スーパー戦隊シリーズ第43作『騎士竜戦隊リュウソウジャー』は、2019年3月から2020年3月までテレビ朝日系にて放送され、子どもたちを中心に大好評を博した。人間のマイナス感情などを利用して、怪物「マイナソー」を生み出す戦闘民族ドルイドンと戦い、人々を守る使命を帯びた6人のヒーローの活躍を描いた本作では、"強さ"の象徴「恐竜」に"正しさ"の象徴「騎士」を組み合わせたヒーローキャラクターが創造された。

  • 一ノ瀬颯(いちのせ・はやて)。1997年4月8日生まれ、東京都出身。2018年4月、大学の入学式でスカウトされて芸能界入り。2019年の『騎士竜戦隊リュウソウジャー』のリュウソウレッド/コウ役に選ばれ、俳優デビューを飾った。特技はダンス、バスケットボール。撮影:大門徹

従来のスーパー戦隊シリーズでは、テレビが最終回を迎えた直後に「ファイナルライブツアー」と称して全国各地をめぐるアクションショーが開催されることになっていたが、今年(2020年)は新型コロナウイルス感染拡大防止のため全公演中止となってしまった。

しかし「ファイナルライブツアー」の開催を楽しみにしていた全国の『リュウソウジャー』ファンの思いに応えるべく、このたび、ドラマCD『「騎士竜戦隊リュウソウジャー ファイナルライブツアー」おはなしCDスペシャルセット』(5,000円/税込)として発売されることが決定した。

ここでは、個性豊かな5人の仲間たちを常に盛り立てながら、自身もハイボルテージの"熱血"演技で見事な存在感を残したリュウソウレッド/コウ役の一ノ瀬颯にインタビューを敢行し、テレビシリーズの1年間を通じて自身にどんな変化が訪れたか、そしてハードな撮影の日々をふりかえってどんな思いを抱いたか、じっくりとお話をうかがった。

――『騎士竜戦隊リュウソウジャー』の撮影を1年間やりとげたことで、一ノ瀬さんの身のまわりではどんなことが変わりましたか?

本当に、『リュウソウジャー』に出演することになってからは目にするもの耳にするものがすべて初めての体験ばかりでした。最初は緊張してばかりで、何もできない状態から入りましたが、まるで赤ちゃんが言葉を覚え、歩くことを覚えていくように、経験を積み重ねるようになりました。そういう意味では『リュウソウジャー』という作品自体が、僕にとっての「親」のような存在に思えます。

――わりと、最初は緊張しやすいタイプだったんですよね。他のリュウソウジャーの方々からも「ふだんは声が小さい」と言われていたのが印象的でしたが、今では大きくなったでしょうか。

そう。みんなから言われてたんですよね(笑)。コウとしてセリフを話すときは大きな声が出ますが、普段は小さいです。それは変わっていません。でも、最初は緊張でガチガチになっていたのに対して、今では抵抗なく人前で話すことができるようになりました。自分としては、ここが大きく変化したことだと思っています。

――リュウソウジャーは一ノ瀬さん、綱啓永(メルト)さん、尾碕真花(アスナ)さん、小原唯和(トワ)さん、岸田タツヤ(バンバ)さんの5人でスタートし、中盤からカナロ役の兵頭功海さんが加わって6人になりました。一ノ瀬さんから見て、メンバーの中でもっとも変化・成長が著しいと思った方はどなたですか?

小原くんですね。みんなの中でいちばん若いのに、いちばん落ち着いてしっかりしている印象は最初からありましたが、撮影が始まったころは少し遠慮がちなところが見られて、1人で帰っていたりしていたので、僕が「一緒に帰ろうよ」なんて誘ったりしていたんです。やがて、彼のほうから僕に電話してくれるようになったりして、だんだんみんなとの距離が縮まっていきました。そういった変化が、僕にとってとてもうれしかったんです。

――リュウソウジャーの物語的にも最初はコウ、メルト、アスナの3人とトワ、バンバ兄弟は別々のポジションだったのが、ドルイドンとの戦いを通じて徐々に"仲間"意識が芽生えていき、後半ではかけがえのない"絆"がそれぞれの中に生まれています。これは実際のみなさんの関係性にも共通しているんですね。

顔合わせのときから、みんなとは仲良くやれるなという雰囲気がありました。そして撮影が進むにつれて、役者同士の絆、チームワークがどんどん良くなっていった感じですね。やっぱり、どんなことでも臆せずに言い合える関係になっていったことが大きいと思います。

――最初のころのコウを観ていますと、底抜けな明るさを感じさせる爽やかな笑顔が印象的でしたが、それだけに夏の劇場版『騎士竜戦隊リュウソウジャー THE MOVIE タイムスリップ!恐竜パニック!!』ではガイソーグに対してキッ!と険しい目をする"激しさ"が心に残りました。コウの感情表現についてのお話を聞かせてください。

コウは昔、荒っぽい性格だったのが、仲間との関わりの中で"優しさ"を手に入れてからは自分の感情をコントロールするようなったという設定なんです。第32話「憎悪の雨が止む時」でも、ガイソーグの邪悪な力からナダ(演:長田成哉)を助けようとするシーンで、コウの"激しさ"が出ていましたね。あの状況ではナダを説得するだけでは止まらないので、コウが体で止めないといけない、仕方がないから戦うしかないといった感情を出してみました。