Android端末に限らず、パソコンやスマートフォンは「ファイルシステム」の違いにより速度差が生じる可能性はあります。ここでいうファイルシステムとは、ハードディスクやフラッシュメモリなど補助記憶装置(ストレージ)へのデータ格納に関する制御仕様/ソフトウェアのことで、OSが提供する重用機能のひとつです。
Android OSは、カーネル(OSの中核をなすソフトウェア)にLinuxを採用している関係上、ファイルシステムやデバイスドライバの多くはLinux由来の設計/ソースコードを利用しています。しかし、Android OSではディスプレイはタッチ式、電源は内蔵リチウムイオンバッテリーといった具合にデスクトップPCとはハードウェア構成が大きく異なり、最適化を必要とする背景がありました。
ファイルシステムも同様で、かつてはLinuxの標準ファイルシステム「ext4」が主に利用されていましたが、NAND型フラッシュメモリに特化したファイルシステム「F2FS」が登場しました。内蔵ストレージへのアクセススピードが大幅に改善されたため、時折動作が緩慢になる現象の抑制や体感速度向上に貢献したといわれています。
F2FSはSamsungを中心に開発されましたが、ソースコードはオープンソース化されLinuxカーネルに統合されたため、Samsung以外のAndroid端末にも多数採用されています。
最近では、Huaweiのエンジニアが開発した「EROFS(Extendable Read-Only File-System)」が、HUAWEI端末に搭載されているOS「EMUI」(バージョン9.1)以降に採用されました。EROFSは読み取り専用のファイルシステムで、メタデータの縮小により読み取り速度向上とストレージ消費量節減に寄与するといわれています。ソースコードはすでにLinuxカーネルに統合されていますから、将来は他社製端末に採用されるかもしれません。