東京商工リサーチは6月8日、2020年5月度の全国企業倒産の状況を発表した。それによると、倒産件数314件、負債総額813億円と、いずれも前年同月比で大幅減少となった。
2020年5月度の倒産件数(負債額1,000万円以上)は前年同月比54.82%減の314件と、1964年6月の295件に次ぐ、56年ぶりの記録的な低水準となった。
この結果について同社は、「政府の資金繰り支援に加え、リスケ対応も動き出した。また、新型コロナ感染拡大で裁判所の一部業務の縮小や、手形の不渡り猶予などの支援策に加え、経済活動を休止していた企業・店舗の再開や廃業、倒産の判断先送りも記録的な減少を後押しした」とみている。
業種別件数は、10産業のうち9産業で前年同月を下回り、特に、新型コロナウイルス感染拡大によるインバウンド需要の消失や外出自粛などの影響を大きく受けた宿泊業や飲食業を含む「サービス業他」が83件(前年同月比62.9%減)で最多。
また、消費増税や暖冬などの影響もあり販売不振が続くアパレル関連を含む「小売業」も48件(同51.0%)と倒産が目立つ結果に。5月の新型コロナウイルス関連の倒産件数は、61件となった。
従業員数別にみると、10人未満の構成比が82.4%。中小企業倒産件数(中小企業基本法に基づく)は313件で、構成比は99.6%となった。
負債総額は、3カ月ぶりに前年同月を下回る813億円(同24.31%減)。負債10億円以上は13件(前年同月15件)と微減だったが、構成比は1月2.0%→2月2.1%→3月2.4%→4月3.4%→5月4.1%と、少しづつ中堅規模に広がっている。
また、アパレル製品販売のレナウン(東京都)が138億7,900万円の負債を抱えて倒産。上場企業の倒産は16カ月ぶり。