日産自動車はコンパクトSUV「キックス」を日本で発売する。日産独自の電動パワートレイン「e-POWER」を搭載したモデルのみの販売で、基本の価格は275万9,900円。シートを2トーンカラーにすると286万9,900円となる。日産はキックスを日本市場の新たな主力商品としたい意向だ。発売日は2020年6月30日の予定。
進化した「e-POWER」を搭載
キックスは日産にとって、「日本市場では10年ぶりのブランニューモデル」(同社の星野朝子副社長)となる。人気の高いコンパクトSUV市場に独自技術の「e-POWER」搭載モデルで勝負をかける格好だ。
e-POWERはいわゆるシリーズハイブリッドと呼ばれる技術だ。キックスはエンジン、発電用モーター、駆動用モーター、インバーター、バッテリーを搭載。ガソリンを給油してエンジンを回すのは普通のクルマと同じだが、エンジンは発電専用となる。つまり、エンジンで発電した電力でモーターを回し、クルマを走らせる技術なのである。
日産では小型車「ノート」とミニバン「セレナ」にe-POWERを展開しているが、これらの好調を受け、「1人でも多くの方に同技術を体験してほしい」(キックス開発担当者)との考えから、キックスの日本仕様をe-POWERのみの設定としたという。キックスのe-POWERはノートに比べ出力が約20%向上しているとのこと。低速域ではエンジンが発電のために作動する頻度を抑え、バッテリーのみで走行する時間を長くすることで、室内の静粛性を高めたそうだ。走行モードを「S(smart)モード」あるいは「ECOモード」に入れると、アクセルペダルの踏み戻しだけである程度は加減速できる「ワンペダル走行」も可能になる。
キックスは日産が2016年から世界で販売していたクルマだが、今回が日本で初めての導入となる。海外向けモデルが搭載していない日本仕様独自の技術は、日産の運転支援技術「プロパイロット」、エマージェンシーブレーキ、踏み間違い防止機能の3つだ。