大和証券グループの新会社CONNECTが、次世代資産運用サービス「CONNECT」のサービス発表会を実施した。「CONNECT」は"未来をつくる、1株と出会おう"をコンセプトにしたスマートフォンを使ったサービスで、1株から投資を開始できるもの。投資が必要だと考えつつも実践できていない層にリーチする。
投資を取り巻く現状とは
発表会にはCONNECT代表取締役社長の大槻竜児氏が登壇、開発経緯やサービス概要などについて説明した。
近年は20代から40代において投資が必要だと考えている人々が増えてきている。しかしながら、証券保有率は高齢になるほど多く、若年層は実際に行動できていない人々も多いのが現状だ。とはいえ、NISA(小額投資非課税制度)の口座数は国民の10人に1人にあたる約1,365万口座にのぼり、そのうち3分の2が40代以下。若い世代にも積み立て投資が広がってきているという。
さらに、若年層は年金に対して根強い不安感を抱いており、将来の年金支給に対する期待値は著しく低いとみている。しかしながら、就業者と非就業者の比率はおおむね保たれており、女性の社会進出や高齢者就業が進み現役世代は増えているため、そこまで悲観するものでもないと、大槻氏は考えているという。
とはいえ、老後も生活レベルを一定の水準以上で保つためには、資産形成に努力は必要となる。
提言として、1割貯蓄をシミュレーションしてみると、就職から銀行貯金で運用すると30代半ばで年収相当の貯蓄となり、40代半ばで年収の2倍、60代で3倍ほどになる。そして、若いうちから投資をするメリットとして、長期分散投資は早ければ早いほどリスク分散効果が高いため、目標も高く設定できることを挙げ、株主優待などを楽しみながら資産形成をしていくことができると解説した。
1株から株式保有、ポイント活用も
「CONNECT」では、投資を"はじめる"、投資を"つづける"ことを応援するサービスを展開していく。まずは資産形成アプリを提供し、自分で作るポートフォリオとして活用していくことを提案した。
スマートフォンアプリ「CONNECT」では、1株から購入できる「ひな株」から、「単元株取引」までカバー。1株からはじめて単元株へと育てていくまで、長期間の資産推移をサポートする。手数料体系もシンプルにし、最低手数料は1円から。毎月10回まではクーポンにより手数料無料で、使いきれなかった分は翌月への繰り越しもできる。
また、SORを標準搭載しているので、常に有利な約定価格で執行される。一般NISAのほか、書類フローが必要となることから非対応のサービスも多い「つみたてNISA」にも今後対応していく予定だという。
届け出変更など、すべてをスマートフォンだけで完結できるようにし、LINEチャットで質問できるなど、スマホ世代が直感的に利用できるよう配慮。アプリの見た目にもこだわりをもって設計し、数字のフォントも縦長のものをオリジナルで作成。表示する要素も、情報過多とならないように最低限としている。
総じてシンプルで、資産形成の入り口として分かりやすいものになっている印象だ。
近年人気が高まっているポイント投資にも積極的だ。CONNECTは共通ポイントサービス「STOCK POINT」と業務提携し、ポイント運用サービス「StockPoint for CONNECT」を提供していく。
これまでロイヤリティ・マーケティングが提供していた「Pontaポイント運用」は「StockPoint for CONNECT」に移行。小額のポイントからの投資・運用や、運用中の銘柄をいつでも選び直すことが可能なため、投資初心者でも安心できて、利用もしやすい。
投資を始める"種"となるよう、できるだけ多くのポイントサービスと連携していければ、と今後の展望を語った。
株式投資のイメージを変える未来へ
これまでの株式投資は、値動きを重視して儲かる銘柄を探し、損をするとすぐに撤退。短期売買株価に一喜一憂し、敷居が高い印象のものだった。
その印象が、株式の購入目的を「優良企業に投資する」という意識に変わることで、今後成長する企業を探すという企業や社会とのエンゲージメントを促し、優待や配当などを楽しみながら資産形成することで長期保有していくスタイルが目指すべき投資の形だと、未来図を描く。
そのスタイルを体験してもらうため、「株式投資×街づくり」をコンセプトとした体験ゲームも制作。スマホゲーム「ひよこ社長のまちづくり」では、プレイを通して株式と経済の関わりを楽しく体験することができる。
株式を通じて企業などに投資することで、新たな商品開発がなされたり、株主優待などのサービスを受けられたりと、株主になることが経済や社会にどういう影響を与えるのかがゲーム内で描かれ、子どもたちにも株式投資がどういうものかを知ってもらいたいという。
そのため、公害や乱獲など経済成長の裏側となるネガティヴな部分にも触れており、政府が推進するSDGs(持続可能な開発目標)の理念も伝えていければと、大槻氏は語った。
次世代資産運用サービス「CONNECT」は7月1日よりサービス提供を開始している。