長引く日銀のマイナス金利政策の影響から、多くの銀行でサービスの見直しをしています。中でも、メガバンクでは、休眠口座管理手数料をとる動きがはじまりました。その動きに加え、ATMの引き出し手数料や他行への振込手数料などの各種手数料も、引き上げられているのをご存じでしょうか?
ほんの数百円程度の手数料とはいえ、ほとんど金利のつかない預金に手数料がかかることで、金利がマイナスになる事態にもなりかねません。この問題を打開するオススメの方法は、ネット専業銀行をうまく利用すること。またクレジットカードとの連携でお得になる方法も紹介します。
メガバンクでの各種手数料はどのくらい上がっている?
三菱UFJ銀行は、2020年5月1日からコンビニATMの手数料を値上げ。「セブン銀行ATM」「イーネットATM」、ファミリーマートに設置してある「ゆうちょ銀行ATM」での引き出し、振込みなどの手数料が最大で2倍になりました。(※毎月25日・月末日/8:45~18:00までは無料)メガバンクは独自のATMがあるので、コンビニなどの提携店で手数料がかかるのは当然ですが、この値上げ幅はかなり大きいと言えます。
また、メガバンクでは、会員制度の特典などで、コンビニATMでの引き出しや振り込み手数料が無料になるなどのサービスがありますが、このサービスでも改悪の動きが進みつつあります。みずほ銀行では、2020年5月1日から、「みずほマイレージクラブ」会員特典の変更により、コンビニ利用料無料の回数、他行あて振り込み手数料無料の回数が、取引条件に応じて4回だったところが、1~3回と回数が変更に。また、利用できるコンビニが、セブン銀行・ローソン銀行・イーネットの3つから、イーネットのみに限定され利用範囲が大幅に縮小されてしまいました。
ネット銀行をサブ口座にして手数料を節約する!
もちろん、手数料がかからないように、お金をおろす回数を減らすことや、銀行ATMを利用するなど行動を変えることで、これらの手数料の問題は解決しますが、やむを得ない事情で難しいこともあるでしょう。そこで、オススメしたいのがネット専業銀行を利用すること。給与振り込みや家賃の支払い、住宅ローン支払いなどの理由から、すべてのお金をうつすのはハードルが高いのでサブ口座として、ネット銀行を利用するという手があります。
ネット銀行は、独自のATMを持たないため、メガバンクよりゆるい条件でコンビニATMでの引き出し等手数料が無料になります。また、他行からの入金を自動で設定できるサービスがある銀行もあります。給料日に生活費として一定額を移動するようにすれば、手数料を節約することができます。メガバンクのATMを利用できるところもあるので、メインバンクのATMが使える銀行を選ぶと便利でしょう。いくつかお得なネット銀行をご紹介します。
■楽天銀行
3万円以上の預け入れなら、回数制限なしで手数料は無料。楽天銀行顧客優遇プログラム「ハッピープログラム」を適用すれば、会員ステージに応じて最大で月7回まで引き出し手数料と、最大で月3回まで他行あての振り込み手数料が無料に。提携ATMはセブン銀行、イーネット、ローソン銀行、イオン銀行など。三菱UFJ銀行、みずほ銀行、ゆうちょ銀行も同様に利用可能。入金や振込などで楽天スーパーポイントが貯まる特典(※)があり、ポイントを振り込み手数料などに使えます。
(※)入金サービスの利用登録が必要
■ジャパンネット銀行
毎月最初の1回は、預け入れも引き出しも手数料が0円。2回目からは3万円以上なら預け入れも引き出しも回数無制限で無料になります。ただし、3万円未満の場合は、1回につき165円の手数料(ゆうちょ銀行は330円)がかかるので要注意。提携ATMは、セブン銀行、イオン銀行、ローソン銀行、イーネット、三井住友銀行、ゆうちょ銀行。毎月5日または27日に、指定した額を他行から無料で移動することができます。
■ソニー銀行
預け入れは回数制限なし、引き出しは月4回まで無条件で利用できます。提携ATMは、セブン銀行、イオン銀行、ローソン銀行、イーネット、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、ゆうちょ銀行。毎月指定した額を他行から自動で入金する機能があります。「優待プログラム ClubS」の利用で他行への振込手数料が最大で11回まで無料になる特典もあります。
クレジットカードとの連携で利用料の節約をする
さらに、クレジットカードを利用することで、メガバンクのコンビニATM利用料などがお得になる方法も。
三菱UFJ銀行は、ネットバンキングを利用し、カードの引き落とし口座を指定することで、提携コンビニATM手数料利用が月2~3回まで無料になります。対象のクレジットカードは、MUFGカードスマート、MUFGカードゴールドなど。
三井住友銀行は、SMBCポイントパック契約口座からクレジットカードの利用代金を引き落としに設定すると、提携コンビニATM手数料が月3回まで無料になります。対象クレジットカードは三井住友カードとセディナカード。クレジットカードは年会費がかかることもありますが、ほとんどのカードで独自のポイント付与のサービスがあり、貯めたポイントでのキャッシュバックや共通ポイントへの交換などのお得な特典があるので、カードをうまく連携して、節約するのもひとつの方法です。
細かいムダでもまとまれば大きな出費に! 銀行との付き合い方の見直しを
銀行の手数料は数百円程度の少額なので「大した損ではない」と思うかもしれません。ですが、数十年たてば、何万円もの差がつくこともあり得ます。経済が不安定なこの時期こそ、今利用している銀行が自分に最適なのかを見直してみるのもいいかもしれません。
まずは、身近な手数料をムダに支払っていないのかの点検からはじめて、「自分にあったお金の預け先」を探してみてくださいね。