新型コロナの感染拡大により、多くの事業者が苦境に立たされています。営業自粛等で売上が激減し、事業継続が難しくなっているケースも少なくありません。そうした事業者への支援策の一つとして、2020年5月1日から申請が開始している「持続化給付金」があります。
これは、コロナ禍の影響を受けている事業者が、条件を満たせば受け取れる給付金です。持続化給付金は、中小企業など「中小法人」のほか、フリーランス・個人事業主など「個人事業者」が対象となります。今回は、中小法人向けに、持続化給付金が給付される条件や給付額、申請方法などについて解説していきます。
持続化給付金の給付条件や給付額は
<持続化給付金の対象>
中小法人のうち、持続化給付金の給付対象となるのは、以下の3つの条件を満たしている場合です。
1.2020年4月1日時点において、次のいずれかを満たす法人であること。
(1)資本金の額または出資の総額が10億円未満であること。
(2)資本金の額または出資の総額が定められていない場合は、常時使用する従業員の数が2,000人以下であること。
2.2019年以前から事業により事業収入(売上)があり、今後も事業継続の意思があること。
3.2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月(対象月)があること。
いくつか補足をしますと、2の「事業収入」とは、確定申告書別表一における「売上金額」欄に記載されるものと同様の考え方によるものとします。3の「対象月」は、2020年1月から申請する月の前月までの間で、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月のうち、ひと月を任意で選択できます。同じく3において、対象月の事業収入は、新型コロナウイルス感染症対策として地方公共団体から休業要請に伴い支給される協力金などの現金給付を除いて算定することができます。
なお、給付対象には医療法人、農業法人、NPO法人など会社以外の法人も含まれ、幅広い法人が持続化給付金を受け取れる可能性があります。
さらに、5月22日には、2020年1月~3月末創業の事業者も持続化給付金の対象に含めることを検討しているとの発表がありました。給付を受けるためには、2020年1~3月に創業していることのほか、新型コロナウイルス感染症拡大後の任意のひと月の事業収入が、2020年1~3月までの平均売上高より50%以上減少していることが条件です。
<持続化給付金の給付額>
中小法人の場合、受け取れる給付金の金額は、以下のいずれか少ない方となります。
1.200万円(中小法人の持続化給付金の上限額)
2.2019年の年間総売上(年間事業収入)-(2020年の対象月の売上×12ヶ月)
たとえば、2019年の年間総売上が2,000万円、2019年3月の事業収入が150万円、2020年3月の事業収入が70万円だったとします。2020年3月は前年同月比で事業収入が50%以上減少していますので、対象月にできます。この時、上記2の計算式に当てはめると、「2,000万円-(70万円×12ヶ月)=1,160万円」となるため、1と2を比べ、より少ない金額である200万円がこのケースの給付金額となります。
持続化給付金の申請方法
持続化給付金を申請するには、まず必要な書類を用意し、その上で専用のサイトから申請を行います。中小法人が申請するのに必要な書類は、以下の通りです。書類を揃える際のポイントも添えましたので、ご確認ください。
■持続化給付金の申請に必要な書類
・対象月の属する事業年度の直前の事業年度(原則2019年度)の確定申告書別表一の控え(1枚)と法人事業概況説明書の控え(2枚、両面)
・対象月の月間事業収入がわかるもの
※「2020年〇月」と明記されているもの
※売上台帳、帳面、その他対象月の属する事業年度の確定申告の基礎となる書類を原則とする
・法人名義の口座通帳の写し(法人の代表者名義も可)
※通帳の表面、通帳を開いた1・2ページ目の両方
※電子通帳など、紙媒体の通帳がない場合は画面コピー
※金融機関名、金融機関コード、支店名、支店コード、種別(普通、当座)、口座番号、口座名義人がわかるように
■持続化給付金の申請手順
上記の必要書類を用意したら、これらをデジカメで撮影またはスキャンし、PDF、JPG、PNGのいずれかに変換しパソコンに取り込みます。申請は、持続化給付金の専用サイトにアクセスして行います。手順は以下の通りです。
1.申請サイトの「申請する」をクリック
2.仮登録で入力したメールアドレスに送られる本登録の手続き案内に従い、本登録を済ませる
3.本登録でIDとパスワードを入力すると、マイページが作られる
4.マイページから申請情報を入力し、データ変換した必要書類をアップロードする
申請は以上で完了します。申請内容に不備がなければ、通常2週間程度で銀行口座に給付金が振り込まれます。不備がある場合は、マイページに連絡が届きます。不備がないにも関わらずなかなか入金されないケースも見受けられますが、少しでも早く給付金を得るために、まずは不備のないようよく確認して申請に臨みましょう。
持続化給付金は事業継続のための貴重な資金
今回の持続化給付金は、給付を受けるための基準が非常にゆるく、幅広い事業者に給付のチャンスがあります。申請から給付までのスピードには事業者ごとに差があるようですが、ぜひこの給付金を事業継続に活用しましょう。