温暖化の影響で台風が大型化し、例年、豪雨や洪水による死傷者、避難者が絶えない現代。あなたもいつ被害の当事者になるかはわからない。いざという時に役立つ知恵や行動のヒントを公開しているのが「そのとき、ジブンを守る、48のワザ 自衛隊 OFFICIAL LIFE HACK CHANNEL」。企画した危機管理のプロ、陸上自衛隊 陸上幕僚監部の橋本政和さんに危機への対処法を聞いてみた。
大雨……浸水するかも ! のケースでどう対処するかを聞く
ゲリラ豪雨などで増水のおそれがあるときは、玄関前に土嚢を積んだりするケースがあるはずだ。実はこの土嚢の積み方1つにもコツがあるらしい。
「水位が上がってきた……」。土嚢ってどう積むの?
台風や大雨がやってくる時季、町内会で水害に備えることもありますね。水害が発生しやすい地域では、慌てないよう土嚢の積み方を練習しておくといいでしょう。土嚢はホームセンターなどで入手できます。これに6~7分目、土を詰めます。土はデコボコにならない、さらさらした砂土がいいです。
詰めたら、土羽打ちや角材などで叩いて台形に整えます。大事なのは土嚢の積み方。ただ積めばいいのではなく、平行四辺形に固く千鳥に組み合わさるように積むと、水漏れが少なく耐久性も増して、浸水を防ぐことができます。災害派遣時に備え、自衛隊員は土嚢の作り方と組み方を常日頃から訓練しています。
目前に濁流! 水の中でも冷静に行動するために
できれば避けたい状況だが、増水時に逃げ遅れるなどして水の中を目的地に向かうこともないとは言えないだろう。水の中の歩き方やさらにあってはならないが水に流された時のサバイバル術を聞いてみた。
「川の水があふれた……」もし水の中の歩くことになったら?
水の中を歩く場合、履く靴が大事です。自衛隊員はかなり底が厚い防水機能の特殊なブーツを履いて行動します。水の中には、釘だったり、ガラスの破片だったり、さまざまな危険物があり、ケガのリスクを避けなければなりません。また、汚濁した水には感染症のリスクもあります。それらを回避するためには「足を守る」ことを第一とした靴選びが不可欠です。これを履いてなるべく壁などをつたって歩き、杖を利用するなどしてゆっくりと移動します。
「流された!」おぼれないための方法は?
もし、水難事故に遭って流されてしまったら…。最も重要なのはパニックにならず、落ち着いてしっかり力を抜くこと。そうすれば、沈むことなく、自然に体が水面に浮いてきます。このとき、空のペットボトルがあれば、さらに浮きやすくなります。1.5lのペットボトルなら1本、500mlなら2本くらいを目安に、胸とお腹の間に抱え込めば、ある程度の浮力が得られます。
逆に、川などでおぼれている人を見かけたら、ペットボトルを投げて救助します。中に少し水を入れると、遠くまで飛び、狙いも定めやすくなります。ただし、非常時にペットボトルが都合よくあるかどうかはわかりません。ただ、知っておくと役立つ機会がないともいえません。
逃げ遅れて孤立! 上空から見つけてもらう方法
水害時によく自宅や公共施設の屋上などで、助けを求める人の映像が流されることがある。そんなトンデモな事態にも備えあれば憂いなしである。
「屋上に取り残された!」どうやってSOSを送る?
被災地の広域な状況把握、捜索や救助にヘリなどが活躍します。もし、孤立した場合、上空から見つけてもらう方法としては、ミラーなどで太陽光を反射させるのが、一番パイロットが気づきやすく有効です。でも、つねにミラー(手鏡やコンパクトなど)があるとは限りませんね。その場合、スマホやライト、腕時計などの金属物で光を発しても代用できます。
建物から上空のヘリに向かって、屋上や屋根から手や衣類、大きな布を振ると目立ちます。山中で遭難した場合は、まず高いところに登るのが基本。さらに、発煙筒や焚火を三角形に設置して発煙すると、国際救助信号の役割を果たしてくれます。
万事休す! でもパニックにならないための心得を聞く
非日常の中にほうりこまれた場合、誰でもパニック状態に陥りがち。絶望的な状況でも冷静に対処できるようなノウハウを聞いてみた。
「もはやこれまでか……」という状況でもパニックに陥らない心構えとは?
パニックに陥ってしまう一番の原因は、自分がどんな状況に置かれているかわからなくなって不安や恐怖心が募るから。まず大きく息をして一呼吸おき、周りをよく見て、多くの情報を整理することが肝心です。
もし、いっしょにいる方がパニックになった場合は、とにかく落ち着かせ、今現在の状況を客観的に教えてあげることが有効でしょう。例えば、エレベーターの中や狭い個室などに閉じ込められた場合も、冷静になって状況を把握し、救助を待つべきです。叫び続けて体力を消耗するより、音や何かの反応があったら、声や音で存在を知らせるほうが賢明です。