東京商工リサーチは6月12日、新型コロナウイルス関連破たん状況(17時現在)を発表。新型コロナ関連の破たんは全国で244件(倒産172件、弁護士一任・準備中72件)となった。
都道府県別では、 長崎県で初めて経営破たんが判明し、福井、和歌山、鳥取、高知の4県を除く43都道府県で発生している。
東京都が53件(倒産45件、準備中8件)で最多。以下、大阪府22件(同15件、同7件)、北海道17件(同14件、同3件)、静岡県と兵庫県が各13件の順に多くなっている。
業種別では、最多が飲食業の37件。緊急事態宣言の発令で来店客の減少、休業要請などが影響した。
次いで、インバウンド需要消失や旅行・出張の自粛が影響した宿泊業が35件。百貨店や小売店の休業が影響したアパレル関連が29件が続くなど、個人消費関連の業種の苦戦が目立っている。
このほか、休校やイベント自粛、飲食店休業の影響を受けた食品関連31件、結婚式場や葬祭業の冠婚葬祭業7件、案件減少など受注環境が悪化した建設業12件など、業種が広がっている。
経営破たん244件のうち、従業員数が判明した232件の従業員数は8111人。従業員数が5人未満が75件(構成比32.3%)で、10人未満は120件(同51.7%)と半数を占める。
一方、300人以上は5件(同2.1%)に過ぎず、耐性の乏しい小・零細企業に強く影響が出ている。
同調査では「現状、小・零細規模の企業や商店では、負債を膨らませても返済の見通しが立たないことから制度融資や支援策などを活用せず、廃業や倒産を決断するケースも出ている」とした上で、「6月12日、新型コロナウイルス対策の第二次補正予算が成立した。だが、営業自粛や時短営業、休業で消失した売上高が、コロナ前に回復するには時間が必要だろう。『新しい生活様式』は、生産性の向上が難しい中小・零細企業に、従来のビジネスモデルの抜本的見直しを迫っている」と指摘している。