米Mozillaは6月30日 (現地時間)、Webブラウザ「Firefox 78」の安定版の提供を開始した。新型コロナウイルスの影響に対処したアップデートから本来の開発ロードマップに戻る変更が始まった。また、バージョン78でFirefox ESR (延長サポート版)のメジャーアップデート (78.0esr)も行われた。

Mozillaは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で在宅勤務や在宅学習が増えていることに対処し、互換性を制限する過去の変更のいくつかを一時的に撤回していたが、Firefox 78でTLS 1.0/1.1対応の廃止を再導入した。TLS 1.2をサポートしていないWebサイトではエラーメッセージが表示される。また、Firefox 79で予定していたDHEベースのTLS CipherSuitesの廃止をFirefox 78に前倒しした。撤回または延期している他の変更についても、社会の再開動向に合わせて戻していく。

その他の新機能や強化は、プライバシー保護ダッシュボードが拡充され、データ漏洩にユーザーが対処した数、保存してるパスワードのいずれかがデータ漏洩に含まれる可能性を確認できるようになった。プライバシー保護ダッシュボードはURLバーに「about:protections」と入力するか、メインメニューの「プライバシー保護」からアクセスする。

Firefoxのアンインストーラに「Firefoxをリフレッシュ」を利用できるオプションが加わった。Firefoxに問題がある場合、完全削除して再インストールしなくても、拡張機能やカスタマイズデータ、ブラウザ設定のリフレッシュによって解決できることがある。

OS別では、Intel製のGPUを搭載したWindows PCにおいてWebRenderのロールアウトが始まった。Mac用は、OS X 10.9(Mavericks)/ 10.10(Yosemite)/ 10.11(El Capitan)のサポートが終了になる。それらのOSバージョンの環境ではアプリケーションアップデートにおいて自動的にESRチャネル(OS X 10.9以降をサポート)に送られる。

Firefox ESRは、企業、教育機関、政府機関や地方自治体など、安定した管理運用を優先するユーザー向けに用意されている。セキュリティやバグの修正はマイナーアップデートとして通常のFirefoxと同様に原則4週間のペースで提供するが、新機能を追加するメジャーアップデートは年1回ペース (約42週間ごと)になる。Firefox ESR 78.0は通常版と全く同じではないが、通常版の過去10リリースの多くの新機能や変更を含む。