帝国データバンクは6月8日、「全国企業倒産集計(2020年5月報)」を発表した。集計期間は5月1日~31日、負債1,000万円以上の法的整理を対象に行われた。

  • 件数・負債総額の推移

    件数・負債総額の推移

2020年5月の倒産件数は、前年同月(648件)から大幅減の288件(前年同月比55.6%減)と、比較可能な2000年以降最少を記録。また、負債総額についても、前年同月(982億8,600万円)から27.6%減少し、711億3,100万円となった。

業種別にみると、全業種で前年同月を下回り、なかでも「建設業」(36件)、「製造業」(32件)、「卸売業」(53件)、「不動産業」(5件)の4業種に関しては、2000年以降最少に。また、倒産件数288件のうち、「不況型倒産」は227件(同55.2%減)と、3カ月ぶりに前年同月を下回り、構成比は78.8%を占めた。

負債トップは、東証1部上場のアパレルメーカー「レナウン」(東京都/民事再生)の約138億7,900万円。上場企業の倒産は、2019年1月以来、1年4カ月ぶりとのこと。

負債規模別にみると、負債5000万円未満の倒産は149件(同61.5%減)、構成比は51.7%を占めた。負債5000万円未満の倒産では、「小売業」(40件、構成比26.8%)が最も多く、次いで「サービス業」(38件、同25.5%)が続いた。

地域別にみると、「近畿」(52件/同69.6%減)は大阪府や兵庫県で大幅減少となり、関東(90件、同58.3%減)では1都6県すべてで減少するなど、「四国」を除く8地域で前年同月を下回った。

なお、今回、倒産件数および負債総額が大幅に減少したことについて、同社は、「緊急事態宣言の発令に伴い、弁護士事務所や裁判所の業務縮小で、法的整理手続きが滞留したことなどから大幅減少につながった」と分析している。