Microsoftは米国時間2020年7月1日、Windows 10の機能「Xbox Game Bar」の更新を公式ブログを通じて発表した。Xbox Game Barは「Win」+「G」キーを押すと有効化し、PCゲームやXboxゲームを盛り上げる支援機能である。同社は2020年4月上旬にXbox Game Barのウィジェット機能をサードパーティーに公開する旨を発表していたが、段階的なウィジェットの拡充が始まった。
2020年4月時点では、PCゲームのパフォーマンスを最適化する「Razer Cortex」や、PCゲームの動画配信を行う「XSplit Gamer Bar HUD」など複数のウィジェットにとどまっていたが、Microsoftのブログを読んで確認したところ、複数のウィジェットがウィジェットストアに追加されていた。
たとえばBeOS/Haiku風のCPUリソースメーター「CPU Pulse」、シンプルなWebブラウザーmp「Gamebar Browser」、同じくシンプルなメモ帳の「Notes for Game Bar」などなど。もちろんユーティリティー系ではなく、照明効果を加える「CORSAIR iCUE Game Bar Widgets」といった、本来の目的であるPCゲームを楽しむためのウィジェットもいくつかあった。
Xbox Game Barのウィジェットは、Xbox Game Bar SDKをインストールすることで開発できる。Windows 10の開発者モードを有効にすればサイドローディングも可能だが、広範囲に配布するにはMicrosoft Storeを経由しなければならない。上記のようなユーティリティー系ウィジェットが充実すれば、Windows Vista時代にあったWindowsサイドバーのガジェットとはひと味違うデスクトップ環境の活用が実現するのではないだろうか。
Microsoftはガジェットの廃止理由として、深刻な脆弱性を挙げていた。Windows 8にガジェット機能を持ち込まないと説明していたが、Windows 8自体が旧態のデスクトップ環境からの脱却を目指したOSであり、ガジェットの利用と相反する思想に成り立って開発されたからだと思っている。そのガジェットが、(まったく同じ仕組みではないものの)Windows 10時代にXbox Game Barのウィジェットとして復活の兆しを見せるのは実に面白い。
ただ、Microsoft Storeは便利だが、現状はコンテンツが充実しているとは言いがたい。筆者は開発者ではないので的外れな意見かもしれないが、開発者がアプリやウィジェットを作りたいと思う何かが欠けているのだろう。それがMicrosoft Storeそのものなのか、開発者への金銭的なフィードバックなのか、Windows 10というプラットフォームなのかは分からない。
とはいえ、PCゲームが変わらない人気を持っていることは、Valveが運営する「Steam」の拡充ぶりや、あとを追いかけるEpic Gamesの「Epic Games Store」などの存在が証明している。今回、Xbox Game Barはピン留めしたウィジェットとPCゲームの画面が重なったとき、どちらをクリックするか切り替えるクリックスルー機能や、ウィジェットの透過度を調整する設定を追加した。このように、Xbox Game Barの機能拡充がプラットフォームとしての魅力を高め、多くのウィジェットが登場することで、PCゲームはもちろん仕事をするためのデスクトップ環境も充実することを期待したい。