新型コロナウイルス感染症に伴う政府の緊急事態宣言(現在は解除)をきっかけに、以前と比べて自宅で過ごす時間が長くなった人は多いだろう。鉄道ファンの中には、これまで外出中心だった鉄道趣味を見直し、自宅で楽しめる趣味にしたいと考え始めた人もいるかもしれない。
自宅で楽しむ鉄道趣味のひとつに、Nゲージをはじめとする鉄道模型がある。Nゲージは線路を広げるのにある程度のスペースを要するが、じつは省スペースでも広げられる小半径の線路が発売されており、これを活用すれば手軽に鉄道模型を楽しめる。
筆者自身もNゲージ鉄道模型を所有しており、なおかつ省スペースで車両を走らせて遊んでいる。その経験を生かし、今回は省スペースで鉄道模型を楽しむための方法を紹介したい。
■線路は「KATO」「TOMIX」の両ブランドが展開中
Nゲージ鉄道模型を走らせる線路は、おもに「KATO」「TOMIX」の両ブランドから発売されている。まずはKATOの線路を紹介する。
小半径の線路に関して、KATOからは「ユニトラックコンパクト」として「R183」「R150」「R117」という線路が発売されている。これらの数字はカーブ半径の大きさを表し、たとえば「R150」は半径150mmであることを示す。つまり、3種類の中で最も大きい「R183」のカーブだけで線路を組んでも、直径は366mmということになり、家庭のテーブル上にも線路を組みやすい大きさとなる。
ユニトラックは、レール同士をつなぐときはまっすぐ差し込み、外すときは接続部分を折って外す。車両を走らせる場合はフィーダーレールをつなぎ、その裏面とパワーパック(コントローラー)を青いフィーダーコードで接続し、レールに電気を送ることで車両が走り出す。
単品のほか、1周分のレールがまとまったエンドレス基本セット、列車交換を行うポイントレール、十字型の交差線路が収録されたレールセットもそれぞれ発売されている。パワーパックは別売のため、持っていない場合は合わせてそろえると良いだろう。
ユニトラックは道床の幅が広くて安定しやすく、レールへの通電や、ポイントを切り替えるときの確実性が高い。加えて、線路を組んだ状態でもある程度の柔軟性があるため、線路を組んでいてあと一歩の長さが足りない場合に、線路をなじませてつなげることができる。筆者としては、遊ぶたびに線路を組み、遊び終わったら片づけるお座敷運転(フロアレイアウト)にも使いやすい。
一方、TOMIXからは、「ファイントラック ミニカーブレール」として「C177」「C140」が、「スーパーミニカーブレール」として「C103」が発売されている。こちらも各種単品に加え、線路1周分や、列車交換を可能にするミニポイントレール、十字型の平面交差を行えるレールがそれぞれひとまとめになった「ミニレールセット」各種と、初めてNゲージに触れる人向けに、パワーユニット(コントローラー)も付属した「ミニ鉄道模型運転セット」が発売されている。
ファイントラックには、一部を除いてほとんどのレールにパワーユニットとつなぐD.C.フィーダーを差し込むスペースがあるので、そこにD.C.フィーダーを差し込み、パワーユニットからの電気をレールに流すことで車両を走らせるしくみになっている。線路同士の接続方法はユニトラックと異なり、着脱ともまっすぐつなぎ合わせる。
TOMIXファイントラックのメリットは、レイアウトの自由度が高い点にある。発売されている線路の種類が豊富なため、用途に合ったものを選びやすい。道床の幅はユニトラックより狭いが、枕木の中央に釘を刺せる穴が開いており、KATOの小釘でベニヤ板などに固定できる。筆者としては、線路を固定して情景を作り込む場合、こちらのほうが使いやすい。
なお、レールに釘を打ち込む場合は、釘と金づちの間に必ず短く切った割り箸などを噛ませること。直接釘を打つと、レールを傷める原因となる。
レールに関しては、このように両ブランドで特徴が異なるものの、どちらを使用しても車両の走行にはまったく問題ないので、気に入ったほうを選択してほしい。