企業が抱えるデジタルリスクを予兆・検知・解決するソリューションを手掛けるエルテスはこのほど、日経BPコンサルティング調査モニターのビジネスパーソン601名を対象に、「テレワーク時代の企業の情報管理」に関するWEB調査を実施し、結果を公表した。
同調査は、2020年以降約3カ月強でのテレワーク実施率が27%に上り、テレワーク導入済企業が約6割となるなど、新型コロナウイルス対策をきっかけにテレワークが急速に拡大する中で、テレワークの現状を理解し、リスクを把握すべく実施。調査時期は2020年4月だった。
テレワークの導入済み/可能性あり層が挙げた「導入の課題」トップ3は、「情報セキュリティの確保」(72.5%)、「適正な労務管理」(65.3%)、「テレワークに対応した社内制度作り」(55.4%)となった。
テレワークの実施場所は、圧倒的に多いのは「自宅」ではあるものの、飲食店(カフェやレストラン)、交通機関(電車、飛行機、タクシー)、移動中の立ち寄り場所(駅、空港、講演)、取引先(顧客、委託先、常駐先)、シェアオフィスなどの自宅以外の場所が77.6%となり、飲食店・交通機関・移動中の立ち寄り場所などの公共の場での実施経験も半数近くに上ることがわかった。
同時に、「テレワーク実施中、端末から離れる際に、どのように対応していますか?(複数選択/n=316)」という設問では「特別な対応はしていない」が37.7%と4割近くに上り、情報管理上のリスクが顕在化した。
「テレワーク実施時は業務意欲が低い(「非常に低い」と「やや低い」を合計)」と答えた層が3割強(30.7%)と「高い(「非常に高い」と「やや高い」を合計)」と答えた層(24.1%)より多い。
業務意欲が低くなる理由は、「プリンタや複合機やスキャナがない」「アクセスできない社内サーバーやイントラネットがある」などの実務面のみならず、「メンタル面での不調(孤立感等)を感じる」「同僚がいないため仕事と関係のないネットコンテンツを閲覧する誘惑がある」「仕事の能率が下がるために労働時間が長くなりがち」など、セルフマネジメント観点からの理由も浮き彫りとなった。
「テレワークのために、勤務先のサーバーやPC、スマートフォン等からファイルを持ち出した経験」がある層は48.0%と、約5割の人がデータの持ち出し経験があることが判明。またクロス集計結果によると、ファイル持ち出し経験率について「転職回数が2回以上の人」で高く、「営業部門」「テレワーク時に業務意欲が低い人」でやや高い傾向にあることがわかった。
持ち出すことに抵抗感が小さい情報については部門ごとに差が見られ、営業部門では「顧客リスト」、研究・開発・設計部門では「研究開発や知的財産のテーマや内容」の持ち出しに抵抗感が小さい。
従業員の不正を抑止する対策として、8割以上もの人が「情報漏洩につながりかねないUSBメモリへのコピー、個人メールアドレスへのファイル転送などの行動を情報システムで監視することに加えて、勤怠データや閲覧サイト、ログオン/ログオフ頻度などと組み合わせて総合的に分析することが有効」と回答。情報漏洩につながりかねない行動そのものの監視だけでなく、その動機や可能性、兆候を検知・可視化するための総合的な分析が有効であることがわかった。