米Intelは現地時間6月10日、「Lakefield」の開発コードネームで知られていたモバイル向け新プロセッサを正式発表した。

  • Intelがモバイル向け新SoC「Lakefield」発表 - CoreとAtomのハイブリッドCPU

    12×12mmのフットプリントで、厚さ1mmという非常にコンパクトなLakefieldのSoCパッケージ

製品ラインナップは「Core i5-L16G7」ならびに「Core i3-L13G4」の2モデルで、ともに2in1モバイルやタブレットのWindows PC向け。LakefieldはCPUコアにIntel Core系とAtom系を組み合わせて搭載しているほか、3次元パッケージング技術「Foveros」の初採用など見どころが多く、ArmベースのSoCに対抗する省電力・高性能製品として期待される。

  • Lakefieldを搭載したモバイルPC向け基板の例

Intel新開発の3次元パッケージング技術のFoverosは、CPUやGPUといったロジック回路を3次元積層して基板実装する技術で、異なるプロセスで製造されたロジックも積層できる。Lakefieldでは、CPUコア部分に10nmプロセスで製造される「Sunny Cove」ベースのコアを1基と、22nmプロセスの「Tremont」ベースのコアを4基、そしてGPUコアを統合したシリコンレイヤーに、異なるプロセス技術で製造されるI/Oやメモリのレイヤーも3次元的に積層している。

  • Lakefieldのパッケージを横から見たイメージ。Foveros技術を用い、3次元的に回路を積層している

Sunny Coveは現行の第10世代Intel CoreであるIce LakeのCPUコアに採用されているもので、Atom系のTremontコアとタスクを割り振って動作することで、処理能力と省電力性の向上を図っている。Lakefieldの待機時消費電力は2.5mWとされ、Foverosの恩恵でSoCパッケージサイズも12mm四方とコンパクトであるため、小型モバイルPCの性能を引き上げつつも、ハードウェアをより柔軟にデザインできるようになる。

  • Lakefieldのブロック図。Hybrid CPUとして示されているCPU部に、SNC(Sunny Cove)が1基とTNT(Tremont)が4基搭載されている

ラインナップするCore i5-L16G7とCore i3-L13G4の主な違いは、CPUコアの動作周波数と、統合GPUのEU(Execution Unit)数で、各製品の主な仕様は以下の通り。

モデル i5-L16G7 i3-L13G4
コア/スレッド数 5コア/5スレッド
ベースクロック 1.4GHz 0.8GHz
ターボクロック
(シングルコア動作最大)
3.0GHz 2.8GHz
ターボクロック
(オールコア動作最大)
1.8GHz 1.3GHz
iGPU Intel UHD Graphics Gen11
iGPU EU数 64基 48基
iGPU 最大クロック 0.5GHz
キャッシュ 4MB
TDP 7W
対応メモリ LPDDR4X-4267

なおLakefield、PCの新フォームファクタとして注目を集めるフォルダブルPC(折りたたみPC)として発表されたレノボの「ThinkPad X1 Fold」や、マイクロソフトの「Surface Neo」への搭載が既に明らかになっている。