欧州時間の6月22日、スーパーコンピュータの性能ランキングである「TOP500」の2020年6月版が発表され、日本の理化学研究所と富士通が開発したスパコン「富岳」が1位を獲得した。日本勢としては2011年11月のスパコン「京」以来の1位獲得となる。
世界的なスパコンランキングであるTOP500は年2回、ともにスーパーコンピューティングの国際会議で、6月に欧州で開催されるInternational Supercomputing Conference(ISC)と、11月に米国で開催されるSupercomputing Conference(SC)に合わせて発表されている。
55回目となる今回のTOP500で富岳は、スパコンの演算性能を評価するTOP500標準のLINPACKベンチマークで415.53PFlops(1秒間に約41.5京回の計算性能に相当)の性能を示し1位を獲得。以下、2位は前回までのTOP500で1位だった米国の「Summit」でLINPACK性能は148.6PFlops。3位は同じく米国の「Sierra」でLINPACK性能は94.64PFlops。4位は中国の「Sunway TaihuLight(神威・太湖之光)」でLINPACK性能は93.014PFlops。5位は中国の「Tianhe-2A」でLINPACK性能は61.445PFlops。
また富岳はTOP500以外にも、あわせて発表された3つの性能ランキング、産業利用など実アプリケーションでよく使われる演算処理の性能を評価する「HPCG」、AI関連の演算処理の性能を評価する「HPL-AI」、ビッグデータ関連の演算処理の性能を評価する「Graph500」の3部門でも1位を獲得し、TOP500の1位を含む4冠を世界で初めて達成した。
なお、富岳はもともと2021年の本格運用開始を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた緊急対応として、ウイルスの性質解明や治療薬探索の課題などを対象に、本年においても可能な限りの計算資源を関連する研究開発に供出するとしている。