Android 6.0以降、内蔵ストレージとmicroSDカードを区別なくアプリのインストール先に指定できるようになりました。しかし、microSDカードは製品ごとの読み書き性能差が大きく、低速なカードへアプリをインストールすると、操作の快適性が損なわれてしまいます。
そこで登場した規格が「アプリケーション・パフォーマンス・クラス」です。Android端末の内蔵ストレージと遜色ない読み書き性能を定義し、その基準をクリアしているカードはロゴを掲示できます。カード表面や製品パッケージに記載されているAに数値をくわえたロゴがそのレベル、すなわちアプリの快適な動作を示す指標になります。
2020年6月現在、SDカード規格(SD物理仕様 v6.0)で定義されているアプリケーション・パフォーマンス・クラスは「1」と「2」、つまり「A1」と「A2」の2種類が存在します。最新規格は「A2」で、A1より高速な読み書きが可能です。
アプリのインストール先などシステム領域として使用するストレージは、ランダムアクセス性能(物理的に連続しない領域を読み書きする性能)が快適性を大きく左右します。従来のmicroSDカードはランダムアクセス性能のばらつきが大きく、そこに明確な基準を設けたのがアプリケーション・パフォーマンス・クラスともいえます。
ランダムアクセス性能を示す基準には、1秒あたりに実行可能な4キロバイトのリード/ライトコマンド数を意味する「IOPS」が利用され、読み込み時の「ランダムリード最低処理速度」と書き込み時の「ランダムライト最低処理速度」で示されます。ランダムリード最低処理速度はA1が1500 IOPSでA2が4000 IOPS、ランダムライト最低処理速度はA1が500 IOPSでA2が2000 IOPSです(数値の大きいほうが高速)。