タレント・杉原杏璃さんの著書『不動産投資は自分らしく生きる道具』(祥伝社)が、7月1日に発売された。コロナ禍で生活不安が高まっている昨今だが、本書は"株タレント"としても知られる杉原さんが、自身の体験を基に不動産投資のエッセンスを伝授する一冊となっている。そこで今回は杉原さんに不動産投資の特徴や、20代など若い世代に向けての投資アドバイスなどをうかがった。

  • 元グラビアクイーンで"株タレント"として活躍する杉原杏璃さん(写真:マイナビニュース)

    元グラビアクイーンで"株タレント"として活躍する杉原杏璃さん

不動産投資のハードルは意外と低い?

昨年、株式投資入門本『株は夢をかなえる道具』(祥伝社)を上梓し、投資関連イベントなどに出演することも多い杉原さん。近年はそうしたセミナーなどに参加する働く女性も徐々に増えているようで、本書では投資初心者に向けて、不動産投資の仕組みなどをいちから解説する。

杉原さんは2年ほど前に、大阪で築12年(当時)1Kの投資物件を1,400万円で購入。表面利回り5.53%の"区分マンション投資"で家賃収入を得ている。

「不動産投資の特徴は株などに比べて圧倒的に変動が少なく、安定して資産を少しずつ積み上げていけること。特に単身者向けの住戸は景気に左右されにくく、初心者にもおすすめしやすい投資のひとつになると思います。

管理会社にメンテナンスなどを任せれば自分の仕事はほとんどないので、本業が忙しい現役世代でも大丈夫。むしろ若い人のほうがローンも組みやすく、ローンを組む際に団体信用生命保険(団信)に加入できるという特典もあります。この団信とは、ローンの返済期間中にローン契約者が死亡したり、高度障害状態に陥ってしまった場合、残りのローンを保険金により返済する住宅ローン専用の保証制度です」

不動産投資は株などに比べて、立地や築年数など、自分が「住みたい」と思える賃貸の物件探しに近い感覚でできる部分もあるため、より生活に身近に投資を感じられる人も多いだろう。

とはいえ、不動産投資は投資用ローンの審査や頭金などの初期投資が大きなハードル。雇用形態なども与信に影響するため、当然、人によっては制限がかかることになる。

「不動産投資は大きい買い物なので、すぐ諦めてしまう人も多いかもしれませんが、不動産会社では自分の収入に見合った物件を紹介してくれます。マンションをアパートにしたり、築年数を落としたり、中古物件を安く買って自分でリノベーションして人に貸すという方法もあるんです。

私も可能なら東京の新築が良かったんですが、身の丈に合わせて選んだのが大阪の物件でした。広島出身で、学生時代はよく大阪に買い物をしに行っていたので、土地勘もあり、最悪、空室になっても自分や家族・親戚がホテル替わりに使えるというのが理由ですね」

最近はひと月1万円から運用できる不動産投資のクラウドファンディングなども人気らしく、家賃収入を得る不動産投資と一括りに言ってもやり方は色々あるようだ。

最初の一歩を踏み出すのが一番難しい

  • 投資について「まずは一歩を踏み出してほしい」

「コロナの影響で芸能界もこの2~3ヶ月は厳しい状態でしたし、株も今は持ち直してはいますが、元通りにはなっていない銘柄も多い。そんな中でも不動産だけは毎月家賃収入があります。コロナに限らず事故や病気で本業が立ち行かないときも、長期的に安定して持てる資産がひとつあると、かなり安心感が違うなと思いました」

今後、杉原さんはエリアや住人の層が異なる物件を複数所有し、不動産投資につきものの空室リスクや地震・水害といった災害リスクを分散させていくつもりだという。

「40歳くらいまでに東京と京都にもそれぞれ部屋を持ちたいです。いま持っている物件を担保に、自分の資金を取り崩すことなく2軒目、3軒目を買う方向で考えていて、学生や若者に人気のエリアがいいなと。東京だと価格が高いので買えるかわかりませんが、最初に私が上京した時に住んでいた三軒茶屋とか……」

不動産投資では過去に自分が住んだことのある街など土地勘も大きな強みになる。さらに、好条件の穴場物件を見つけるためには、実際に物件情報を取り扱う不動産会社も重要な要素だ。本の中では「節税効果を前面に謳う会社」「空室などのリスク要素をシミュレーションに入れていない会社」など、不動産会社を選ぶ際に気をつけるべきポイントを専門家が紹介している。

「不動産会社の選び方は友達づくりと同じで相性もあります。株と違って間に専門の会社が入るのが不動産投資なので、不動産会社選びがすべてと言っても過言ではないかもしれません。特に投資用不動産はネットでも情報が少ないので、まずは飛び込んで前向きに相談するところから始めてみてほしいです。

株も口座開設が一番エネルギーがいるんですが、最初の一歩を踏み出してしまえば、案外前に進めるもの。不動産投資も不動産会社の門を叩くまでが、色々と考えてしまってなかなか腰が重かったりすると思うんですが、話を聞いてみるのはタダなので、興味のある人は是非その一歩を踏み出してみてもらいたいですね」

投資はいつから始めるべきか

最近ではオンラインで簡単にできる投資も増え、投資は私たちの身近にあるのの、いつから始めるべきなのかと悩んでいる人は多いだろう。

「投資に年齢は関係ないのでいつからでも始められますが、若いうちからやっておくに越したことはないです。私自身は"習うより慣れろ"という実践型で、やるまではちょっとかじってみようくらいの気持ちなんですが、『自分に合っているかも』と思ったら熱中できるし、やっぱり利益が出ればおもしろくなっていく。『全部勉強してから始めよう』ではいつまでも始められないので、20代は特に"飛び込んでみる"のもいいんじゃないでしょうか」

投資ではさまざまなリスクを想定して決断することが大切だが、「投資をしたい」という気持ちだけで、結局何も実践しないままでは確かにもったいない。

「もちろん本業のお仕事を頑張って、本業の収入を上げていく努力も20代はとても大事だと思います。ただ、不動産投資はプロの管理会社に物件をお任せすれば、少なくとも時間や労力はそれ程かからないので。保険として、"お金にも働いてもらう"イメージで少しずつ資産を増やしていくのが理想的かなと思います」

特に一人暮らしの20代は収入のわりに何かと入り用も多い時期だが、23歳から始めた株式投資でトータル約1億円を稼ぎ、補正下着の会社を自ら起業してビジネスを展開している杉原さんの言葉だけに、多くの若者の参考になりそうだ。

「まだ会社ははじめて5年くらいですが、かつてグラビアのお仕事にかけていたくらい、今はこの事業に比重を置いていて。中国などアジア圏に事業を拡大させて、次の5年で年商5億を目指しています。達成できるかはわかりませんけど、とりあえず明確な目標を立てないと自分のモチベーションも上がらないので(笑)」

『不動産投資は自分らしく生きる道具』では杉原さんの不動産投資での"失敗"や資産管理術なども紹介している。なかなか最初の一歩を踏み出せないという人は、ぜひ手に取ってみてはいかがだろうか。

  • 日常でも使えそうな杉原さんの口癖から、「ナンピン買い」など少しマニアックな株用語までカバーするLINEスタンプも。特に投資関連のLINEグループなどで重宝されているとか

取材協力:杉原杏璃(すぎはら・あんり)

1982年6月12日生まれ、広島県出身。高校生の時に広島でスカウトされ、2001年から芸能活動をスタート。グラビアクイーンとして雑誌やバラエティ番組などに多数出演し、近年では10年前からの株式投資が話題に。株タレントとも呼ばれ、活動の幅を広げている。これまでの投資経験やノウハウ、生き方を綴った『株は夢をかなえる道具 女子のための株式投資入門』(祥伝社)が好評発売中。新刊『不動産投資は自分らしく生きる道具』(祥伝社)は7月1日発売。