九州で局地的にバズっている「自粛犬」をご存じだろうか。独特な筑後弁を見事に使いこなすダックスフントの花ちゃんに注目が集まっている。
「どんこんいかんねぇ」「どげんされんつばい!」「笑いごつじゃなかっぜ」
自粛犬とは、かわいらしいダックスフントの花ちゃんが、外出自粛や新型コロナウイルスの影響を受ける社会や飼い主へ「犬の言い分を語る」1~3分ほどの短い動画だ。緊急事態宣言が発表された4月に1本目の動画がYou Tubeに公開され反響を呼び、6月7日には合計7本の動画が公開されている。
地元テレビや新聞、ネットニュースにも取り上げられ、花ちゃんを真似した派生動画まで登場するほどの人気ぶり。「腹がちぎれるほどに笑った」「3割くらい何言っているか分からない」と様々なコメントが寄せられている。
花ちゃんが話すのは、福岡県八女郡の方言。筑後弁と呼ばれ、博多弁より語気が強めなのが特徴である。動画を見た福岡県民からは「全国の筑後出身者の方に見てほしい!!」「たいぎゃ懐かしか」と熱いコメントが集まる。
動画を作成したのは、ダンサーのISOPPさん。なぜこの動画を作ろうと思ったのか話を聞いてみた。
「はじめは実家の親を喜ばせようと思って作って送っていたのですが、『最近笑えていなかったのに久しぶりに笑った』とか『介護の仕事をしていますが患者さんに見せています』など、地元の方々が喜んでくれるので続編を作るようになりました。
ウイルスに負けてばかりでは悔しいので、笑いや憩いのクラスター感染を起こせるように地元を意識した言葉遣いで投稿しています」
現在公開されている動画の中で反響があったものを尋ねると「vol.2と5が人気です」とのこと。
九州出身なら腹を抱えて笑えるほどに達者で、イントネーションもばっちりな花ちゃんの動画。しかし、九州弁がさっぱりという方には、内容の全てを理解するのは難しいかもしれない。
そこで、自粛犬花ちゃんと同じく福岡県筑後地方出身の筆者が、反響が多かったという「【自粛犬】緊急事態宣言における犬の気持ち2」の一部を標準語に訳してみた。留守番ばかりで鬱憤が溜まっている花ちゃんの気持ちに耳を傾けてみてほしい。
緊急事態宣言のまた延びたげな!
(緊急事態宣言がまた延びたってね!)
どんこんいかんねぇ ちょいとこりゃ!!
(どうしようもないねえ それはちょっと!!)
こないだからっさい やっとね 散歩に連れていかすち思たじゃん
(こないだから やっと 散歩に連れて行ってくれると思ったのに)
したら、な~んの 庭さん出ささっただけじゃん
(そうしたら 庭に出してくれただけだった)
ぽいち
(ぽいってね)
庭はしょっちゅう見よるとこれ
(庭はいつも見てるのにさ)
刑務所かここは? ちゆおごたる
(ここはまるで刑務所ですか? っていう感じ)
ちょいと そこんにききぐらいまで連れてって
(ちょっと そこらへんまで連れて行って)
歩かせんかじゃんのや~
(歩かせてよ)
なーんならんもん ほんなこて
(なんにもならないじゃん マジで)
花ちゃんは留守番 花ちゃんは留守番ち
(花ちゃんは留守番 花ちゃんは留守番ってさ)
留守番ばっか さすっけんたい
(留守番ばっかりさせるから)
こないだから え~いクソち思ってから
(この前こん畜生と思って)
あれが出かけとったときに
(あの人が出かけているときに)
うんこばベラいしとったじゃん
(うんこをべったりと派手にしておいたの)
したら~もう 帰ってきてから 怒らす怒らす
(そしたら 帰って来て怒る怒るwww)
方言を文字に起こすとなんとも読みづらい。何を言ってるんだ? と思われるかもしれないが、これを動画で見るとなんとなく意味が伝わるだろう。続きはぜひ動画で確認してほしい。
実家の犬からメッセージが届きました#自粛犬https://t.co/4jmdBTIp1h pic.twitter.com/dvvdcGpaus
— ISOPP (@ISOPPmen) May 7, 2020