展開する「Hi TAILOR」(ハイ・テーラー)。同ブランドはスマートフォンでの自動採寸を採用することで、オンラインだけでオーダーが完結するシステムを採用しており、実店舗に足を運ぶことなくオーダースーツやオーダーシャツが作れてしまうのです。
本稿ではHi TAILORのオンラインオーダーによって、実際にオーダースーツを注文する様子をご紹介しましょう。
スマホでオーダーが完結する「Hi TAILOR」
Hi TAILORは「TAILORのような確かなモノづくり」「Hi!と挨拶するような軽やかなコミュニケーション」をコンセプトとして、オンラインで完結するオーダースーツ&オーダーシャツを展開しているブランドです。
店舗に赴かずともスマホ用のアプリで精度の高い採寸を行うことができ、自宅にいながら自分にフィットするスーツやシャツを簡単にオーダーできるという大きな特徴があります。基本的なステップは以下の3つです。
- 1:スマホでHi TAILORにアクセスします
- 2:オーダースーツか、オーダーシャツかを選択します
- 3:生地を選択し、パーツをカスタマイズします
- 4:身長・体重を入力し、スマホのカメラを使って自動採寸を行います
- 5:お届け先、お支払い情報を入力し、注文します
- 6:最短3週間ほどで商品が発送されます
1度自動採寸を行えばマイサイズとしてデータが保存されるので、2回目以降は採寸不要。好みのフィット感、サイズ感を指定するだけで注文が可能となります。
厳選したカラーとデザインを用意したカスタマイズ
Hi TAILORのもう1つの特徴は、三越伊勢丹から受け継ぐ商品へのこだわりです。伝統的なブリティッシュスタイルをベースとし、凛としたたたずまいを残しながらも、今の時代に合わせたテーラーリングを行っています。生地は「ネイビー」「グレー」「ブラック」スタンダードなカラーを中心として厳選されたもの。これによって品質を徹底的に追い込んでいるのです。
ラインアップは7月初頭現在、全84生地。35,000円から75,000円まで、計5つの価格帯の製品があります。生地ごとにおすすめのデザインが「Hi TAILOR STANDARD」としてプリセットされているため、オーダースーツの細かなディテールに詳しくない方でもかんたんにセルフオーダーが可能です。
さっそく生地を選んでいきましょう。今回はビジネスシーンでマルチに活用することを考え、「ポリエステル混のストレッチの利いた汎用性のある生地」(※現在は「定番のストレッチの利いたポリエステル混無地の生地」として展開されています)の「チャコールグレー」を選択しました。
ジャケットのカスタマイズ項目には「前身頃」「ベント」「ポケット」「袖」「袖処理」「ボタン」「裏地使用」「裏地種類」「ネーム」「ベスト」「パンツ タック」「パンツ 裾処理」があり、ジャケットと同生地でベストを追加し3ピーススーツとしてオーダーすることもできます。
今回、カスタマイズは「Hi TAILOR STANDARD」のおすすめパーツを参考に、「ボタン」や「裏地種類」、パンツ 裾処理」など一部を変更しました。
なお、生地からは選べないという方のために、目的に合わせた4つのスタイリングから選ぶこともできます。用途が決まっている方はこちらから選べば間違いないでしょう。
- THE BASIC(定番):日常のビジネスシーンをより豊かに
- TRAVELER(トラベラー):出張や外出を楽にするジェットセッターデザイン
- SENCE(個性):スーツが主役になれるデザイン
- CEREMONY(冠婚葬祭):結婚式やお祝いの席などフォーマルなシーンに
スマホを使った自動採寸のやり方
生地とデザイン、カスタマイズを選んだら、続いてスマホを利用した自動採寸を行います。始めに身長と体重を入力し、撮影の準備に入ります。ポイントは撮影時の服装と撮影場所、撮影の仕方です。
前と横から首、手首、足首が見える服を着用して、シャツの裾はズボンに入れます。背景と同系色の服は避けましょう。またなるべく明るいところで、モノが映りこまず逆光にならない場所を選択しましょう。カメラは地面に対し垂直にし、カメラに全身が収まる距離を取ります。撮影は正面撮影、側面撮影の計2回です。
これでサイズ測定は完了です。表示された測定結果を確認し、問題なければ次へ、数値がおかしければ再撮影を行います。
フィット感を微調整
最後にフィット感を調整します。ジャケットのフィットは「きつめ」「普通」「ゆるめ」の3つから選ぶことができ、さらに「着丈」と「裄丈」の調整が行えます。パンツのフィットは「スリム」「レギュラー」の2つで、さらに「ウエスト」と「股下」の調整が行えます。
ここまで完了したら、あとは注文するだけ。約3週間後の発送を待ちましょう。
オーダースーツが到着!
3週間後、待望のオーダースーツが到着しました。オンラインオーダーですので、チェックは念入りに行いたいところ。出来上がったスーツは、到着後10日以内にお問合せフォームから連絡すればお直しを依頼できます。こちらもすべてオンラインで手続きが可能となっており、5mm単位で調整が可能です。
まずはオーダーを確認していきましょう。選択した生地は「ポリエステル混のストレッチの利いた汎用性のある生地」のチャコールグレーです。「Hi TAILOR STANDARD」から一部をカスタマイズし、次のような内容でオーダーしました。
- 前身頃:2つボタンノッチドラペル
- ベント:サイドベンツ
- ポケット:ノーマル
- 袖:4つボタン重ね
- 袖処理:開き見せ
- ボタン:本水牛 ブラウン
- 裏地使用:背抜き
- 裏地種類:キュプラ ブラウン
- ネーム:なし
- ベスト:なし
- パンツ タック:ノータック
- パンツ 裾処理:シングル
袖を通すと、オンラインオーダーながらも、吊るしのスーツとは一線を画すフィット感を確認できます。背中のきれいなシルエットはオーダースーツならでは。腕周りが窮屈にならず、しゃがんでも苦にならないのはオーダーだけでなく、ストレッチ素材の生地の特徴でもあるかもしれません。
一度も店員による採寸を行わずともこれだけのスーツをオーダーできてしまいました。採寸から人の手で行うオーダースーツと比べると細かな部分で完全ではないかもしれませんが、オンラインでこれだけのスーツを購入できるのは驚きました。もしサイズが合わなくともすぐにお直し対応を行ってくれるそうですので、まずは一度体験してみてほしいサービスです。
今回は、「Hi TAILOR」でスマホを使ってベーシックに使えるツーピーススーツをオーダーする流れをご紹介しました。
新型コロナウイルス流行の影響で、「3密」を避けるよう求められている昨今。店舗に行かずともオンラインだけで品質の高いスーツやシャツをオーダーできる「Hi TAILOR」のような仕組みは、今後ますます増えていくかもしれません。先鞭をつけた「Hi TAILOR」は、これからどんな展開を行っていくのでしょうか、興味が尽きません。