今年は新型コロナウイルスの影響により、様々な手続きの期限が延長されるなど、特別な対応が取られています。たとえば、例年は3月中旬が期日となる確定申告も、4月16日まで延長され、そのうえ、確定申告書が4月17日以降であっても柔軟に受け付けられることとなりました。
また、コロナ禍で収入が激減する個人や事業者が続出していることから、各種税金の支払猶予措置も設けられています。そこで本稿では、新型コロナウイルスによって猶予されている届出や申告、納税などについて国税を中心にまとめてみました。
期限が延長されている国税に関する届出や申告は
今年は、新型コロナウイルスによる外出自粛等で、国税に関する届出・申告期限が延長されています。国税の中でも所得税、贈与税、消費税などについて、期限が延長されている主な手続きを以下に挙げました。
<所得税>
・所得税および復興特別所得税の確定申告
・所得税および復興特別所得税の更生の請求
・所得税の青色申告承認申請
・青色事業専従者給与に関する届出(変更届出)
・所得税の青色申告の取りやめ届出
・純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求
・所得税の減価償却資産の償却方法の届出
・所得税の減価償却資産の償却方法の変更承認申請
・所得税の有価証券・仮想通貨の評価方法の届出
・所得税の有価証券・仮想通貨の評価方法の変更承認申請
・個人事業の開廃業等の届出
<贈与税>
・贈与税の申告
・贈与税の更生の請求
・相続時精算課税選択届出
<消費税(個人)>
・消費税および地方消費税の確定申告
・消費税および地方消費税の更生の請求
<その他>
・国外財産調書の提出
・財産債務調書の提出
それぞれの手続きの期限の詳細については、税務署へ確認してみましょう。なお、上記以外の手続きに関しても、期限延長の対象となる可能性があります。気になる手続きがあれば、こちらも最寄りの税務署に問い合わせてみましょう。また、期限延長の対象とならない手続きでも、申告が困難なやむを得ない理由がある場合は、税務署に申請することで期限の延長が可能となることがあります。
さて、期限が延長となっている手続きの中でも、多くの人に影響があるのが所得税および復興特別所得税の確定申告ではないでしょうか。冒頭にも記述した通り、今年の確定申告は4月16日まで期限が延長されたうえ、4月17日以降であっても受付可能の措置が講じられています。申告書の作成や来署が可能になった時点で税務署へ申し出れば、申告期限延長の取り扱いとなります。
また、インターネットや郵送で申告を行う場合は、申告書の余白や特記事項欄に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限の延長を申請」する旨を記載すれば、個別に申告期限を延長してもらえます。なお、4月17日以降に申告相談をしたい場合は、原則として税務署へ来署の事前予約が必要です。
今年はほぼ全ての国税に納税猶予が
さらに、今年は所得税や法人税、消費税などほぼ全ての国税に納税猶予が設けられています。これは、4月30日に創設された国税の特例猶予によるもので、企業や個人を問わず猶予が受けられます。これまで、納税の猶予を受けるには、一時に納税することで事業の継続や生活が困難になる時や、災害で財産を損失した時など特定の事情がある場合に限られていました。
しかし今年は、新型コロナウイルスによる影響で、2020年2月以降の任意の期間(1ヶ月以上)において、事業等の収入が前年同期と比較しおおむね20%以上減少していれば、来年1月31日までに納期限が到来する税金が1年間猶予となります。なお、延滞金はかからず、担保も不要です。納税猶予の申請を行うには、売上帳や預金通帳のコピー等、収入がわかる書類を提出しますが、収入減を証明する書類を用意できない場合は口頭にて説明することも可能です。申請期限は、6月30日または納期限のいずれか遅い日となります。
なお、納税猶予は国税だけでなく、個人住民税や固定資産税、自動車税といったほぼ全ての地方税にも設けられています。猶予を受けるには、都道府県や市区町村へ申請が必要ですが、その際、国税の特例猶予の申請書を活用することができます。
その他手続きの期限も延長に
国税など税金関連の手続き・納税以外にも、期限が延長されている手続きは多数あります。たとえば、以下のような行政手続きの期限延長や臨時措置が認められています。
・特別児童扶養手当・児童扶養手当の再認定に係る診断書の提出期限の延長
・不妊治療助成対象年齢の延長
・身体障害者手帳および療育手帳の再認定(再判定)期限の延長
・運転免許関係の更新等の手続きに係る臨時措置
これらの他にも、新型コロナウイルスの影響で、期限延長や特別措置が取られている手続きがいくつもあります。詳しくは、お住まいの自治体のホームページを確認し、詳細は各担当所属に問い合わせてください。
最新情報を確認して手続きしよう
今年は多くの手続きが特別な扱いとなっています。なお、本稿に掲載した手続きは、状況により情報が更新されることがあります。届出・申告等の手続きを行う場合は、必ず国税庁や自治体のホームページなどで一次情報を確認し、最寄りの税務署や自治体の担当へ直接問い合わせてみましょう。