2020年6月20日から放送が開始される新番組『ウルトラマンZ』(製作:円谷プロダクション)の製作発表が5日、オンライン生配信で行われ、メイン監督を務める田口清隆氏と主要キャストが勢ぞろいし、作品の魅力を熱烈にアピールした。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、シリーズ初の「オンライン配信」となった今回の製作発表では、『ウルトラマンZ』でウルトラマンゼットと共に凶悪怪獣に挑む"対怪獣ロボット部隊"ストレイジの「本部」および「格納庫」のセットにて生配信が行なわれた。
『ウルトラマンZ』とは、ウルトラマンゼロに憧れ、ゼロに弟子入りし、努力を重ねてきたウルトラマンゼットが、地球防衛軍日本支部・対怪獣ロボット部隊「ストレイジ」の新人パイロット、ナツカワ ハルキと一体化し、地球の危機をもたらす脅威に挑む物語である。田口監督と共にシリーズ構成を務め、第1、2、3話・最終話をはじめとする主要な9エピソードを手がけたメインライター・吹原幸太氏は、さる5月17日に37歳の若さで惜しくも帰らぬ人となった。今回の製作発表ではまず、あまりにも早すぎる死を遂げた吹原氏への追悼として、田口監督から次のようなコメントが寄せられた。
「吹原さんとは2年前『ゆうべはお楽しみでしたね』という深夜ドラマでご一緒して、それ以来、彼の人柄と仕事っぷりに惚れまして、公私ともに仲良くさせていただきました。『ウルトラマンZ』の仕事を受けたとき、最初にメインライターとシリーズ構成を『一緒にやらせてください』とお願いした方です。お忙しい人なので、今回のために10か月以上も一緒に作業できたのは奇跡的なことでした。今回は従来のシリーズ以上に作業を早く進めていましたので、最終回までの構成・脚本は終わっていました。第1話がいよいよ完成するというときに、他の"現場"へと旅立たれてしまいました。僕らにできることは、彼の理想とした『ウルトラマンZ』の物語を、理想的なかたちで映像化すること。理想の映像を作り、彼に捧げたいと思います」
続いて、『ウルトラマンZ』の最新スペシャルムービー(5分30秒)が公開された。ムービーでは、遠藤正明の歌う本作のオープニング主題歌「ご唱和ください 我の名を!」に乗って、ウルトラマンゼットとハルキとの出会いや、ストレイジ隊員の紹介、そしてストレイジの誇る「特空機」1号・セブンガー、2号・ウインダムや、ウルトラマンゼットの武器などがお披露目された。
ウルトラマンゼットと一体化したナツカワ ハルキは人一倍正義感の強い、ストレイジの新人パイロット。空手の達人で、口癖は「押忍(おす)!」。ハルキを演じる平野宏周はムービーを観た直後の興奮を抑えきれずに「カッコよすぎて、アガっちゃってます」と感想を伝えた。そして撮影の裏話を尋ねられると「クランクイン(撮影初日)のとき、しゃがんだはずみで衣装の"股"の部分を破いてしまいました。その瞬間、現場が一瞬冷めました(笑)」と、開始早々のとんだハプニングを打ち明けて、周囲を笑いに包んだ。
ストレイジのエースパイロットで、明るく勝気な性格だが意外と"ウルトラ乙女"な部分もあるというナカシマ ヨウコを演じる松田リマは「感動して、ウルウル来てしまいました」とムービーを観た率直な感想を述べたのち「パイロットとしてはエースで才色兼備ですけど、ふだんの姿がヌケていて、そこのギャップを見てほしい」と、自身の見どころを語った。
分析開発を担当するストレイジの天才科学者で、怪獣に興味津々のオオタ ユカを演じる黒木ひかりは「スペシャルムービーを初めて観て、夕陽のシーンがすごく綺麗でかっこいいと思いました。ユカは怪獣に詳しいので、ウルトラマンばかりじゃなくて、怪獣にも注目してくださ~い!」と、透明怪獣ネロンガのソフビ人形を手にして明るい笑顔を見せた。
ストレイジの隊長で、明るくフレンドリーな頼れる兄貴分のヘビクラ ショウタを演じる青柳尊哉は『ウルトラマンオーブ』(2016年)でオーブのライバル、ジャグラス ジャグラー役で多くのファンを獲得した。青柳は「今日ここに来ることができなかった整備員メンバーなど、他にも魅力的なキャストがいます。とてもいいチームワークで撮影をしていますので、放映をぜひ楽しみにしていてください。本部セット、格納庫セットも今回初めて公開されましたが、とても細かい"仕事"がいっぱいありますので、よく注意して観てください」と、キャストの魅力、セット美術・小道具の魅力などさまざまな注目ポイントがあることをアピールした。
ストレイジ整備班リーダー、「バコさん」の愛称でみんなから慕われているイナバ コジローを演じる橋爪淳は「特撮も凄いし、みんなカッコいいんでワクワクします。特に、動いているセブンガーを観て、感動しました。セブンガーが大好きなんです。ボンヤリした目が私に似てるんです。ほら!」と言いながらメガネを取って、優しいまなざしを画面に向けると、平野たちから大きな歓声が響いた。そして「今日、みなさんと過ごした時間もそうですけれど、一瞬一瞬が"宝物"だと思っています。私がウルトラマンから夢をもらったように、今の子どもたちも夢を持ち続け、いい大人へと成長してほしい」と、『ウルトラマンZ』に期待している子どもたちへの応援メッセージを贈った。
怪獣災害から人々を守るためストレイジを創設したクリヤマ長官を演じる小倉久寛は「いつもはストレイジ本部のシーンにしかいないのですが、今回のスペシャルムービーを観ると、どの場面もすごくカッコよくて迫力があり、感動しました。ウルトラマンと怪獣の戦いだけじゃなくて、ウルトラマン側にも"ドラマ"があり、野田くん演じるカブラギが何を考えているのか……とか、いろいろな見どころがあって、視聴者の目線で『面白そうだな~』って思っています」と作品のクオリティの高さに満足した表情を浮かべた。そして「僕は(初代)ウルトラマンを観て育った世代(65歳)ですけれど、若い野田(理人)くんや主題歌の遠藤(正明)くんもみんな"ウルトラマンで育った"と話していて、驚きました。ウルトラマンは"永遠"です!」と、幅広い世代の心を捉えているウルトラマンの最新作に出演している喜びを噛みしめるかのようにコメントした。
怪獣研究センター生科学研究部所属の青年だが、謎の寄生生物セレブロに身体を乗っ取られたカブラギ シンヤを演じる野田理人は「僕は、他のキャストのみなさんと現場でお会いすることがあまりないので、新鮮な思いで映像を観ていました。カブラギに関しては、セレブロに寄生される"瞬間"や、衣装や小道具のカッコよさなどに注目してほしい」と、カブラギのミステリアスな人物設定やたたずまいに大きな魅力があることを示した。
本作では、ハルキがウルトラマンゼットに変身する際「ご唱和ください、我の名を!」というインパクト抜群の口上が飛び出している。田口監督から「イベントなどが行われたとき、みんなで一丸となれる"決めゼリフ"があればいいなと思って考えました」と、この口上を生み出した理由が説明されている。ファンから寄せられた「セブンガーやウインダムのほかにもロボットが出る予定はありますか?」という質問に対しては「今はまだ"お楽しみに!"としか言えませんが、今後もいろいろな隠し玉を用意しています!」と力強く返答し、ストーリーが進むにつれていろいろなキャラクターが画面を彩ることを期待させた。
主題歌「ご唱和ください 我の名を!」の作詞・作曲・歌唱を務める遠藤正明はオンラインでの出演となり「僕はウルトラマンを観て育ちましたので、ウルトラマンシリーズの歌を歌わせていただくのはとても光栄に思っています。僕が子どものころ、テレビの前でウルトラマンを応援していたように、今の子どもたちがこの歌を聴きながらウルトラマンゼットを熱く応援してくれたらいいなと思いながら作りました!」とコメントし、少年時代の憧れを込めて主題歌を作り上げたことを明かした。
エンディングテーマ「Connect the Truth」を歌う玉置成実もオンラインでコメントを寄せ、「今回、ウルトラマンZのエンディングを務めることができて、心からうれしく思っています。この曲は疾走感とパワーで攻めているようで、切なさを感じさせるメロディーを通して、いろいろな壁にぶち当たったり、錯綜したり、強く生きて前に進んでいく主人公を表しています。そのあたり、物語と重ね合わせて聴いていただけたらうれしいなと思います」と、作品世界にマッチしたエンディングであることを強調した。
最後の挨拶で平野は「キャストのみんなが個性豊かで、ストーリーも面白いです。ハルキもウルトラマンゼットも"熱い"です! 土曜の朝から、盛り上がっていきましょう。楽しみにしてください!」とコメントし、来たる放送開始の日まで期待をふくらませてほしいと熱烈にアピールした。
(C)円谷プロ (C)ウルトラマンZ製作委員会・テレビ東京