開発におけるデジタルトランスフォーメーションをサポート
「Azure/DevOps」については、日本マイクロソフトの廣瀬一海氏が「Azure | Developer Velocity」のタイトルで講演を行った。このセッションでは、5月に米Microsoftの主催で行われた「Microsoft Build 2020」から、開発者向けの主要な発表内容が紹介された。
Build 2020では、「Azure Static Web Apps」や「Blazor WebAssembly」、「Azure Synapse Link」などが発表された。Azure Static Web AppsはSPA(Single Page Application)やPWA(Progressive Web Apps)などを含む静的なWebサイトをホストするためのサービスである。GitHub AcrionsやAzure Functionsなどとの統合によって、継続的に運用可能なサーバレスアプリケーションをシームレスに実装できる点が大きな特徴である。
Blazor WebAssemblyはASP.NET CoreによるフルスタックWeb開発基盤で、C#などを用いてWebブラウザ上で実行可能なWebアプリケーションを開発することができる。Azure Synapse Linkは、Cosmos DBに蓄積した情報をAzure Synapseに流し込んで分析できるようにするツールで、ETLツール無しでデータの連携が可能なためタイムラグのない準リアルタイムな分析が可能となる。
そのほか、多くの新サービスや新機能が発表されているが、廣瀬氏の講演では、特に「開発におけるデジタルトランスフォーメーションをサポートする取り組み」という切り口で、Visual Studio/Visual Studio Codeをはじめとする開発ツールの機能強化や、Azure Boardsによるアジャイルプラニングのサポート、GitHub Codespacesによる開発環境セットアップの高速化などが紹介された。
素早い問題解決を可能にする「Power Platform」
米MicrosoftのCharles Lamanna氏からは、「Microsoft Power Platform」に関する紹介が行われた。Power PlatformはOffice 365やAzure、スタンドアロンアプリケーションなどを連携させることができる、統合されたローコード開発プラットフォームである。大きく分けると「Power BI」「Power Apps」「Power Automate」「Power Virtual Agent」の4つのツールから構成されており、「これらを駆使することであらゆる種類のアプリケーションをローコードで簡単に開発し、素早い問題解決につなげることができる」とLamanna氏は語る。
同氏が強調するのは、Power Platformは決してプログラムのコードが書けない開発者だけを対象にしたツールではないということである。IT化が必要な業務の中には、従来の開発手法だと十分なROIが見込めず、対応が後回しになってしまっている領域が存在する。そのような場面で、Power Platformを導入することによって低コストで素早い問題解決が見込めるようになるという。
さらに、Power Platformには任意のAzureのサービスと連携するためのカスタムコネクタの機能が用意されている。Azureサービスの開発者は、APIを公開してカスタムコネクタとしてPower Platformに登録することで、ローコードの開発者でも簡単に使えるコネクタを提供することができる。このことは、ローコードの開発者とAzureの開発者で簡単に共同開発が行えることを意味している。「Azureの開発者でPower Platformを使わないのは、片手を背中で縛って開発するようなもの。それくらいスピードに差が出る」とLamanna氏は語った。