今や世界中で熱狂を生んでいるeスポーツ。いわゆるプロのゲーマーたちが賞金を賭けて勝負することであり、現在では1億円プレイヤーも存在するほど人気のスポーツとなっている。そのeスポーツプレイヤーの超人的なテクニックを観戦出来ることに加え、VJとDJによる映像と音楽がコラボレーションしたパフォーマンスを融合させたイベント「Intel Presents. SFV PLAYING TOKYO vol.0」が6月27日、ライブストリーミング配信サービスのTwitch上で開催された。

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イベントでは、アーケード規格で誕生し、ゲームセンターから空前の大ヒットを記録した『ストリートファイター』シリーズの最新作『ストリートファイターV チャンピオンエディション』で、因縁のエキシビションマッチが実現。

一般社団法人日本eスポーツ連合公認のプレイヤーで、EVO(Evolution Championship Series)などの世界的な大会で実績を残す板橋ザンギエフ選手や、同じく複数の大会で入賞を果たす一面を持ちながらも、平日は社会人としてスクウェア・エニックスに勤務するネモ選手。ヴィジュアル系エアーバンド「ゴールデンボンバー」に所属し、"ガチ勢"との呼び声も高いほどゲーム好きとして知られる歌広場淳らが参戦した。

また同イベントは、新型コロナウイルス感染症拡大防止策としての側面も持ち、オンライン上で実施。歌手・トラックメイカーなどプロデュース方面でも活躍するtofubeatsをゲストに迎えた、okadada&DJWILDPARTYによる「AUDIO TWO」の音楽と、ライゾマティクス(Rhizomatiks)の映像技術による『ストリートファイターV チャンピオンエディション』のキャラクターを使用した「SFV SPECIAL VJ DJ SHOWCASE」の融合によって、eスポーツ、音楽、映像が一度に楽しめる新感覚のイベントとなった。

配信には、自身も格闘ゲーマーとして活動するアール氏と歌広場がMCとして出演。大会ルールは、5試合先取したほうが勝利で、初戦は「EVO2019」でトップ8にまで上りつめたキチパと、2017年より名誉ある大会で入賞するtrashboxことトラボ選手の組み合わせ。「EVO2019」の最終日を賭けた試合では、前評判で圧送だったトラボ選手優勢かと思われたが、キチパ選手が評判を覆し勝利を収めたことから、因縁対決とも揶揄されている。

キチパ選手は「ちょちょっと勝って終わらせたいと思います」と強気な姿勢。対するトラボ選手は「『EVO』の因縁を晴らしてから、新しい風にのって行けるようにしたい」と言葉を留めた。試合は一進一退の攻防を見せるも、キチパ選手がまずは先取。そのまま押し切るかに見えたが、2試合目はトラボ選手が勝ち取った。その後はキチパ選手優勢で進むも、途中トラボ選手が意地を見せてポイントを奪取。しかし奮闘虚しく、結果5対2でキチパ選手が勝利した。

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トラボ選手は試合後「バーディーに対してザンギエフ側がスキル2を使うことはわかっていた。それが出る前まではどうしようと考えていたんですけど、ガード後の距離までは対策不足でした。距離感を掴むのが難しかった」と敗因を分析。続けて「悔しいですね。確定が甘い感じだったので詰めていきたい。ザンギエフへの恨みはネモさんに任せていこうかなと思います」と最後までザンギエフへの恨み言葉を口にし、コメント欄を湧かした。

キチパ選手は「スキル2をガードしてからの選択肢を研究していて、怪しい距離でガードさせると技が届かなかったりで、うまく散らせた」と勝因を説明。さらに「(今までは)ザンギ対バーディーがあまりにもしんどかった。今回スキル2やバーディーの調整が入ってようやく並べたかなと言う実感があります」とコメントした。

イベントではそのほか、数々の大会や配信で接戦を繰り広げ、ライバル関係としてファンから認知される板橋ザンギエフ選手とネモ選手の試合。高知県須崎市マスコットキャラクターながらも、ゆるくないガチなプレイングで魅せるしんじょう君と、歌広場といったエンターテイメント性溢れる好カードが出揃っていた。

さらに今回は特別に、キチパ選手とトラボ選手両名のインタビューも実施。試合中の対策や試験的な開催となった「Intel Presents. SFV PLAYING TOKYO vol.0」の感想についてもお聞きした。

――キチパ選手といえば、プレイヤーキャラクターのザンギエフを操作して、各大会で結果を残している選手です。あえて、ザンギエフの魅力について教えてください。

キチパ まず投げ(必殺技のスクリューパイルドライバー)の威力が破格な事ですね。読みでも立ち回りでも選択肢を通してしまえば、体力も大きく奪えますし状況が良くなります。それに投げを食らってしまった相手は、かなり苦しい状況を背負わせることにも……。

あとは、アビゲイルやバーディーと違って守りがかなり強い。「地上戦でのVスキル」「逆択のスクリュー」(読みあい時の奇襲的な選択肢)「対空時」など、どれも読み勝った時のリターンが高く、ザンギエフに対して守りを崩しにくく感じるはず。そして最も引き付けられる理由は、私にとってザンギエフのファイトスタイルがカッコいい事です。

他のキャラクターが武器や飛び道具である弾を使っているのに対し、ザンギエフは体一つでそんな相手をねじ伏せていくので、最高にクールなんです!

――トラボ選手はバーディー使い。ということでそちらの魅力についてもお願いします。

トラボ 相手の動きに対してどっしり対応できると、それが勝ちにつながるところが魅力です。一人ひとり対戦相手は違うので、その人の動きを見てそれに対する答えを出していくのが楽しいです。あとは攻撃力の高さもいいですね。

――因縁対決ということでしたが、両選手は事前に対策を練っていましたか?

キチパ 基本的にS1~からS3までザンギエフにとって、バーディは非常に厳しい組合わせでした。そのため、長年バーディー対策は研究していました。今シーズンに入ってスキル2が追加され、カプコンの調整によって組み合わせ自体の難易度も変わったのもあり、ようやくその努力が報われたと感じています。

ただ、相手はトラボ選手ですので、以前の対戦での相手の手癖や動き、彼の試合を何回も見て、最近の動きを対策していました。それが今回の勝利に繋がったと感じています。

トラボ キチパさんの動きを動画などを見て研究してきたので、序盤はそれが活きて試合を運べたと思います。ただ、後半は相手の対応が凄かったので上回られました。

――トラボ選手は、スキル2に対して距離感を掴めなかったことが敗因とのことでした。今後の対策方法はどうしましょう。

トラボ トレーニングモードで繰り返しスキル2と触れ合って微妙な距離感を掴むしかないと思います。それである程度できてきたら、スキル2を使うザンギエフの人と対戦して実践でもできるようにします

――逆にキチパ選手は途中ポイントを取られる場面もありました。しかし試合中に戦法を変えて見事に対策されていましたね。

キチパ 5本先取という通常より長めの対戦ルールだったので、序盤は「自分の対策に対する答え合わせ」のように出方を伺いながら、ずっと彼の動きを観察をしていました。

トラボ選手がザンギエフのVスキル2対策が甘い事を感じたので、対応されるまではVスキルでの防御崩しを率先して。そして以前からトラボ選手が窮地に追い詰められた時の動きも観察していましたので、全般的に「人読みが機能した」と思っております。

――今回のイベントは、ライゾマティクスさんの映像演出とtofubeatsさんをゲストに迎えた「AUDIO TWO」による、音楽と映像の演出も魅力の一つでした。どうでしたか?

キチパ 単なる格闘ゲームイベントとは違って、いわゆるフェスのように見せる事が出来きていたと思います。バックの映像では試合映像が流されつつ、演出の映像も合成する。これだけで、ただただ対戦映像を流すだけでは無い「新しさ」を感じました。

トラボ 見たことがないような、近未来的な演出に感動させられました。バックでさきほど対戦したばかりの僕たちの『ストリートファイターV』の試合映像も流れていてとても不思議な感覚でした。またぜひ見てみたいと思いました。

――今年も期待が両名ともかかっています。抱負を教えてください。

トラボ 自分も前線で盛り上げることができるように、さまざまな力をつけていきたいと思います。そのためにもさまざまな挑戦を繰り返してさまざまな学びをしていきたいと思います!選手としては最強を目指します!

キチパ 今年はコロナの影響で大会が少なく、プレイヤーも視聴者も物足りなさを感じていると思っています。その為にも今回のようなイベントで、視聴者の方々やファンの方々を喜ばせれるように、もちろん試合も、トークもより楽しんでいただけるよう、精進していきます。企画された方々、当日演出の方々、見て頂いた方々、トラボ選手、その他関係者の皆様、ありがとうございました。