シャープから肩に乗せて使う、Bluetooth対応のウェアラブルスピーカー「AN-SS2」が7月18日に発売されます。約88gという軽さの魅力に加え、IPX4相当の生活防水にも対応。活躍のフィールドが広がった「AQUOSサウンドパートナー」入門機の魅力に迫ります。
今回は、AN-SS2の商品企画を担当したシャープの永沼広行氏、スピーカー・音響設計に携わった長田俊彦氏と半澤淳氏に、新製品の開発で気を配ったところなどをビデオインタビューで教えていただきました。
ウェアラブルスピーカーならではのリスニングスタイル
今年の春は新型コロナウイルス感染症の影響を避けるため、主に自宅で過ごしていたという方も多いと思います。普段は一人になれる時間に好きな音楽を聴いたり、テレビや映画などの動画を見てリラックスしていたという方々から、いつもよりも長い時間、近い距離で家族と一緒に過ごすようになって、趣味の時間が持てずに苦労したという声も聞こえてきました。
耳を塞いでしまうヘッドホンやイヤホンは、家族の呼びかけや周りの環境音が聞こえなくなるため、一人のとき以外にはなかなか使いづらいアイテムです。かといってスピーカーで音を鳴らすと環境音に紛れてしまい、家事などをこなしつつ“ながら聴き”を楽しむ用途にはふさわしくありません。リビングなど家族の共有スペースで音楽を聴くとなれば、家族間の趣味の違いもハードルになります。
「AQUOSサウンドパートナー AN-SS2」(オープンプライス、税込17,500円前後)は、耳を塞がず、肩に乗せてワイヤレスで映画や音楽コンテンツのサウンドが楽しめるウェアラブルスピーカーです。スピーカーの音の出口が耳の直下に配置されているため、音がとても聴きやすいところも特徴です。
本体が約88gととても軽いので、肩に乗せて1時間前後過ごしていてもさほど苦になりません。筆者の周りの女性にも試してもらいましたが、重くて辛いという感想はありませんでした。
要望に応えて防滴対応に進化、キッチンでも使える
本機は2018年に発売された「AN-SS1」の後継機種になりますが、進化したポイントのひとつにIPX4相当の防滴対応になったことが挙げられます。商品企画を担当した永沼氏は「防滴対応がAN-SS1のユーザーのほか、AQUOSサウンドパートナーに注目していただいた方々から最も多く寄せられた要望のひとつ」だったと話しています。
設計を担当した長田氏によると、ふつうの箱形のスピーカーと違ってAN-SS2は特殊な形状をしているうえ、ネックバンドの部分がある程度柔軟に曲がるようになっていることから、水滴が内部に侵入しない設計にすることがとても大変だったと振り返っています。
永沼氏によると、前機種のAN-SS1からAQUOSサウンドパートナーを「テレビの音を聴きやすくするためのワイヤレススピーカー」として楽しんでいるユーザーが数多くいるそうです。
筆者もテレビのニュースを見ながらキッチンで片付けものをしたいときに、AQUOSサウンドパートナーをよく使っています。イヤホンで耳を塞ぎたくないし、テレビにペアリングしたワイヤレススピーカーを近くに置いても、水仕事を始めると結局音が聴きづらくなるため、耳元でクッキリとした音を聴かせてくれるAQUOSサウンドパートナーがベストだと感じるからです。これまでは音量をアップダウンするときなど、濡れた手でスピーカーに触れないように神経を尖らせていました。防滴対応のAN-SS2は大歓迎です。
テレビとはBluetoothで接続します。シャープのAQUOSシリーズのテレビは、近年発売されたAndroid対応のスマートテレビならほとんど、Bluetoothオーディオ機器を直接ペアリングできます。念のため、Bluetoothオーディオ接続のためのプロファイルである「A2DP」をテレビがサポートしているか、テレビの仕様を確認しておきましょう。A2DP対応のテレビであれば、シャープのAQUOS以外の製品でも直接ペアリングできます。
A2DPプロファイルを搭載しない旧型のテレビでも、AN-SS2のパッケージに同梱されているBluetooth送信機をテレビの3.5mmアナログ音声出力、または光デジタル音声出力につなげば、ウェアラブルスピーカーで音を聴けます。
Bluetooth送信機はワイヤレスによる音声伝送時も遅延が少ない、クアルコムのaptX Low Latency(aptX LL)コーデックをサポートしており、テレビとAN-SS2をBluetoothで直接ペアリングするよりも、映像と音のタイミングのズレが少なく抑えられます。より快適な動画視聴を楽しむためにはぜひ使いたいアイテムです。
またBluetooth送信機は同時に2台のAN-SS2本体をペアリングして、音声信号を同時にストリーミングすることもできます(編注:2台のAN-SS2本体を同時接続するときはaptX LLには非対応)。大きな音を出せない夜の時間帯でも、リビングにふたりそろってテレビで映画やドラマを楽しむようなシーンにも最適です。
ただし、スピーカー部分の単品販売はしておらず、送信機を含めて2台のAQUOSサウンドパートナーを購入する必要があります。スピーカーの単品販売か、2台のスピーカーを同梱するペアリスニングセットを商品化してほしいものです。