以前の記事で、Microsoftのパーソナルアシスタント「Cortana」が日本で使えなくなり、その後に生まれ変わったベータ版がMicrosoft Storeで公開されたことをお伝えしたが、おおかたの予想どおりWindows 10 バージョン2004で復活した。

  • 2020年4月下旬時点のCortana。日本語環境では使用できない旨を示すメッセージが現れる

MicrosofはCortanaをパーソナルアシスタントではなく、生産性向上を目的としたビジネスアシスタントに位置付けている。従来の音声入力も引き続きサポートするが、ビジネスでは声による呼びかけは周りを気にする場面が多いため(テレワークが相当に普及すれば違ってくるかもしれない)、最新版ではテキストチャットを重視した。Microsoftの公式ブログによれば、入力した文章を自然言語処理(NLP)し、スケジュールの確認やリマインダーの設定、Microsoft To Doのタスク追加などを可能にするという。

  • 4月28日時点のCortana。メッセージの内容が変化した

Cortanaに何ができるのか――。

それを知るにはサポートページが現時点で一番詳しい。Office 365改めMicrosoft 365のOutlookに登録した予定を元に、空き時間の確認や次の会議に同席する相手の確認、組織内のメンバー情報を知ることができる。さらに「設定」の各項目やアプリの起動も可能だ。

  • Windows 10 バージョン2004のCortana。MicrosoftアカウントやAzure ADアカウントでサインインする

ただ、使用言語によって異なるらしく、英語環境では「Open Word」もしくは「Word」と入力するだけでMicrosoft Wordが起動するものの、日本語環境では「Wordを開く」どころか「Open Word」も通用しなかった。さらに数分前は通用した質問が「すみません。その答えは分かりません」となってしまう。具体的には「最新ニュース」と入力すると、Microsoft Newsからピックアップしたであろうニュースが現れたが、数分後に同じ文章を入力すると通用しなかった。

  • 以前のWindows 10 Insider Preview上で動作するCortana

このあたりの不具合は、現在のCortanaがベータ版であることも関係しているだろう。機能的には、「エッフェル塔の高さ」と入力すれば、Bing経由で類似する情報を提示し、ニュースの確認や通常の計算、為替レートの計算に使えるのは面白い。

  • Cortanaは単独アプリのため、ウィンドウサイズは自由に変更可能。入力した文章は矢印キーで履歴を参照できる

現在のCortanaは日本を含む13カ国8言語に対応している。察するにMicrosoft AzureのText Analyticsに類似した機能を用いていると思うが、現時点のCortanaが用いるNLPはテキストベースであり、口語などマルチモーダルな言語は苦手なようだ。Microsoft ResearchのNLPを専門に研究するグループは、Microsoft製品群に大きく寄与してきたが、Cortanaが人々の生産性を向上させるには、さらなる奮起が欠かせない。