昨年3月に現役を引退したイチロー氏が、SMBC日興証券のWEB動画「おしえて!イチロー先生」で、選手時代に感情を抑えていた理由について語った。

  • WEB動画「おしえて!イチロー先生」で教壇に立つイチロー氏

YouTubeで1,000万再生を突破するなど、大好評だったWEB動画企画の第2弾。今回は、イチロー氏が「憧れ」と語っていた先生に扮し、子どもから大人までの様々な質問に答えた。

その中で、ある女性が「わんぱく坊主を育てているんですけれど、全然言うこと聞かなくて、感情のままに怒ってしまいます」と悩みを打ち明け、「イチロー先生は、感情をどうやって抑えていたんですか?」と質問。

これに対してイチロー氏は、「まず感情的になったら、絶対に負けるということです。絶対に負けます。冷静なやつには敵わないので」と断言し、「野球って、ヒットを打ったらめちゃうれしいです。でも、それが相手に見えると、なんかつまらない選手に見えるんです」と経験談を披露した。

さらに、その理由について「つまり、相手の選手を観察していて、『あいつ、こんなヒットで喜んでいるな』とか、底が知れる感じがつまらないんです」と話し、「でも、これを感情に出さないやつは『こいつ、ここで打っても喜ばないのか』『ここでも悔しい表情を出さないのか』とか、相手にしたら気持ち悪いんですよね。だから、僕はそれを常に意識して、腹立つことがあるけど、それはぐっと抑えてという訓練を日々していました」と常日頃から心掛けていたことを明かした。

2009年、WBCで不振に苦しみながら、韓国との決勝戦では見事な決勝打を放つも感情を表に出さなかったイチロー氏。「WBCの2009年はご記憶の方もいらっしゃいますかね? 決勝戦、韓国戦のセンター前ヒットがあるんですけれど、僕はどういう振る舞いをしたらいいのかを走りながら考えるんですね。ダッグアウトを見ると、きっと日本チーム、みんなが喜んでくれている。だから、見たらダメだと思ったんですよね。見たら、僕もそれに応えないといけないので、見てはいけない。だから僕は見なかったんですよ、ダッグアウトを。相手にとって、一番屈辱は何かと考えたんですよね。それは、僕が喜ぶことじゃないと思ったんです。『こいつにはもう敵わない』と思うとしたらそれだと思ったんです」と振り返り、「だから、目の前に起きたことのその先のことを考えるんです。そうすると、割りと冷静になれる」とアドバイスしていた。